第二十七話……『断ち切る刃』
ブレイング・ブラスト、 拳に溜めた空気の圧をパンチと共に敵に直で食らわせる、 この攻撃は確かに巨鳥を叩き落とした
だが……
「ちぃっっ!! 舐めるなよクソカスのガキがァァァ!!!!」
落下体制から一気に体を捻り地面への衝突を回避する巨鳥、 そこから上昇を始めた
……
「うあっ!! 危ね!」
巨鳥の体をしっかりと掴む、 体は既にボロボロ、 足は折れているしそこらじゅうから血が滲み出して力が抜ける
でも……
「離さねえぞぉ!! もっかい叩き落として……」
力を振り絞る、 あと3秒程で、 もう一撃放てるが……
……
「手刀陣・指包、 引き剥がせ!!」
5本の手、 さっきの大暴れで比較的手のダメージが少ないものが人差し指と親指を立て向かってくる
こうしている間にも高度は増す、 巨鳥に有利な空の世界に
……
「くっそ!! 流石に俺の方が先に、 ブレイング……」
ピシャッ
突然ぶつかってくる風に鋭利さが産まれる、 体を切りつけられさらに力が抜ける
ガシッ、 指は器用に日暮の体を摘み上げ体から引き剥がす
「離せよぉ!! くっそ身動きが」
そこは既にかなりの高度であった、 下を見て、 足場までの距離、 不自由さ、 恐怖が這い上がる
掴む指に力が入り、 骨が軋む、 パキッ
馬鹿みたいな音で肋が折れた
「痛ッァア!!」
痛みに悶える、 掴んでいる手が動き巨鳥の顔の前へ
……
「はぁぁ…… 人間良くやっただが何をしようともう終わりだ、 ほんとに終わりさ、 仮にだがたとえここで私を倒しても落下して君は終わり、 もう本当にどうしようも無い環境だ、 人間にはな……」
「見よ、 陽帝の……いや太陽の威光は傾いて、 時期にに夜のとばりが降りるだろう」
建物や山よりも高く、 一足先に変わり行く空の色を見つめる、 あと数10分もすればこの空は紅く色付くだろう
それ程この空は美しく澄んだ世界だった
「慈悲だ、 今のお前にはわからんかも知らん考えだろうが、 敵に対して慈悲の心を持つ、 最高の好敵手であれば、 それは最高の友だ」
「命を欠けているので勿論命をとる、 だが曇りなき戦闘者でありたい我は命をとることにも慈悲の心を働けると思っている」
静かに時が流れる、 戦いの中とは思えぬ程この場は自然の伊吹がもたらす美しい静寂に包まれていた
「我の美学だ、 そんなものは戦っている者からしたらただのエゴだと君との戦いで気付かされた」
「しかし、 だからこそ我は我の信じる道を進み、 信じる事をしよう」
日暮を掴む手の力が無くなる、 フワッ
一瞬の浮遊感と共に体が落ちてゆく……
「せめて最後にこの美しい世界を見つめ死に行くが良い……」
空中で停滞する巨鳥と落ちて行く人との距離はどんどん離れて行く
人の力だけではもうそこには届かない、 きっとこの世界が作り物だったならエンディングのシーンなのだろう、 美しい終焉ならば勝者がどちらかなど関係ないのだろう………
「さらばだ、 強かったお前ももう我の友よ……」
……
……………………………
………………………………………………………
……………
「この世界が作り物の映画とかだったなら……」
きっとエンドロールが流れていて…………
「俺はぁ、 見ねぇなこんな退屈なクソストーリーは……」
きっとその声は巨鳥に聴こえてない、 それどころか巨鳥はもう日暮の事など見ていない
だから好機なんだ、 これだけ距離をとって時間も稼げる……
「慈悲が結局エゴだって言うならなぁ」
彼の服の内ポケットから何かが取り出される、 光を反射するそれは、 さっき彼が武器として使っていた物と同じ物だ
「後で死体に手ぇ合わして埋葬するだよ、 でもそれは、 その慈悲は決して、 まだ生きてる奴にしていいもんじゃねぇだろうが!!」
空中で体を捻り、 折れていない方の足でその武器、 もう一本予備に拝借していたシャベルを蹴りあげる
「ブレイング・ブースト!!」
カァァンッ!!
金属が蹴り挙げられ唸る、 力によって加速したシャベルは彼の想いも乗ってか、 その高度を巨鳥へと届かせる
きっと狙いは外れた、 でも巨鳥はそのシャベルに、 いや攻撃に気づいた
だから精一杯声を張る
「おいクソ鳥!! てめぇ命の取り合いだって言うならなぁ、 きっちり俺を殺しに来いやぁ!! 手ぇ抜いてんじゃねぇよボケカスが!!」
……
静寂、 静寂
しかし、 震えている、 きっと押されられはしない、 この怒りは……
「ふざぁけるなぁよぉ!! クソ雑魚野郎がァ!! 我の考えを幾度も幾度も、 何様のつもりだこのクソガキ!!」
怒りは昔からあった、 でも今はそれ以上、 取り込んだ多くの人間達の感情を知ってしまった
自分の美学をより大切にする感情強き生命、 人間を取り込みすぎてしまった
だから頭に来ずには居られない、 それが誘いであっても
「やはりぃ、 我が力で、 我が能力で貴様を破壊する、 貴様を殺す!!」
「手刀陣・逆さ楼塔」
躊躇いのない、 攻撃、 10本ずつ壊れた手同時が絡み合い、 総勢10本の杭が射出される
「我の細胞はね時間は掛かるが再生するんだ、 君が切り飛ばした腕だって再生させた、本当は無理な使い方もしたくない 」
「再生にはとても力を使うからだ、 でもねよく分かったよ……」
腕の射出と共に自身も降下する
「敵を殺しきる事には変えられないんだ、 どんな傷だって気にならない、 貴様みたいのを殺す事に比べれば!!」
10本の杭が1箇所、 日暮れに向けてぶつかり合う、 ぶつかった杭と杭が互いを破壊する
……
「いってぇぇぇぇぇ!!!!! あぁぁぁぁぁあ!!!」
体が破壊される、 蹴り上げた足も折れた、 足を犠牲にして上半身を生かしたが、 延命とも言えない
「ああああぁぁぁああ!! くっそぉがァ!!」
上空を睨む、 徐々に地面が近づく、 急降下する巨鳥がトドメに向かってくる
「くっそッ、 最後のブラスト間に合え!!」
あと数メートル、 躊躇いもなく突撃してくる巨鳥、 その鋭い嘴が日暮の反応より早く届くだろう
「うッらァァ!!」
それでも最後の一撃に全てを………
(………なんだ? あれ……)
日暮の見つめる先、 巨鳥の死角の向こう側から
(明るい……光の矢?)
一瞬世界が強く照らされ……
ドッゴォォォォォォォォン!!!
妙な雷音が遅れて響く、 雷が巨鳥を穿つ
一瞬体が痺れたように感じた瞬間小さく声が聴こえた……
「人間の反応、 人間は敵じゃない、 人間は敵じゃない」
その瞬間痺れは消えた
……
「ギョギャァァァァアアア!!!」
巨鳥は悲鳴を挙げる、 突然の雷撃、 不意打ち、 予想外のダメージ
羽を上手く動かせないのか落下を始めた
両者一瞬の硬直
……
「はっ!! ブレイング・ブラスト!!」
落ちゆく巨鳥にいち早く拳を叩き込むべく動く
しかしそれは巨鳥も反応を示す、 ひゅ~
風が動く、 軽く身を撫で切り付ける、 既に皮を肉を切断する質量の風の刃が完成している、 日暮は知らない、 見えないからだ
だからそれは奇跡だ、 風は空気の動き、 日暮の力は空気の圧縮、 空気を力で集めて居るのだ
風の刃は、 放たれると共に、 日暮の力として圧縮し固められた、 それは偶然だった
「もっかい…… 叩き落ちろやぁ!!!」
地面まであと10秒程、 握った拳が当たる……
……
「まだァ 死ねるかァ!!」
嘴を大きく開ける、 拳を腕ごと嘴で噛み砕く、 バキッ!!
ビシャァァ!! 細い腕ごと噛みちぎれ、 そこから血が吹き出す
「……これで終いだぁ!! 明山日暮!!」
更に風の刃を作り、 これでほんとに終わり
……
「俺の手には圧縮された空気がまだ握られてんだぜ、 てめえの口ん中でよぉ」
「ブレイク・バースト!!!」
巨鳥の体が一瞬膨張した様に見えた
ブッシャァァン!! 体内で空気が打ち出され圧で傷口から血が大量に吹き出す
「良かった、 打ち出して無いうちは発動して無いって判定か」
体外に血が大量に吹き出した巨鳥は既に満身創痍
日暮自身もまともに動くのは腕1本、 もう片方はちぎれ、 足は両方折れている
どちらも着地は難しいだろう、 叩きつけられ死ぬだろう、 でも死ぬまでは目が死なない
少なくとも日暮の目は生きている
「とどけぇぇぇ!!」
残った手を伸ばし巨鳥の体を掴む、 少しでも体を丸め急所を守る
次の瞬間
ドッサァァ!! 地面に落下、 勢いで体が跳ねる
巨鳥の落ちた場所は血が吹き出し凄惨な現場を作り出す
日暮の方は……
血を吹き出しながら転がって止まる、 死体のようなそれは、 しかし
「いっでぇぇ、 ぁああ!! 」
痛みで視界がボヤけ目眩までする、 血が足りていない、 それでも生きていた
「ああぁっああ がァあぁ、 くっそぉ……あっああぁ!!」
痛みで叫ぶ事しか出来ないが、 それでも生きていた、 咄嗟に巨鳥をクッションにして最初の叩きつけられた衝撃を大きく緩和した事がこの采配を導いた
それとは反対に巨鳥は見るからに死んでいた、 そこには多くの要因があった、 だが1番の理由、 根幹の理由はやはりそれが真に命を懸けた戦いだったからだろう
勝利とは力の強弱では決まらない、 強大な力の猛攻に耐え、 弱くとも決めるタイミングで力を振るえた
勝敗とはそうやって決まるものだ、 勝敗は着いたが、 きっと日暮も死ぬのだろう
それで満足だとも思えた、 それで……
…………………………………
………………………………………………
「しつこく…… てもね、 綺麗な、 終局を汚してもね…… 勝てれば良い………… んだよ日暮…………」
弱々しい声が響く、 それは既に体の死んだ巨鳥の物だった
巨鳥の血は大量に流れ出し、 ひび割れたアスファルトを流れ、 ほんの少し傾斜になっている地面を伝い日暮の元までたどり着いていた
「我の細胞は…… 取り込んだ物を我にする…… 雑草や苔が生えているねぇ…… これらが血を沢山吸ってね、 これらはもう我なんだよ…… ふふ卑怯だろ?」
「初めて…… 肉体が死んだが、 我のこれ細胞にとって見れば、 一定の肉体が…… あれば十分生きれるんだよ、 勿論今知った事だが……」
血を吸った雑草達が急激に育ち有り得ないほど背を伸ばす、 苔が日暮の体を覆ってゆく
「勝利したい、 負けたくない、 そこだけは譲れない、 勝者として、 そしてこれからも生きる」
ドカァァ!!
少し離れた地点、 巨鳥の死体の直ぐ脇で破壊音がするアスファルト、 を穿ち、 巨大な植物が出てくる
「死体から栄養を補給しよう」
根を伸ばし巨鳥の死体から養分を吸い出し始める
「そして並行して君を殺そう」
伸びた雑草が体を無数に締め付ける、 雑草の鞠が出来上がり日暮を完全に覆ってしまう
「君も、 いい養分になりそうだね」
蔓が伸びて首を絞める
「きっちり止めを刺してからね……」
……
体は動かなかった、 どっちにしろ死ぬ、 全身が痺れ何も考えられない
(死ぬ…… 死ぬ…… 死ぬ)
寒さも恐怖も薄らいで行く
(死ぬ…… 死ぬ……………………………………
死………………………………負ける…………?)
…………………………………
……………敗北だね………まだ、 死んでないけどね…………………
……………………………………
「はぁぁああぁぁ!!? っざぁぁけんなぁぁぁ!!!!」
死体が動き出すような感覚だ、 叫びをあげてもう一度動き出す、 生存の為の本能は時に生存と反対の死を容易に受けれる為の行動をとる事がある
痛みを引かせ、 眠気を誘い、 苦しみを紛らわす、 だからこれはこの生命の意思じゃない
この更なる苦しみの先に勝利を求める気持ち、 行動は日暮という人間の意思だった
生存本能を跳ね除け、 勝利を掴む、 闘争者としての姿だった
苦しい、 痛い、 でも……
「死んでねぇ!!」
最後の根性で身を起こす、 敵を睨みつける
……
「ハヒヒ、 それでこそだよ、 素晴らしいじゃないか、 素晴らしい根性だな!!」
「でもそこからどうにも出来ないさ……」
真実だった、 最後の力を出せても動くのは腕1本
ここからできるのは死を待つことぐらいだ
……
意識も朦朧として来て
不意に自分の腰、 ズボンのループに着いた厄除けの御守りに触れる
既に敵の肉体である苔の中に手を入れる……
(……何かある?……)
硬い何かが手に当たる、 これは……
「あっ…… ナタ……」
そこには俺のナタがあった、 重圧な刃、 味の出た艶のある木目の柄、 それらが骨と絡みつき歪みによる僅かな湾曲を作り出している
初めからそうだった様に、 禍々しく形の変えたナタは確かに俺の獲物だった
鳥野郎は言っていた、 切り離していた自分の手を回収してきたと、 そしてその手はあの小さい鳥頭から回収したものだ
(こいつの細胞の性質上、 切り離すのも取り込むのも簡単で、 きっと鳥頭をそのまま吸収して手を回収したんだ)
(その中の一体に俺はナタを投擲して打ち付けた、 その後ナタは鳥頭と共に姿を消した)
(きっと鳥頭の体をその都度回収して、いつでも手を自分に戻せるようにした、 ナタの刺さった死体ごと体に取り込んだ)
(俺のナタはずっとアイツの体の中にあったんだ、 そして植物になったこいつは鳥の死体を取り込んだ、 その成長はそのままこの苔を成長させた、 その流れでナタは偶然にもここに出てきた)
骨のごたついた木のグリップを強く握る、 骨が握る手に突き刺さる、 不思議と一体化したのだった
御守りを見る
「そうだ……偶然じゃねぇ、 必然だったなあ!!」
……
「なんだ? さっきから何をブツブツ…… なんだ?そのナタ何処から……」
草野郎は焦りを抱く何故なら
「何故、 そのナタ我の細胞が、 我として1つの物として完成している? でも我じゃない!!」
「殺す!!」
……
焦りは弱者の姿勢、 きっと強かった巨鳥は死んだ、 戦いを知らない草へとなったコイツは呑気しすぎた
「もう遅せぇよ、 草野郎……」
「ブレイング・ブースト!!!!」
握られたナタが超加速する
「たたっ斬る!!」
動かない体ごと無理やり引っ張りあげ、 草の鞠を内側から切り開く、
そして……
……
「ぎゃあああ!! そのナタ、 我を喰らってる!! 我の細胞が我を喰らってる!!」
ナタと同化した元は奴の骨だったものは今や全てを喰らう細胞として、 一振のナタとして完成していた
さらに喰らった草野郎の肉体を骨で繋がった日暮の養分として取り入れる
顎を広げた日暮のナタは周囲の物を一掃平らげた
……
「熱い、 これは…… 傷が治ってく、 いや取り込んだ草野郎の、 鳥野郎の細胞が俺の体に起きかわって行ってるんだ」
「俺もまた俺としての純度が低くなって行く…… でもこの取り込んだ細胞は敵じゃない、 それも確かに俺だ、 俺になったんだ!!」
ナタから供給された細胞が体の傷を癒した、 彼はこの終局に来て
「ふははっ!! いよっしゃぁ完全復活~」
もう一度立ち上がったのだ
………
「有り得ない…… 勝利は我に……」
歪な羽の生えた人のような何か、 その形を模した草が弱々しく地面から姿を表す
「勝利するのは、 生き残るのは常に我だ!!」
その草人型は日暮れを睨みつける構える
……
「いいや、 違うね、 勝者は決まって無い、 今からそれを決めるんだ、 でも俺が勝つ……」
日暮れはナタのグリップを強く握り、 重心を軽く、 迎え撃つように構える
一瞬静寂、 昨日降った雨、 その水溜りに、 1つの雫が跳ねた……
ザリッ!!
草野郎は動きを見せる、 ドンピシャカウンター!! それしか無い
「ブレイング、 ブースト!!」
……
「バカが!! 焦ったな!! フェイントだよ、 まだ動かないぃ、 初歩的なミスだなぁ!!」
日暮れは草野郎の動きにつられブーストでナタを振り下ろしてしまう
カンッ!!
甲高い音を立て地面とナタがクラッシュする
すぐに動かなくては行けない、 そう思い日暮は急いで体制を立て直そうとするが……
「ギャッシャア!! 地面を伝って根を延ばせることを忘れたか!!」
足元を突き破り足首に根が巻き付く
「身動きを封じた、 勝った!!」
草型は地面を蹴って接近、 爪のように伸ばした手を日暮に突き立てた……
「やった勝った!!」
……………………………
……………………………………
「やった……勝った……………」
……
「え?」
ぼうっ
熱い、 足元が熱い、 焼けるように熱い、 何だ?
「熱いッ、 えっ、 火っ、 火が足について、 なんでぇ!?」
草の体、 弱い火だが瞬く間に次々へと燃え移って行く
「けっ消さなくては!!」
……
「うらよ!! 」
既に膝ほどまで火が回っている草野郎、 その足首を低い体制のままナタで切り飛ばす
……
「うあああ!!」
体制を崩した草野郎その体を火の手がどんどん包んでゆく
……
「何故って思ってるだろうが、 お前が招いたんだぜ、 お前のさっきのフェイント、 そのせいで地面をナタで叩いちまった」
「そっちから上手く見えなかったか? その時に火花が散ったんだよ、 その火花が散ってた所にお前が来たんだ」
「だから足から火が出たんだ……」
「まあ正直偶然だったけどよ、 今俺の偶然は、 全部必然だからよぉ!!」
振り上げたナタを、 体制の崩れている草野郎に突き立てる
「勝つのは俺なんだよぉ!!」
ザックッッ!!
……
「俺はまだ………負けて………な………」
……
「名付け…… このナタの銘、決めた……」
握りしめたナタが次の言葉を待つ
「敵を喰らえ、 『牙龍』!!」
呼応する様に重圧な牙は持ち主の敵に喰らいついた
そして……
……
「ああっ、 負……け……?」
……
「俺の勝ちだ……」
……
バクンッ!!
敵の痕跡を少しも残さず、 喰らい尽くした
静寂が支配する、 空は焦げ付くような朱色で空を焼く
「勝った…… 勝った……」
そう勝利の後は叫ばずには居られない
「勝ってやったぞ!! どうだ!! どんなもんだよ!!」
ふぅ……
一息ついて朱色の空を見つめる、 勝利の味を確かに噛み締めながら……