表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/164

第八十一話…… 『藍木山攻略戦・5』

「ここよ、 ここに冬夜の体があるの、 硬質な鎖の様な物で縛られていて、 私の水圧カッターでも切れない」


マリーに導かれて辿り着いた所は鬱蒼とした木々が生え並ぶ藍木山の森林地帯、 その中で一区画だけボッカリ広場のように木々が除かれた場所だった


そこは死臭が漂い、 腐り果てた骸が並ぶ場所で、 墓場と言うより、 ごみ捨て所と言った感じだった


衣類、 アクセサリー、 見るだけで分かる、 猿型モンスターに殺された人間達なのだろう


その広場の中心にそれはあった、 岩のような、 鉄のような、 何か、 そのかは板状になっていて、 そこに目的の人物


村宿冬夜むらやどとうやの体を見つけた、 同じ材質の物で頑丈に固定されていて簡単に抜け出せる様な感じでは無い


冬夜の肉体も死体の様に枯れていてまるで生きている感じはしない


「あんたの能力の威力なら何とかなるかもしれない、 だから頼んだわよ」


日暮は頷いてナタを抜く、 ナタの刃を、 冬夜を縛るそれに当てる、 このまま断ち切る


「ブレイング・ブー……………… ん? あれ」


日暮は能力の発動を止める


「ん? どうしたのよ早くしなさいよ明山日暮!」



「ちょっと待ってくらさいよ!」


日暮はそのままの体制でナタを押し当て、 その銘を呼ぶ


「喰らえ牙龍がりゅう!!」


バグンッ!


日暮のナタは敵の肉体を喰らいエネルギーに変換、 そのエネルギーを還元し、 傷を癒したり、 ナタに巻き付く骨を伸ばしたり出来る


そして、 日暮の思った通り、 この、 冬夜を縛り付ける鋼鉄程の何かの正体、 それは何者かの肉体なんだ


その様にマリーも驚いた様だ


「えっ、 こんなに硬質なのに? 私の水圧カッターできる事が出来ない程なのに、 ……これは能力ね」


十中八九そうだろう、 何か、 硬質化の能力、 それもそれに特価した


しかし、 そうと決まったなら


「おらっ! とらっ! ていやっ!」


シュバンッ! ハヂィンッ! バチィッ!


弾ける様な音を立てて冬夜を拘束するそれは断ち切れて外れていく


最後の最後のそれを断ち切ると、 冬夜の体は重力に引かれる様に崩れた


「っ、 おわっと!」


慌ててその体を押さえると成人男性とは思えない程軽い体重で驚いた


「話した通り冬夜からは全ての血液が抜かれてるから、 今私が真っ赤なのは冬夜の血液を操作してるからね」


冬夜は実は陰陽師の家系で、 冬夜自身もその力を一部使えるという事は日暮も知っている


話を聞くと逃げ出す事が叶わないと理解した冬夜は陰陽術のうちの一つを使ったのだと言う


村宿冬夜という存在の全ての情報を血液に焼き付ける事によってその生命の定義を保存するという物らしい


生命の形という物は全て違う、 例えばただの肉片に冬夜が入れば、 血液に保存された定義に肉体が引っ張られそれが確かに村宿冬夜になるのだと……


正直難すぎて何が何だか、 だがなんにせよこの冬夜の肉体に血液を戻せば冬夜は元通り……


「おっと、 傷は治さなきゃ行けなかったな、 牙龍、 冬夜の傷を直せ!」


ザクッ!


ナタに巻きついた骨が冬夜に刺さる、 エネルギーを還元した治癒は他人にも施すことが出来る


冬夜の体に刻まれた傷がみるみる治って行く、 そして回復した冬夜の体に、 マリーが血液を戻していく


直ぐに見慣れた透明な澄んだ水の見た目へと戻って行く、 マリーがその冷たい体で冬夜の頬に触れると……


「うっ、 ううんっ……」


小さい声を漏らし冬夜が目を覚ました


「ま、 マリー……」



「ここに居るよ……」


水の形が渦巻いて手のひらサイズの少女の形をとる、 水の精霊にも、 なにかのマスコットにも見える見た目だ


冬夜が手を持ち上げマリーに触れる


「体が重い、 流石に長い事体を離れていたんだ、 まだ感覚が馴染んで居ないみたいだ……」


冬夜が目線をあげこちらを見る


「よっ、 元気してたか? 大体二週間くらいか? 山篭りは終わりたぜっ」


冬夜は笑う


「相変わらず…… だな、 はぁ、 日暮も無事で良かったよ、 助かった、 ありがとな」



「なんだよ、 別に普通だろ、 要らねぇよそんな礼はよ」


日暮も笑う、 正直心配していた事をおくびにも出さない、 ただ互いに笑い会えればそれでいい


「冬夜、 お前はそこで休んでろ、 俺はちょっと行ってくるから」



「ああ、 少し休んだら俺も向かうから」


言葉少なく日暮は軽く手を挙げてその場を去る、 行かなくては、 進まなくては


友に背を向け日暮は前を向く、 歩き出す足には自然と力が入る、 冬夜は無事だった、 ならもう心配する事は無い


足を進める……


………………………………



……………………



……


林を抜け、 ゴツゴツとした岩肌が見えてくる、 そこにぼっかりと空いた空洞こそ敵の根城である静岩窟せいがんくつである


そこ洞窟の前にある程度の人数の人達が集まっているのを確認する


日暮はその人たちに手を上げる


「おーい、 みなさーん!」



「あっ、 日暮くーん! 待ってましたよ!」


日暮が率いる第四部隊のメンバーである浜戸瀬はまとせさんがこちらに手を振る


元々威鳴千早季いなりちさき率いる第三舞台と日暮率いる第四部隊で静岩窟周辺の敵を挟撃する予定だった


日暮は敵の能力者ノウムテラス猿帝血族の邪馬蘭やばらの襲撃に対応していた為参加出来なかったが、 周囲の様子を見るにそれは成功したのだろう


それに加え、 土飼さん率いる第一部隊と、 甘樹あまたつシェルターの雷槌いかづちさん率いる第二部隊も合流している


確かに、 挟撃終了後静岩窟にて集合する事になっていたが……


「おう日暮、 報告をしてくれ」



「はい、 戦ってた能力者は殺しました、 その際に山の斜面が土砂崩れを起こしましたが、 作戦には問題ないと思います」


話の早い土飼さんが頷く


「成程、 さっきの轟音は土砂崩れの音か、 なんにせよ無事だった様で何より」


それと


「冬夜も見つけました、 まあ、 無事に生きてましたが、 だいぶん疲労がある様で少し休んでここに来ると思います」


それを聞いて土飼が今にも飛び上がりそうなほどに興奮した様子を見せる


「冬夜君を見つけたのかい! 無事! 良かった!」


相変わらずのお人好し野郎だ、 このおっさんは……


所で……


「土飼さん、 今ここの状況は?」



「おっと、 そうだった、 襲撃は成功したが第三、 第四隊は敵の攻撃を受け疲弊している、 幸い死者は出なかったが、 出かねない戦いだったそうだ」


そうか……


「俺がもっと早く追いついてれば良かったですね」



「そう思う気持ちがあるなまだ遅くない、 第一、 第二隊にも今の所大きな怪我を負った者も居ないからな、 ここからだ」


土飼が静岩窟の入口を指す


「威鳴君が先程一人で静岩窟へと向かった様だ、 静岩窟は消して深い洞窟では無い、 だが彼が向かってから既に五分は経つと言う」


「既に中で戦いは始まっているかも知れないだから日暮君にも向かって欲しい」


日暮は頷く


「ええ、 分かりました、 一人で行けば良いですか?」



「おそらく相手の首領、 猿帝は能力者だ、 その場合俺たちでは手も足も出ない」


おっけー


「じゃあいいですよ、 全然、 むしろ俺は一人の方が………… ん?」


日暮が話していると一人の女性が手を挙げ主張をしている、 確か威鳴さんの姉だったか……


「どうかしました?」



「ええ、 ちょっと待って貰えないかしら、 今、 威鳴が中で死んだみたいなの」



「え? 死?」



「ああ、 ええ、 安心して今の肉体が死んだだけだから、 また、 新しく作れば良いのだから」



なんにせよ威鳴の姉はそう言うといつの間にか手に持っていた種の様なものを地面に撒いた


「さあ、 威鳴おいでなさいな」


そう呟くと種が割れ、 みるみる内に芽が生えて葉を生やし、 人の背丈程に成長して見せた


それは何やら大きめの果実を付けると、 威鳴の姉がそれを丁寧にもぎ取った


グシャッ


フレッシュな音を立てて果実が割れる、 すると中から何と、 威鳴が姿を現したのだ……


威鳴が目を覚ます


「……え? 俺死んだ?」



「ええ、 そうみたい、 何が合ったの?」


果実から生まれてきた威鳴は服を着ていない、 威鳴の姉が一人の隊員に無遠慮に近づいて奪い取る様に上着を脱がす


それを流れる様な動作で威鳴に渡す、 威鳴は悪そうな顔をして、 それでもそれを着た



不思議な事に誰も何も言わない、 何も不思議に思わない、 似ている、 威鳴の姉は、 水の神マリーと醸し出す雰囲気が似ている


認識阻害の様な力が働く事があるのを日暮は知っている、 ので何となく理解した


「威鳴さんのお姉さんは神何ですね、 この世界の原初の神秘、 って言うか威鳴さんはどういう原理? 新しい顔よ! 的な?」


そう言葉を出すと威鳴の姉がこちらを見る


「ふふ、 面白い子、 でも皆が不思議に思わない様に静かにしててね」


周りを見れば周囲の人間は殆ど虚ろの様な顔をしている、 相変わらず神怖い


だが、 威鳴が袖を通し終わるとそれも終わった


「……………ん? 威鳴君、 帰ってきて居たか…… ん? まあ良い、 それよりそのカッコどうした?」



「ああ…… 洞窟の中の敵に足を引きずられて! 咄嗟にズボンを脱いで逃げ出して来たんですよ!……じゃねぇ!!」



「そんなより、 皆ここはやばい! 洞窟ん中にはやべぇ奴がいたんだよ!」


やべぇ奴?


そう思っていると……………


ゴゴゴゴゴゴゴゴッ


地響きの様な感覚、 地面が震える


「え? 大型モンスター?」



「いや、 中型? モンスターズの二面サイズって感じ」


まあまあでけぇじゃねぇか……


………


ドガアアアアンッ!!


ドガラララララッ!!! ガララララッ!!


静岩窟がまるで爆発する程の勢いで弾け飛ぶ、 崩落を起こし大きな音を立てる


何かがその瓦礫の山からはい出てくる、 大きい、 大きいシルエット


「なんだ、 あれは…… やばいっ」



「ばっ、 化け物っ!?」


周囲の調査員達が驚きのあまり悲鳴を上げる、 まあ、 その気持ちも分からんでもない


「体高十メートルちょいって所か? 猿って言うよりゴリラだな」


十メートルを軽く越える身長に厚い胸板と巨木の如き手足、 それがぬらりと現れた


まさに化け物の風格


「ゴッフゥ、 ゴアッ! ゴアガアアアアッ!!」



「うるせぇっ」


そいつはこちらを向く、 やべぇな


「土飼さん! 皆をここから退避させろ!」


日暮の声で瞬時に退避命令を下そうと喉仏を震わせる土飼、 だが敵はそれ寄り先に次行の準備を終えている


ガシッ!


敵は今し方崩落させた静岩窟、 その大きな岩を軽々と持ち上げる、 二トン程はあろうかと言う岩


それを容易に、 振るい……


ブワアアアアンッ!!


ぶん投げてきた!!



バッ!


考えるより先に体を動かす、 その初動はここに居るよ誰よりも日暮が早かった


「威鳴さんアレやります!」



「? アレ? って何?」


威鳴に向け全力で走り向かって行く


「ジャンプ! バレーのアンダーパスみたいな奴!」



「はっ! 理解! 良いねぶっ飛ばすよ!」


威鳴が構えると日暮はジャンプ、 威鳴の固く握られた手に足をかけると……


「せーの!!」



「おらァ!」


吹き飛んでくる岩に向けてジャンプ、 既にすぐそこまで迫っている、 距離にして5メートル


この距離感なら行ける!


「ブレイング・バースト!!」


圧縮された空気が近距離で岩へとぶつかる、 日暮の最大火力!


ボガンッ!!


空気圧が岩の体表を削り、 そのまま押し返し吹き飛ばした


ドスンッ!


数メートル押し返した岩が地面に落ちて揺れが発生する、 地面着地、 その最中に敵を見る


敵……


「あれ? どこ行った……」


敵を見失う、 直後上方、 大きな影


「日暮君、 上だ!」


威鳴の声、 飛びかかりか? やべぇどうやって回避するかな……


ぐわっ!


「うわっ!?」


何かが強く足を引き日暮を引っ張る、 これは木の根?


…………


ドシィンッ!!


……


避けた地点に大きな落下音が響く、 やばかった……


ずざっ


地面を引きずられる様に転がる


「……雑」



「あら、 ごめんなさいね、 咄嗟の事だったので、 許してね」


威鳴の姉だ、 はぁ……


「ありがとうございますっ、 これはまじで」


すぐ近く敵を見上げる、 どこぞのおっさんみたいなでかい顔がこちらを無遠慮に見下ろす


「何だ? お前そのあほくさい顔は? 同然でけぇ体に物を言わせた単細胞なんだろ? あ?」


土飼達の避難が無事に済むまでヘイトをこっちに引きつける、 敵は怒るだろう、 どうせコイツは、 そんなタイプ……


……不意に敵が口を開く


「くだらんっ、 その程度の言葉、 猿帝血族の誇り高き戦士である私には届かん!」



「え? あぁ、 ごめん」


嘘だろコイツ脳がある方なのかよ


「私は正々堂々戦う、 私は能力者ノウムテラスである! 能力は筋骨を増強し鋼の肉体を得る、 骨巧強鎧凙こったくじだいだくだ!!」


まじか……


「自分の能力を明かす事は普通デメリットだけど、 こいつの場合はそうもいかねぇな」


でかい体に能力は単純な自強化、 ある意味相性が良い、 デメリットは少ないし、 こっちは勝手に敵の破壊力にビビって恐縮しちまう


「おい、 洞窟潰して大丈夫かよ? 中にてめぇのリーダーが居たんじゃ無いのか?」



「猿帝様ならここには居ない、 初めからな、 ここは俺のねぐらだ、 手で掘って掘って竪穴をでかくしていた」


何だこいつ、 変わった奴だな


「それで潰しておしゃかかよ、 馬鹿だな」



「元々私の体には合わなかった、 だが聞けば人里に良いのがあるじゃないか、 シェルターだったか?」


こいつ……


「この山に住むのも頃合だ、 我らの部族もこの地に来た時点で先が無かった」



「終わりへと向かっていたのだ、 その証拠に、 皇乞始点宗のうこつしてんしゅうの死に始まり、 最古参であった八宝上道師はちほうじょうどうしが死ぬ」


「そして今日、 優秀な戦士であった躍満堂楽議やくまんどうらくぎと、 猿帝血族の未来を見据える、 碌禅径璃越ろくぜんけいりえつまでもが死んだ」


「五人居た猿帝血族の能力者もこの私、 真鋼濵等瀧しんこうはまらだきただ一人……」


敵は大きなため息を吐く


「弱き種と見下して居た人間にここまで痛手をくらい、 最早言葉も出ないと言った所だ」


あっそ


「思うに、 お前らの敗因は悉く、 人間と言う括りで舐めてかかってた所だと思うぜ?」


「こんだけ人数居りゃ、 弱いやつも居れば、 強いやつも居る、 お前らだってそうだろ?」



「帰す言葉も無い」


話している間に土飼達は姿を隠した様だ、 威鳴と、 威鳴の姉の方も準備が済んだ様だ


「てめぇも殺す、 だが喋れなくなる前に猿帝の居場所を吐きな」



「言わぬ、 貴様らの首は猿帝へのせめてもの贖罪だ、 貴様らを殺し、 それを掲げ大手を振るい人の世を頂く」


そりゃ……


「面白い事言うじゃん、 ならやって見ろ木偶の坊! ブレイング・ブースト!!」


バンッ!!


超加速、既に構えられたナタを敵に向けて振るう、 確実に当たる


グジャッ! ヒット!


「喰らえ牙龍!」


クジャアアアアッン!!


敵の肉体を削る、 このまま削りきる!


「ウラァッ!」


敵の拳を避ける、 でかいぶん被ダメ率もでかいが、 回避のタイミングさえみすらなければまず良けれる速度


通り過ぎる拳にそのまま振り下ろす


「らぁっ!」


クジャアアアッン!!


「うあああああっ!?」


敵の小指がきり飛ぶ、 あははっ!


「どうしたどうした! 全然弱ぇ!!」


日暮がそのまま駆ける、 敵の脇を抜け、 背後へ、 ナタを構える


「おっらァ!!」


シュインッ!


浅い


「流石に反応するか、 だが!」


素早い連撃!


シュンインッ! シャンッ! シャインッ!


空を切るナタの刃、 この距離感だと反応良いのか?


だがこの近さ、 そして敵は巨大絶対に当たる


「八秒! ブレイング・バースト!!」


ど近距離で放たれる空気圧、 大岩すら押し返す威力、 当たれば粉々に……


バンッ!


敵が地面を蹴る、 大きな踏み込み音とともに、 容易に、 空気圧は敵側方を通過


そのままその巨体に見合った踏み込みでたったの一歩で日暮の背後へと回る……



その時点で日暮はまだ能力を発動した体制のままであり、 敵の動きは早すぎて、 一瞬消えたのかと思った……


ドスッ!!



浮遊感………



ドガアアアアアンツ!!!


???


「うげっ……… あああっ」


日暮は困惑した、 這い出てくる嗚咽と、 全身に走る痛みが容易に理解させる、 自分は敵の攻撃をくらい吹き飛ばされたのだと



いや、 いやいやいや……


日暮には何も見えなかった、 気がついた時には背後に回られていたと今でも感じる、 それだけ敵の加速率は異常だった


やべぇ、 どうしよ……


ダっ!


「中途半端! 瞬発的な力など中途半端だ! 貴様は能力発動待ちの八秒間はあまりにも弱い!」


言ってくれるぜ、 超強力な単発能力、 そのクールタイムの八秒、 今まで何とかなって来たのは一重にナタによる再生があるゴリ押し戦法だ


まあだからこそ日暮は立ち上がる、 問題ねぇ、 クールタイムももう終わった、 今度こそぶち込んで……


ダっ!


踏み込む音………………… ん? どこいった?


「日暮君後ろ!!」


は?


ドガッ!!!



「うげぇっ」


ダッ!


更に踏み込む音を吹き飛ばされた浮遊感の中確かに聞こえ……


ドスッ!!


「うっ」


更に衝撃、 ? 何だ? 最早何処から向かってくるのかさえ分からない程早すぎる……


ドッ! ドガッ!! ドンッ!! ッ ズトンッ!!


連撃!


「うげぇあああっ!?」


ドガアアアアンッ!!


気が付けば吹き飛ばされて乱立する木の幹にぶつかる、 だが瞬間的に木から伸びた枝が衝撃を緩めてくれた


だが直ぐに立てない、 霞む世界でゆっくり近ずいてくる敵を見る、 デカイな……


「貴様ではもう私には勝てない、 考え無しであった自分を恨め」



「まっ、 まだ、 負けて…… 無いんですけど」


何とか木に背を持たれ立ち上がる、 ふらつく、 肉体は回復してきて居るが、 それとは別の部分で


何で、 何でこいついきなり速くなった? 最初、 確かにそんなに速くなかった、 むしろ遅かった


ブーストの加速に反応出来なかった、 切り飛ばした小指も敵はそのままだ、 幻覚じゃない


だが一撃一撃徐々に攻撃が当たらなくなった、 ど近距離のバーストすら外した時、 そこから敵はどんどん速くなった


今じゃまともに追いつけない、 まるで成長する様に、 これがこいつの自強化能力なのか?


「日暮君あんまり一人で無理するな、 ちょっと休んでろ!」


威鳴さんだ、 情けない話言われなくても動けないっての……


「太陽の果実・ランゴ!」


ボオオンッ!!


威鳴から炎が吹き出す、 その姿に気を取られた敵、 その背後から高速の木の根によるむち打ちが迫る


ベシィンッ!!


「うがっ!?」


攻撃が敵に当たる、 あの木の根物凄い轟速って程には見えないけど


更に


ベシンッ! ビシッ!!


「ッ! があっ!?」


鞭で打たれる敵、 確実に威鳴の姉が敵にダメージを与えてる


(……くっそ、 俺の攻撃は当たらんのに、 何で威鳴姉の攻撃は当たるんだ?)


確実に鞭で打ち付けて行く威鳴の姉、 引き絞られた木の根が更に敵を強く打ちつけようと……


フュンッ!


軽い音がして木の根が空を切る、 二本、 三本と迫る木の根を巨大な体でアクロバティックに交わす、 その様は圧巻である


「その動きはもう分かった! 終わりだ!!」


敵が大股で威鳴の姉へと迫る、 その握られた拳、 車程の大きさのそれが華奢な女性に迫る


触れ………


ドガアアンッ!!


激しい衝撃音が鳴る、 それこそ速度を出した車が衝突する様な音、 だが奇妙な事に、 それは暴走車が人を跳ねる様な音では無く……


深く根を張った巨木に正面から追突した様な、 そんな音だった


え!?


日暮は驚く、 ド正面から拳がぶつかったのにもかからわず、 威鳴の姉はスラリと立った体制からまるで変わらず


吹き飛ぶ事も無ければ、 後に引いた様でも無い、 まさに何とも無い


寧ろ……


ビキバキッ


「ぅがあっ!?」


敵の拳が割れる、 多関節により構成された拳は脆く、 硬いものにヒットすると衝撃に耐えれず壊れる


威鳴の姉が駆け、 跳ねる


「死になさい」


ロングスカートの裾が揺れて、 スラッと伸びた足が凶器と化す、 蹴り


バキッ!


「ぐっ!」


素早く力強い蹴り、 だったが敵はそれを上手く防ぐ、 巨大な体が動く程だったのでとてつもない力だった筈だが……


だがそれでいい……


「後取った、 おっらァ!!」


バンッ!


姉に気を取られていた敵は、 背後から近ずいてくる威鳴に気が付かないまま、 その燃えたぎる拳が敵を捉える


ボッ! ボオオオンッ!!


一気に燃え上がる大炎、 敵を包む


「があああああ!?」


日暮は立ち上がる、 このカオス的状況、 敵は俺から注意が逸れてる


今なら!


バッ!


日暮はクラウチングスタートの様に構え、 一気に駆け出す


「ブレイング・ブースト!!」


バンッ!!


地面が弾ける程の衝撃で体が高速で吹き飛ぶ、 敵の死角を突いた一撃、 構えられたナタが鈍く光る


一瞬! 接近!


「一閃!」


敵はこちらに向いてない、 確実に当たる、 多方向からの攻撃相手は着いていけて居ない………


グワンッ!


相手の拳がコチラを向く、 ブーストの速度すら超えた超速で……


「ふっ!」


バシッ!!


日暮の体が掴まれた


!?


(……こいつ、 何でいきなり)


「貴様では勝てんと言ったろうがァ!!」


日暮を掴んだまま振るわれる腕、 それが地面へと向かう、 恐らく背後の威鳴を狙ったそれが地面とぶつかる


ドシィッン!!


「うげっ!?」


全身をシェイクした様な激しい振動が骨を伝い全身に伝わる


「貴様は寝ていろ!!」


ブワンッ!!


又しても勢い良く振るわれる腕、 そのまま飛んでいく日暮


浮遊感と吐き気の中湧き出る疑問


(……何で奴はブーストの速度に反応できる)


ドガアンッ! バサバサバサッ


地面に衝突し体が跳ねそのまま茂みの中へと飛んで行く、 肉体が再生を始める


「おい…… ぶか! ひ…… い!」


何な聞こえる、 誰か居る……………


だが日暮は目をつぶってしまう、 なんかよく分からないけど、 疲れる……


………………………………



…………



……


「日暮君!!」


敵に投げ飛ばされ吹き飛んでいく彼を目で追う時間すらない


こいつ……


「これだけ身を焼かれて置いて、 全然怯まない……」


いや、 初めはもちろん怯んで居た筈だ、 炎が消えたわけでは無いのに、 どんどん炎に耐性を持っていく様に効かなくなって……


「千早季っ!」


姉の声で思考から我に帰る


迫る敵の拳、 遅い……


「ふっ!」


軽い動作で避ける、 やっぱり、 違和感が有る、 さっきボコスカ日暮を殴っていた動きや、 日暮を捕まえた動きはとてつもなく速かった


にもかかわらずこの拳は遅い、 能力は自強化? 確かに日暮に対しては強化された動き


だけど、 俺に対しては強化されてない動き…… 姉に対しては、 最初木の根の攻撃は当たっていた


でも躱す様になって、 その後姉を殴って拳が割れて、 敵は驚いていた、 その後の蹴りは当りはしたけど反応はしてた


妙だ、 まるで、 徐々に、 徐々に強化されていく、 少しづつ強くなって行く、 相手の攻撃を覚え、 学習して行くような……


グワッ!


思考を中断する、 更に迫る敵の拳、 だから遅い……



ブワンッ!!


「っはや」


威鳴は驚いた、 先程までの遅い拳とは違う、 突如として敵は素早い拳を繰り出す


ブワッ! グワンッ!!


不味い、 どんどん速くなる、 炎にも全然怯んでない


「千早季っ!!」


姉の声が遅れて聞こえる頃、 その頃には既に握られた敵の拳が威鳴へと衝突……



バシャアアアンッ!!


身構えた威鳴、 しかし敵の側方から勢い良く何かが飛来、 敵に勢い良くぶつかる……


これは……


(……水?)


大量の水が圧縮された様なボール状の物が敵にぶつかる、 その衝撃で敵はたたらを踏む


その上


ジュワワワワッ!!


敵に着いていた炎が、 飛来した水によって急激に消火、 発生した水蒸気が敵の視界を一時的に塞ぐ


パシッ


その直後威鳴の手を走ってきた姉が掴むと、 全速力で逃げる方向、 入り組んだ薮へと向かう


その速度は成人男性である威鳴の体が勢いで浮きそうに成程、 この姉は相変わらず、 チーターか何かかよ


一気に駆け薮へ飛び込む、 姉によって支配された薮がカーテンの様に両側に避け、 逃げいると同時に薮が閉じた


そのまま体制で姉が走る、 闇雲では無く目的がある様に……


そうして走って来た先に人影を見つけた、 人影がこちらに手を振る


「威鳴さん! こっち」



「冬夜君! 良かった無事だったか!」


そこに居たのは冬夜だった、 冬夜は頷く


「はい、 と言ってもさっきまでは良くなかったけど、 日暮に助けて貰ったので、 あと、 声量を少し落としましょう」


威鳴は頷く、 そして状況を思い出す


「おい姉貴、 そろそろ下ろせ、 恥ずかしい」



「あら仕方ないわね」


威鳴が少し顔を赤くして地面に足を付く


「……威鳴さんスボンはどうしたんです?」



「うっ…… 敵に、 足を掴まれて、 ズボンを脱いで逃げた…… 気にしないで」


目を逸らし話す威鳴、 冬夜君は笑う


「一応着替え有りますよ、 この山に来た時の荷物を回収したので」



「はっ、 冬夜君! 君は最高だよ!」


急いでズボンを履く威鳴、 その様は最高に馬鹿らしがった


そうした所で威鳴は日暮の姿を見つける、 木の根を枕にし寝転がって空を仰いでいる、 その目はしっかり空いて居るがぼーっとしていて虚ろだ


「え? 日暮君大丈夫?」


日暮がこちらを見る


「俺の攻撃は効かない、 威力も、 速度も、 全然だめ、 その上能力が無ければただの雑魚、 分かってた筈なのに……」



「さっきからそんな感じ何ですよ日暮君の奴、 助けてやって傷も治ってるのに起き上がらないんです、 はぁ」


威鳴は笑う


「まあわかる、 あと安心して、 あの敵に対しては無力なのは君だけじゃない、 恐らくもう俺も、 姉貴も歯が立たない」



「……何で?」



「まず相手の能力はただの自強化じゃない、 と言うか自強化と言う、 ゲームで言う所のバフみたいな感じじゃない」


威鳴が胡座をかいて座る


「日暮の攻撃は初め当たってた、 でも当たらなくなった、 日暮の速度に敵は対応していた」


「姉貴の木の根は早いけど日暮君の加速攻撃程じゃない、 でも不思議な事に敵には当たっていた」


「日暮君の加速速度に対応できるなら何だって反応出来るよ、 だって君のは正直超早いから、 でもおっそい俺の拳だって当たった」


威鳴が言葉を区切ると、 そこを縫って冬夜が口を開く


「すみません、 実は俺も見てたんです、

ここから、 それでやっぱり不思議何です、 敵はこちらの対応に対して、 一人一人で動きの質が全然違うんです」


威鳴も頷く


「動きもいきなり速くなった、 日暮君が全く反応出来ないほど俊敏な速度に、 正直あの速さで動かれてたら俺は終わりだった」


でもそうはならなかった


「敵の攻撃速度はやはり遅かった、 でも初めだけね、 その内超速くなんの」



「そうね、 私の時も相手の対応速度は時を経つ事に速くなったわ」


威鳴の姉も頷く


そこで冬夜が顎に手を当てて頷く


「敵の能力はもしかしたら複雑な仕組みなのかも知れない」


複雑?


「あいつの能力、 それは自強化で筋肉や骨格を強めて行動している、 と思っているけれど、 もっと違う、 例えば……」


「奴は、 自分の敵、 一人一人にそれぞれロックオンをし、 敵それぞれに合わせたパラメータ倍率の強化をしている、 とか?」



冬夜は枝を持って地面にここに居るよ、 日暮、 威鳴、 威鳴の姉の名前と、 簡単な力のグラフを書いて見せる


「もし能力の強化値に限界があったとして、 それを平均的に上げていくとする」


冬夜は敵と、 敵のグラフを書く、 それは五角形で構成され、 それぞれ、 力、 速さ、 守り、 思考、 回復

とされている


「強化値の最大が十五だとしたら、 平均的にあげたら全て三ずつしか上がらないだろ? でも平均的に能力を上げても使わない力もある」


「例えば足の遅い亀みたいな敵が居たとして、 奴が自強化し速さが増しても意味ないだろ? 強化しなくても余裕で追いつけるから」


「それに甲羅が固くて、 能力値が四、 または五以上じゃ壊せなかった時、 これ程不便な強化能力は無い、 能力と言うのは使用者も助ける様に本当に上手く出来てると思っている」


冬夜がグラフをギザギザに書き直す


「その亀の様な敵を倒したいと思ったら、 俺だった力に五、 速度は掛けても一か二、 防御は欲しいから五って感じてパラメータを必要な物に振ると思う」


理解はできる


「じゃああの敵は、 俺たち一人一人識別して、 そいつ自身に合った最適のパラメータを作ってるって事?」



「恐らくは、 だが妙にこんがらがるのはそれをすることによって敵自信が不便になっている事だ」


日暮は頷く


「俺のブーストの速度に対応出来るように自身の速度を調整したなら、 それで全員の攻撃避けれるし、 わざわざ分ける必要無い」


冬夜は頷く


「多分そういう能力で、 日暮の能力のクールタイムの様に、 相手自身も不便に思ってる部分なのかも知れない」


「能力の力は足し算引き算だ、 威力を重視すれば連発は出来ない、 範囲を重視すれば一発が弱くなる」


「一人一人能力値を指定できる、 じゃなくて、 勝手にされてしまうのかも知れない、 もう一つ」



「敵の能力値のそれはもしかしたらメインじゃ無いのかも、 何かメインの能力があって、 足し引きの関係で複写的に行われている動きで」


「敵はそれを上手く利用しているのかも知れない」


冬夜は戦いを見ていて思った事が有る


「そもそもこの能力は非効率的だ、 能力がオートマで敵に向ける力の配分を決めるとして、 そもそも初めに敵の攻撃をくらい、 見て初めて対応出来るようになる」


日暮も首を傾げる


「普通の戦いのイメージならまずダメージを喰らわない様にするよな、 でも俺の攻撃だって最初めちゃくちゃ入った」



「ああ、 それは皆同じだ、 威鳴さんの炎も、 威鳴さんのお姉さんの木の根も攻撃をもろ食らっていた」


「こう言うのを言葉で表すなら、 適応、 それが近い、 根本自強化とはズレて来る」


「敵を知って初めて速度も威力も強化されるんだ、 あまりにも非効率だろ?」


そういいながら冬夜は遠くに見える敵を指さす、 敵は静岩窟前の広場から動いて居ない


「休んでるのか?」



「そうかもしれない、 見てくれ奴の体を、 威鳴さんの炎で焼け爛れた皮膚が綺麗になっている」


確かに、 そう思って見れば切断した小指と、 威鳴の姉に衝突し壊れた拳も回復している


「……奴の能力は回復?」



「回復力の強化なのかもしれない、 メインの能力は回復力を強化し傷を癒す事なのかも」



「え? 適応強化能力は?」



「日暮は筋肉が肥大化する仕組みを知ってるか?」



「筋トレ等で筋肉にダメージを与える、 するとタンパク質がそのダメージを補修する事で大きくなり強く、 肥大化するんだ」


つまり?


「詳しくは分からないけど、 奴は日暮達の攻撃を実際にくらい、 体感し初めて、 それを補修すると言う動きを使い肉体を強化している」



「? 無敵じゃん、 戦えば戦うほど強く…… ん?」


それじゃ初めの疑問、 個人個人のロックオン強化がされるのは何故?


「多分そこが足し算引き算だ、 さっきも言った様に永遠に強く成り続ける能力になり兼ねないのでそこにしわ寄せが来てる」


「その証拠に敵はどうしても一人ずつ戦いたくて仕方ないらしい、 日暮と戦って、 威鳴さんのお姉さんと戦って、 威鳴さんと戦った」


「まあ、 連携が出来てなかった三人にも問題は有るけど、 そうならない様立ち回ってる風でもあった」


つまり


「同時に複数からの攻撃、 または、 まだ相手が適応強化していない新種の攻撃でなら仕留められる筈だ」


「さっき威鳴さんの炎がついて、 お姉さんの攻撃も警戒してる状況で、 それでも日暮のブーストに反応したのは」


「日暮の一撃をなんだかんだ一番優先して警戒しているからであり、 威鳴さんの炎によるスリップダメージの適応強化は既に六割以上済んで居たからだと見る」


「結局未だに日暮のバーストは敵に当たってない、 これは奴が適応強化する前に大ダメージを喰らうと理解しているから」


「そして日暮のナタはどれだけ固くても奴の体が肉体である限り、 関係なく喰らうから警戒してるんだ、 つまり避けるしかない」


なるほどね


「どうにかナタによる一閃か、 バーストを当てるしか無い、 行けるか?」


冬夜は頷く


「幸いこちらはまだ見せてないカードが幾つかある筈だ、 特に俺はまだ敵に完知されて無い」


確かに、 まだ適応強化されていない冬夜の攻撃ならば始めの内は容易に通るだろう


そのタイミングに手数でゴリ押して相手の注意を散漫とさせ、 何とかバーストを打ち込むしかない


ならば……


「俺の能力、 俺の出来ることを全て皆に伝えるよ、 俺は考えるのは不得意だから、 でも完璧な作戦があったらきちっとやり遂げるよ」


冬夜は驚いて、 笑う


「日暮、 お前ら変わったな、 俺が貼り付けにされてる間にいい出会いでも会ったか?」



「日暮君噂によると色んな女の子と仲良くなったみたい何だよ! 羨ましいぜ」


冬夜が笑う、 腹立つな……


「んな事どうでも良いだろ、 色々あったんだよ」



「ふっ、 わかったわかった、 山を降りたらゆっくり聞くよ、 その色々をさ」


そう言って更に笑う冬夜、 日暮は頭に浮かぶ人々の顔を振り払って自信に取れる最適な事


協力して敵を倒す事を意識し、 自分の能力、 アドバンテージを伝えた、 全てはあのゴリラを倒し


その先に待つ、 猿帝を打倒する為に……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ