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第三話……『大量だ…………』

薄暗い店内だから奥行のある棚が何も無い様に見えるだけ……


「無いやん」


奥の方にあるはず……


「無いやん」


床に転がってたりして……


「無いやん……ん? あれは……」


床に目線を落とした時、1番下の棚に小さい影が幾つか目に入った


「なんだろう?……まあ取り敢えず手を伸ばせ……それから悩めだな」


静かにゆっくりとしゃがむ、無いと思うけど膝が鳴って敵に位置がバレるなんて笑い話にもならない


「鳴らないだけにってか……暗いな見ずらい」


ライトは付けない、持ってはいるが注目を集めるから余り使いたくない、近くまで寄せれば字は読めるし……そう思いながら丸いフォルムに手を伸ばしてみる


「え~と…… あずき………」


他は?気を取り直して……


「あずき、 あずき、 あずき、 結構あずきは残ってる……」


「まあそりゃそうか……ここはあずきの棚って事なんだから、 それにこんな状況じゃ要らねぇよ……」


そう思いながらも一缶だけ背負っているリュックサックに放り込む


「あずき……幾つあんだよ……ん? ………この缶サイズ違うな、 隣に本来あった商品かな……なんだろ」


目を凝らして文字を読む……


「ズ……ワイ……ガニ…………ズワイガニ!?」


「もうあれやん、 俺……勝った」


思わずガッツポウズしそうになるが我慢我慢、呑気してる訳にはいかないんだから……


その後周辺の棚を奥までくまなく捜索……結果


「イワシのみぞれ煮、 サバの味噌煮、 秋刀魚の蒲焼2缶か……いいやん」


探してみるものだ、 ちゃんと見つかる


「イワシ、 サバ、 秋刀魚、 そしてズワイガニ……期待より少ないけど、良しにするか……」


水や飲料水コーナーも近くにあるはずだ……そう思いその場を立ち去ろうとして…………………






「しゅみヨふぁヤァ…」「しゅみヨふぁヤァ…」「しゅみヨふぁヤァ…」「しゅみヨふぁヤァ…」「しゅみヨふぁヤァ…」「しゅみヨふぁヤァ…」




バッ!!と音が鳴る程の勢で、 反射的に声のした方を振り返る……


薄暗闇の中に小さな人影が幾つも見える、左右に小刻みに揺れた人影が…………


…………大量だ………………


囲まれている訳じゃない……でも……なにか変だ………


敵影が見えるのは……隣の棚の向こう側、スカスカに空きのある棚だからこそ見えたのだ、だがそれは良い、俺が変だと感じたのは……


「並んでやがる……」


こいつらは複数で行動する事があるのは知ってる、 でも統制が取れないのも知ってる、何度も見てきた、 それなのに、五、六体程いると思われるこいつらは、 向こう側の通路に等間隔で並んでいた……


(なんで襲いかかって来ない?、通路の向こうに居るとしても、回り込むなり、突っ込んで来るなりしそうなもんなのに……それにこいつら落ち着いてやがる………)


何だ? 何だ? 何だ?


思考は止まらない……それでも答えは出ない……


彼は…振り向いた時の硬い構えのまま、 考え、 立ち尽くしてしまった……


そして、 気づく……こいつらが同時に足を上げた事に………そのフォームは………前蹴り


何に……?


……………棚に。






はっっ!!次の瞬間全力で棚の出口まで駆け出す……


(こいつら、棚を蹴飛ばしてこっち側に倒して来やがった!!)


突如高速になったように感じる思考がどうしようも無い程今更な状況を理解させる


景色がゆっくり流れている様に感じ、 何倍にも引き伸ばされたような意識が、 数秒以内に自分に訪れる未来を予想する


棚がこっち側に蹴飛ばされた、つまり棚は倒れてきてるから……


(俺は押しつぶされる……………と)


そうはなりたくねぇ!!


突然景色の流れが早く、 正常に動き出す……


状況は駆け出して1歩目を踏んだとこ……で……棚は少し傾いてるような…………………わからん!!


出口まで距離8メートル……間に合うかどうかはわからん、普通に行ける気もするが何とも言えない………


だから……今することは………………


全力で駆け抜ける!!!




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