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第百六十二話…… 『天閣の祝詞、 後日談・21 夢にまで見た異世界転移《七》』

「……では、 男達はラーダの里を目指し出発したのか? 確かに状況を考えれば早いに越した事は無いが…… この里の里長で有るのに、 この老いぼれでは力になれんのが悔しい……」


ゴーレム数十体が里の夜を襲撃する未曾有の事件、 恐ろしいゴーレム集団は、 しかし、 一人の余所者が能力を持って全てを破壊した、 里は今再び何時もの静寂を取り戻したと、 直ぐに里長にも報告があった


その後、 ゴーレムを寄越した、 ラーダの里へと男達が説明を求め歩を進めたと言う、 その中にはその余所者も共に向かったそうだ……


……里長は自由の効かなくなった体を呪いながら、 里の未来を案じる……


「……そうですよね、 商人のルドスさんが居るので話し合いにはなるでしょうが、 やはり、 両里間の問題は、 本当は里長が話を付けるしきたりになって居ますから…… それに今回は状況が状況ですし、 果たしてどうなるか……」


うん……


頭を悩ませる里長と報告に来た、 里に残った男、 確実にラーダはこの里を滅ぼしに来た、 長い亀裂の末不干渉となって来た両里がこんな形で干渉してしまった事に頭が痛い……


……………ザッ


不意に奥の部屋から物音がして、 里長の孫娘、 里の巫女でもある、 シャルルが姿を現す、 薄暗い燭台の火でも分かる様に、 彼女の顔色は良くない……


「あっ、 シャルルちゃん、 寝てなきゃダメよ……」


里長の家へと避難していた酒場の奥さん、 ルーズさんが慌ててシャルルに駆け寄る、 体調を崩したと言うシャルルを看病してくれていたのだが………


シャルルが力無く口を開く……


「……私が、 行きます…… 里長の代わりに、 巫女として、 私が、 里を代表して話を…… っ、 して来ます………」


っ!?


「何言ってるの!? シャルルちゃん凄く顔色悪いのよ? 熱も少し有るでしょう? 眠ってなきゃ………」



「そっ、 そうじゃ、 シャルル、 お前が行く必要は無い、 両里間の問題は里長の仕事だ、 巫女の仕事とは関係ない……」


たんっ……


シャルルはふらつきながら、 机へと手を付く、 里長が見た彼女の顔は………


「……巫女の仕事とは関係有りませんが、 私には関係あります…… 私は…… そう遠くない未来の、 里長ですから」


っ………


ぁぁ………… そうか…………


まだまだ、 ずっと子供と思って居た、 そう思って居たかった…… でも、 シャルルは、 ならざるを得無かった故に、 もうずっと大人になってしまった


この里の未来を想い、 そして、 現里長が、 自身の祖母が、 決してその命がずっと先の未来まで生きては居ないと、 それ故に覚悟を決めてしまったのだ……


その目は、 夫を失い、 義父母共に亡くなり全ての役割を一身に受け継ぎ、 泣きじゃくる一人息子を前に、 人知れず涙を忍んで覚悟を決めた、 嘗ての自分に似た目だった……


「……私も里の未来の為に戦いたいです、 お願いします里長…… っ、 私にラーダへ行かせて下さいっ!」


その言葉にシャルルを宥めるルーズさんの声は届いて居ない、 驚きに固まった男達も見えていない、 一瞬ここには、 里長とシャルルの二人しか居ない様に思った………


っ……… 里長は下唇噛んだ、 知っている覚悟だからこそ、 彼女の未来を思えば、 強い心を育てなくてはならない…… 自分も本格的に託す時が来た様だ………


ふぅ………


「……分かった、 シャルル、 今回の件、 両里間の話し合いは貴方に任せます、 里の未来の為、 貴方に託します、 良く考えて話をしなさい」


目を開いたシャルルに、 それでも……


「ただし、 出発は明朝とする、 明朝になっても体調が回復して居ない場合は出発を許可しない…… ですから、 しっかりと今は休みなさい…… 皆さんも今晩は一旦家へ帰ってくれ、 同行の者はまた朝に決める事とする……」


里長の言葉にその場に居た人達は確かに頷く、 シャルルを心配しながらもルーズさんや、 男達も家へと帰っていく


その後シャルルも、 里長も床へと着いた、 明朝出発すれば到着は昼頃となるだろう、 既に里を発た男達は、 夜道を行くとしても日が登り切る頃にはラーダへと着くだろう……


里長は目を瞑ると、 瞼の裏には、 幼い自分や、 夫の姿、 里の景色や、 息子やシャルルの母、 そして産声を上げるシャルル……


その記憶が鮮明に、 昨日の事の様に蘇っては色を変えていく、 そんな自分が長い時を生きてきた、 苦しい思い出も沢山有るけれど、 それでも幸せだった……


大好きな生まれ故郷の未来を、 里長として、 そして一里人の心を持つ者として……


「……皆、 これからの事は頼んだぞ……」


ポツリ、 そう呟いてから、 里長はこの夜の、 眠りへと意識を深く落とした……


…………………………………………



………………



……


夜の森を進むと言う事は、 想像を絶する程の困難だった、 森を進む事に長けた狩人がそういうのだ、 所詮日暮程度にこの過酷な道程を進む程の力は足りていなかった


十三回は転んだ、 その度に本気で心配される、 ジェードの奴は鼻で笑いやがる、 いつしか土まみれとなった日暮だったが……


何度か休憩を挟み、 それでも必死に背に着いていく、 獣道をぐんぐん進んで行くと、 暫くして川沿いに出た、 この辺りからならば川沿いを進んで行く方が正確で早いと言う


砂利道を進むのも簡単では無いが、 まあ何にせよ、 息も絶え絶え、 ぜえぜえのはぁはぁで、 歩き続けることどれ位……


……………


空が、 薄らと漆黒に光が混じってくる、 やがて深い青に、 少しずつ白を足すように………


………夜が明けた、 満たす静寂と、 何処か騒がしい森の木々の間、 通り抜ける風、 白い空へと、 温かみのある光が地平線の向こうから差した頃………


「……見えたぞっ! ラーダの里だっ!」


一見して分かった、 周囲を高い木の柵で囲って居る、 城塞の様だ、 陽光が差して、 何やらこちらに向け、 キラリと光った、 門の上………


「……弓だ、 俺達は既に補足されているな…… 流石に打っては来ないだろうが、 手を挙げて近づこう……」


言われた通り皆、 敵対の意思が無いように手を挙げて、 一歩一歩慎重に門へと近付いた、 日暮も同様に歩幅を合わせた……


キラリッ!


「そこで止まれっ! ネーヌの里の者らよ! 何用でラーダまで来られたっ!」


何用か…… 分かりきった事だろうに……


「昨晩我が里が、 ラーダのゴーレム数十体に襲われたっ! 知らない訳が無いだろう? どう言った了見なのかを問いたいのはこちらの方だっ!」


声を上げたのはベテラン狩人の男性である、 この臨時の隊の中でも彼はリーダーを務めていた、 交渉は商人の旦那が上手だが、 こう言った強気に出る場面では気迫のあるリーダーが適している


……一瞬両者睨み合い硬直したが、 やがて門の上男は、 一方的に、 『少し待っていろ』と言うと姿が見えなくなった……


警戒感を解かないまま暫く待つこと少し、 ガラガラと音が鳴り門が開く、 そうした所で、 『入れ』と短く言われた………


「……お前たち、 絶対に警戒を解くなよ、 どんな理由かは知らないが向こうはコチラを殺そうとして来たんだ、 話の通用する相手とは限らない……」


リーダーの言葉に日暮含めたメンバーは頷き、 招かれた門の中へと入って行く、 中へ入ると、 正面に数人の人物が見えて来た、 リーダーが小声で、 ラーダの里長だと告げる……


中程まで歩み進んだ頃、 背後で音がして門が閉められた、 固く閉ざされた門だ、 開け放っておく習慣が無いのか、 それとも閉じ込める為か……


五メートル程の距離まで近付いた時、 ラーダの里長が手を上げる、 止まれと言う意味だろう、 日暮達はそれに素直に従って歩みを止めた……


「……ネーヌの里の者達よ、 突然の訪問歓迎する、 どの様な要件で来たのか、 早速だが聞かせて欲しい……」


里長の男のとぼけた言葉に、 隊の男達は殺気立つが、 リーダーがそれを制する……


「門番にも言ったが、 昨晩数十体のゴーレムに里が襲われた、 この里のゴーレムだ、 その件で来たが…… 異論はあるか? それともまだ下らない茶番を続けるのか?」


里長の男は下を向く、 余裕そうな顔は貼り付けた物だと誰でも分かる、 仮面のしたは焦った顔をしているだろう、 そういう緊張感が伝わった……


「……茶番か、 確かに…… だが、 その茶番も続ける価値があるとは思わないか? ……歴史は勝者によって作られる、 ならこの茶番が史実となるだろうからだ」


スッ……


里長がもう一度手を上げると、 四方八方からさっきが差した、 ジリジリと突き刺さる様な視線…… 横目で見渡して見れば、 至る影に潜んで居ただろう者達が弓を引き、 槍を構えている………


「……ネーヌとラーダは長い間互いに不干渉を貫いてきた、 だがこれはどういう事か? 取り決めを破るつもりか?」



「はははっ、 取り決め等、 今更そんな物…… 逃げ出した男がたったの七人生き残った里等、 里とは呼べまい? ならば今ここでネーヌを完全に滅ぼしてくれるっ」


空気は張り詰めていた、 一触即発、 全員が弓に手を伸ばす、 だがその前に全員射抜かれて終わり、 誰も動けなかった……


しかし……… 随分と違和感のある言葉だ…… そればリーダーも思ったらしい


「……生き残りが俺達だけ? 何故そんな風に思うんだ?」



「強がるな馬鹿が、 お前達ネーヌには我が里のゴーレムを破壊出来る力は無い、 一方的に蹂躙され、 破壊され尽くしたのだろう、 目に浮かぶわ…… お前達は家族や子供達を置いていそいそと逃げ出して来たのだろう?」


酷く侮辱した言葉だった、 頭に来て苛立つと思った…… だが、 違った、 全員ポカンとしていて空振りだと分かる、 確かに普通ならばそうだろう、 だが今回は違う……


「何か勘違いをしている様だなラーダの里長よ、 今回の襲撃事件でネーヌの里人は誰一人として命を落として居ないぞ? ……それどころか、 ゴーレムは全て破壊させて貰った訳だしな」


………………?


里長がリーダーの言葉に首を傾げた、 だがすぐに首を横に振る、 嘘だと思ったのだろう、 滑稽だと笑う、 そして……


「はははっ、 我が里のゴーレムをお前らが破壊した? そうかそうか…… ならばっ、 実際にやってみるがいいっ!」


ッ、 ボガァアンッ!!


里長が叫ぶ、 するとすぐ側にあった小屋が音を立てて吹き飛んだ、 中からガジャンガジャンと音がする、 吹き飛んだ小屋の中から、 一体のゴーレムが姿を現した………


ガガガッ!


「ガギャアアアアアアッ!!!」


ゴーレムが咆哮する、 空気が揺れる、 周囲に一気に緊張が走る………


ザッ!


日暮が一歩前に出る、 それだけで恐怖を消すのに充分だった、 何故ならネーヌの里の男達は昨晩見ている、 自身に深く刻まれた恐怖が、 一瞬で粉砕される瞬間を……


「やれるか日暮?」


ジェードだ、 彼とは初めこそ険悪であったが、 たった一晩、 背を預け戦った時間が互いを信頼させる十分な材料となった、 今では名前で日暮を呼ぶ


それに対して日暮が笑って頷く……


「はははっ、 なんだ? お前からまず死にたい様だなっ! ならば望み通りここで死ねぇ!! 行けっ、 ゴーレムよっ! 叩き潰してしまえっ!!」


ガジャアアンッ!! ドンッ!


ゴーレムが地面を蹴る、 ゴーレムの歩幅を計算、 ゴーレムの駆動は人型であると言う理由も含めて人間に近い、 そしてパンチは常に大振りでタメを作る


その要点を踏まえ、 今までの統計を出せば容易に動きを読み、 更には操る事が出来る、 そう、 攻撃の瞬間、 軸足が前に出る、 人の構えと似て、 左脚を前に出せば右でパンチを出してくる


そして単純で、 左を出すには右足を前に出させれば良い、 ゴーレムはパンチの為に態々ステップを刻む様な事はしない、 攻撃の瞬間前に出た足を軸足とする悪癖がある……


(……悪癖とも思ってねぇだろうがなっ!)


元々ゴーレムは戦い様に作られた訳ではないと話を聞いた、 ならば、 そして更にこんな巨大な岩の塊に細かい動きや、 技術的な観点を入れ込むのは非効率的……


初めと印象が変わってきた、 このゴーレムは、 巨大で力を持っただけの、 弱点の塊っ!


グッ!


拳を握りこんで踏み込んだ位置は完璧、 ゴーレムがあと一歩の距離で右足を出す位置、 岩の右足が地面を抉りブレーキを掛けたと同時に、 狙い通り左腕が振り上げられる


そう、 これは証明だ、 力の証明、 相手に示す、 必死に貼り付けた里長の笑い顔を剥がし、 出鼻を挫くっ!


力………



「ブレイング・ブラストォっ!! ぶっ飛べ雑魚ゴーレムがぁあっ!!」


巨大な岩の拳と、 小さく、 それでも力を内包した日暮の拳が、 衝突するっ、 力と力のぶつかり合い、 弱い方が負ける……


それでも、 答えは既に出て居る……



ドッ! ガッ! ………


ボガァアアアアアアアアアンッ!!!


衝撃波の中で、 それでも日暮は笑う、 岩の腕がみるみる亀裂が走り、 吹き飛ぶっ


ッ、 ドガジャアアアンッ!!


ゴーレムを絶対的な力と思っていたのは何も怯える側だけでは無い、 ゴーレムと言う存在の上に胡座をかき、 その力を振りかざせば良いと思って居たラーダの里の者もだ………


ガジャアアンッ! ………………


崩れた、 ボロボロに吹き飛んで、 崩れ落ちた…… 固まっていた、 大口を開けてマヌケに現実を受け入れられない里長も、 その光景を見ていた里人達も……


そして、 その力を既に知っている者は、 彼等よりずっと早く動き出すっ!


カランッ! ギイッ! ギッ!


ッ、 バジュンッ!! バシュンッ! バシュンッ!


ネーヌの里人が、 驚き固まったラーダの者達に向けて、 その隙に、 既に弓を引いていた、 完全に距離と数を把握し、 連携をとった、 矢は……


ビシュッ! ビジャッ! ビシンッ!


「ああっ!?」


有る矢は弓の糸を切り、 別の矢は手を掠め痛みに弓を落とす、 弓を持つ者達が先んじて無力化される


っ、 ダッ!


その声に反応した、 槍を持った者が焦って突撃する、 躓く様な足取りのへろへろの足腰から放たれる突きは、 まるで止まって見えた……


ふっ!


「遅いっ!」


カンッ!


ジェードがナイフ一本で槍を捌きつつ、 懐へ入り、 逆の手でもう一本のナイフを相手の首へと…… 寸止めで手を止めた……


っ…… どざっ


相手が尻餅を着いた、 周りを見れば突撃して来たもの達は皆、 他の仲間に各々無力化されていた、 日暮のゴーレム破壊により一気に流れが変わったのだ……


だが、 原因は明らかにそれだけではない、 槍を持った相手の練度、 更に体の低さ、 力の無さ、 そして転がった姿を見て………


「……子供か? 長い丈の衣と奇妙な仮面で顔を隠して居るが…… 何故子供が槍を持って戦っている?」


尻餅を着いたのは子供だった、 周りを見れば、 他の槍を持った者たちも子供や、 老人、 弓を引いて居た者も女性だ……


(……まともな大人の男は居ないのか? それに、 皆、 酷く痩せて見える……)


違和感に思考を巡らすジェード、 しかしその思考が、 足音と、 発狂の様な叫び声で阻止される……


「ぎゃあああああっ!! 死ねぇええっ!!」


っ!?


里長だ、 手にはナイフ、 狙いは日暮、 里長のナイフはもう日暮に突き刺さる、 鋭さを肉に刻む、 日暮は横目で見たが体が反応出来てない、 刺さる………


ッ、 グジャァッ!!


刺さったっ、 深くっ……


「あはははははっ!! あああっ!! 化け物めっ! ゴーレムを破壊する化け物がぁああっ! 死んでしまえっ! お前らネーヌは死んでしまえっ!!」


里長は狂乱に陥っている、 会った時から何かに焦っていた様だが、 もう来る所まで来てしまった様だ、 日暮を突き刺したナイフを勢い良く引き抜こうと………


グッ!


…………っ!?


その手を、 当の日暮本人が止める、 手首を掴んで、 日暮は、 あれだけのナイフが深々刺さっておきながら、 悲鳴ひとつあげていなかった……


「………なっ、 何だっ!? お前っ、 痛みを感じないのかっ!?」


いや……


「俺はダメージを負っても傷が回復するから…… だからと言って感じないかって言われたら違うよ?」


グッ!


日暮が逆の手で拳を握る……


「くっそっ、 痛てぇんだよクソジジイがァ!!」


ボガッ!


「うげっ!?」


………ドザッ ………………


キレた日暮に里長は顔面を殴られ地面を転がる、 体はめちゃくちゃ軽い上に、 体を地面に打った衝撃でナイフが落ち滑る………


「………終わりだラーダの里長、 里の他の者も大人しく武器を捨てろっ! 見ただろうっ、 ゴーレムを何も我らには恐ろしくないのだっ!」


…………カランッ カラカラ………


槍を、 弓を手から零す、 ラーダの者達は皆膝を着いて崩れ落ちる、 そこにあるのは悲壮感、 牙を挫かれ、 力は無い……


ぅわぁぁんっ…… ぐすっ ぐすっ……


何処かから啜り泣く声が聞こえた、 さっきまで槍を持っていた者達が仮面を外す、 幼い顔立ちで零れる涙を拭って泣きじゃくる……


やっぱり子供達だ………


「……何故子供達が槍を持っている? 弓を引いて居るのも子供や、 女性、 老人たちじゃないか…… おいっ、 里長っ、 他の男達はどうした? 皆痩せているし、 それに…… 何故うちの里を襲った?」


ぅえぇんっ ぅわぁあんっ ギャーギャー……


子供達が本気で泣き始めてしまった、 誰もその涙を拭ったり、 寄り添ったりする事すらせずに、 誰もが項垂れている、 妙だ、 里と言う物は皆が助け合って生きていく場所だ、 そういう意味ではここは、 里としての存在意義を完全に失っている……


泣きじゃくる子供の声が、 痛いくらいに耳に届く………


「っ、 ぇぇんっ…… お父さぁんっ、 ぇぇんっ、 お腹すいたよっ、 喉が渇いたよぉっ、 怖いよっ、 助けてぇっ」


力の無い子供はただ、 自分を助けてくれる人に助けを求め叫ぶしか出来ない、 そういう物だ………


「ちょっと待てっ、 別に俺達は侵略しに来た訳じゃないっ、 理由を聞きに来ただけだ、 何も命まで奪ったりしねぇよっ……」


余りの空気感の重さに、 一人の仲間が思わず言い訳の様に訂正する、 だが、 それを地面から立ち上がった里長が横から割って遮る……


「はははっ……… 同じ事…… もう、 こうなった時点で、 我が里に未来は無い…… いっその事里と共に焼き払って貰った方がマシよ…… 生き残ったのはネーヌだった、 ただそれだけだ………」


何言って………


「……すいません、 話が見えないのですが? こっちはただゴーレムによる襲撃事件の弁明を聞きに来ただけです、 幸いネーヌの者は皆無事ですから、 もう争いは要らないのです、 あなた達は罰を受ける、 それだけで、 話し合いで解決出来ることでしょう?」


商人の旦那が落ち着いた口調で、 説明と共に状況を上手く纏めてくれる、 そうだ、 どんな理由があったにせよそれの罰を受けるだけ、 幸い誰も死傷者は居ない、 ならばこちらでも血が流れる必要は無い……


しかし、 それすらも里長には上手く伝わって居ない様な、 打てども響かず、 彼は頭を抱える……


「うるさいっ! もうラーダは終わりだっ! 何もかもっ! 男達が命を落としっ、 生かされたのは年寄りや子供ばかりっ、 飢えてっ、 乾きっ、 土地と共に死んでいくっ! 未来は無いのだっ! 『物語』のシナリオには、 ラーダの未来は無いのだぁっ………」


段々と話からこの厳しい現実が見えて来た、 今このラーダの里は何やら危機に瀕して居るのだろう……


「分からない…… 飢えて乾いている? 馬鹿な、 それはあの小さい小川を生活水として利用するネーヌよりも…… と言うのか? ここは昔からネーヌよりも土地が潤って居るし、 潤泉じゅんせんの湧水もある筈だろう? ……それに、 男達が命を落とした? 何を言っているんだ……」


商人の旦那の言葉に、 未だ狂乱から覚めない様子の里長は頭を抱えたまま叫ぶ様に説明を始めた、 日暮にはピンと来なかったが、 ネーヌの人達も里長の話に肩を震わせた、 内容は……


「……お前たちネーヌは我々よりも深い所に有るからなんの被害も受けて居ないのだろうが…… セイリシア上空から突如として始まった魔王軍進行、 その余波は、 ラーダの側まで迫ったんだっ」


魔王軍の進行、 その言葉が耳に残る、 そうだ、 甘樹街や、 日暮の故郷、 藍木を襲ったモンスターの被害も、 複雑に絡み合って入るが、 元を正せば全て、 四十一代魔王の襲撃が始まりだ


それは日暮の元の世界に大きな影響と混沌、 悲しみや被害を産んだが、 爆心地であるこの世界が最も被害を受けた事は容易に頷ける、 大きな爪痕を残したのだろう……


日暮からすればまた違った角度からの驚きだったが、 それはネーヌの者達からしてもそうだった様だ……


「……狩人の一人が魔王軍のはぐれを目撃し私に報告した、 我々は凶暴な獣や、 時にはモンスターとの戦闘経験もあったし、 男の数も充分で、 はぐれを討伐しようと話になった、 男達は弓を持ち、 入念な作戦を立てた上で向かった……」


しかし、 帰ってきたのは一人だけだったと言う、 その彼も内蔵を大きく破壊され息を荒らして帰り着き、 報告した後亡くなったそうだ……


「……我々がはぐれだと思って居たのは斥候だった…… その後ろに控えて居たのは将軍級の存在の一団だった、 我々は涙や悲しみに触れたが、 声を出す事も出来なかった、 直ぐにでもその一団はここを目指すだろうと思ったからだ……」


しかし、 そうはならなかった、 不思議な事だがその一団は里へは来ず、 その後姿を消したと言う、 命からがら様子を見に行った者からの報告だ、 惨殺された男達の姿は発見されたが……


里長の話、 だが違和感が残る………


「何故ゴーレムを使わなかったんだ? ゴーレムの力ならば相手を倒せたのでは無いか?」


里長は首を横に振る……


「それは違う…… ゴーレムは戦闘用では無いのだ、 それは知っているだろう? 私の里には街へ出て魔法の勉強を学んで来た者が居るが、 その者が言ったのだ」


「うちのゴーレムの様な単純な機構の物は、 相手がこちらよりも魔力の操作が得意である場合、 容易に操作権を奪われるのだ、 誰でも操作できるように作られて居るのだからな……」


魔王含む魔王軍の者は、 精霊の媒介や、 や神聖への信仰なしに魔法を録に使えない人間と違い、 それらを無しに容易に、 そして圧倒的な強力な魔力操作を武器とする


その場合、 ゴーレムの操作権は奪われ、 逆に里を襲うのだ、 そもそも相手の力を見誤って居た彼等にはそのリスクを追う事はしなかったろう……


「私達は絶望に暮れた…… だがそれでも、 生きていくしかない、 私は里長として皆を生かす事を考えた…… だが、 まさに神から見放された様な事が起こったんだ…… 潤泉の湧水から恩恵を受ける事が出来なくなったのだ……」


潤泉の湧水と言うのは、 ラーダの里から程近くに有る湧水により出来た泉で、 基本的なラーダの里の生活水となっている、 澄んだ水でそのままでも飲める程だと言う


潤泉の湧水は里が二つに別れた後に地盤の変化で湧いたと伝わってる、 その前まではネーヌの里の傍にも伸びる小川にもっと水量が有り、 それを生活用水として活用、 里が二分した際も、 ネーヌは川沿いに下流域へと下り里を作った


しかし、 これもまた自然の厳しさか、 川は徐々に水量を減らして今に至ると言う、 常に水を枯らして居るのはネーヌであり、 幸いにもその後潤泉の湧水と言う水源を手に入れたラーダはネーヌよりも豊かな生活を送って居た筈だった……


「恐らく魔王軍の者の仕業だろう、 何の目的が有りそんな事をしたのかは分からない…… だが、 我々が水を汲みに潤泉の湧水に行くと…… 泉は乾き果て、 噴泉の上には、 蓋をする様に巨大な黒い岩の塊が鎮座していたのだ……」


異質な黒色の岩、 ゴーレムよりも大きく、 ゴーレム数体を使っても動かす事も、 破壊する事も出来なかった、 円形の岩には少しの欠けも無く、 また小石程度に欠けさせる事も出来ていない……


「潤泉の湧水が渇いてからという物、 動物達も水源を失ったせいか見かけなくなった、 川まで水を汲み、 保存の穀物と野草と水で何日と耐えた事も有る…… だがっ、 もう限界だっ!」


里長が顔を上げると、 もう一度その目にはギラギラとした光が蘇っていた、 それを見て仲間たちは再度警戒を上げる……


「……そんな事があった事は知らなかった、 それ程の困難、 辛く苦しかっただろう…… だが、 それでも、 取り決めを破りネーヌにゴーレムを差し向けるべきでは無かった」


「そういう事なら協力と言う手があった筈だ、 我々の資源も潤沢では無いが、 そもそも遺恨は当の昔の物、 今はいたずらに仲を悪くする必要も無いと不干渉を貫いては居たが、 この場合は助け合えた筈だろう?」


そうだ、 それがまた新たなきっかけとなる事も有る、 悲しみを乗り越えて新たな絆が生まれる様な…… しかし、 里長はそんな絆をまた笑う……


「はははっ、 資源が無い? 馬鹿なっ! そんな事は無いだろう? お前達は生活水にあの小川を利用しているとそう言うが、 知らないとでも思って居るのか?」


里長はこちらを強く睨み見る


「お前達はっ、 お前達の里にもっ、 湧水があるだろうっ! 里長の家の裏の丘の上にっ! 知っているぞっ! お前達は潤沢に水を有して居るっ! 我々は皆を癒すためにそれが欲しいのだっ!」


「公言せず隠して居たと言う事は、 こちらに与えるつもりが無いと言う事だろう? 助け合えた? 馬鹿なっ、 それを知っていたなら助けを求めたっ! お前達も日々水を求めて居るからと、 躊躇ったのだっ!」


それは心からの叫びに聞こえた、 話を聞く限り、 里長の言う泉と言うのは、 要は日暮とシャルルが初めて会った日の、 巫女以外立ち入り禁止のあの泉の事だろう


そして仲間の驚きを見るに、 確かにその情報は隠されて居たようだ、 それとも態々言う必要も無いと思ったのか、 何にせよラーダの者が知り得なかったのはその通りらしい


だが、 日暮の知る限り、 それを知っていた所で状況は変わらなかっただろう、 何故ならあの泉の水は……


「……あの水は、 魔力を含んだ水だ、 巫女が身を清める事に使用していて、 あそこは里の者も入れない禁域…… そして誰もあの水を飲んだ事は無い、 魔力の含まれた水飲めば腹を壊す、 これが事実だ」


リーダーが何処か申し訳無さそうに語る、 その言葉を暫くして理解した里長は、 口をポカンと大きく開けた……


「……デタラメだ ……… そんな訳が無い………」


はぁ………


痛々しい程だ、 日暮はほぼ部外者だから口を噤んで居たが、 思わず口を開く……


「デタラメじゃねぇぜ、 あの水飲むとまじで最悪だから、 内蔵がひっくり返って一晩中ゲロ吐く事になるよ、 実際に俺があの泉の水飲んでそうなった…… まあ、 俺の言葉なんてなんの保証にもならないけど」


……へろへろと、 足元から崩れ落ちる里長、 きっとそこが最後の希望だったのだろう…… 商人の旦那が里長へと歩み寄って行く


「ラーダの里長、 これからの話をしましょう、 あなた方のした事は許される事では無いですが、 こちらは奇跡的に死人はゼロ、 これは不幸中のとても大きな幸いです、 きっと時間が解決してくれる…… だから大切なのはそこでは無い、 今をどうやって生きるかです……」


はっきりとした声で、 よく人の心に染みる、 長年商人としてやっているだけ有る、 交渉役として彼を連れてきて良かった………


誰もが戦いの終わりを感じ、 一瞬の気の緩みを産む…… しかし………


ギラッ! 何かが光る…………



「っ! 気を付けろっ、 里長はナイフをもう一本持っているっ!」


手を腰に回し、 引き抜かれたナイフが光ったのだ、 その刃は歩み寄った商人の旦那の首元へと…… しまった、 商人の旦那は戦闘経験においては不得手……


スッ!


「おあああっ!! 動くなお前らっ! 一歩でも動けばこの男の首はチョンパだぁららっ!!」


里長の隠し持ったナイフが商人の旦那の首筋を撫でる、 人質に取られた…… 何故だ? 何故ここまでする?


「やめろっ! ラーダ里長っ! それ以上は引き返せんぞっ!」


けはははっ!


「ならばどうっするっ!? 大人しく里を引渡しっ、 再び敗者としてこの地を去るかっ! この俺の心臓をその矢で射り、 この男の命と犠牲に勝利を掴むかっ! 」


……目が血走っている、 どうした? 急におかしくなった、 いや、 この狂乱具合、 何処か似ている、 何処か………


「我が『闘技』の名のもとにっ! この戦いに決着をっ! さぁ選べっ! 敗者として逃走するかっ! 仲間の犠牲の上に勝利を掴むかぁっ!!」


………『闘技』? そうだ、 この感覚は、 昨晩のシャルル時にも感じた、 空気が冷え静まる様な、 警戒感…… 天閣てんかくの神の力………


(……これは、 シャルルが陥って居た状態と同じなのか? そういえば昨夜のあの男、 シャルルを狂わせたのはアイツだった、 アイツがこの里のゴーレムをネーヌに引き連れた、 この里長の狂乱も全部、 あの男のせいなのかっ………)


っ!


「矢を引くなっ! 里の襲撃は里長の判断じゃないっ! ジェードっ、 全部昨晩の男の画策だっ!」



「分かっているっ! 俺も同じ事を思った…… だが、 状況は変わらないぞっ!」


いや、 方法は有るっ!


ジャキッ!


日暮は流れる様に腰からナタを引き抜くと、 ナタに巻きついた鋭い骨が手に突き刺さる、 その切っ先が敵に向いた時、 日暮は既に叫んで居たっ


「ブレイング・ブーストッ!」


ッ!


ビジャアアアアンッ!!


っ!?


「うぎゃああああっ!?」



「いだあいああっ!?」


二人の痛みに悶える声が耳に届く、 日暮の動作は見えただろうが、 加速したナタの速度は見えなかった様だ、 商人の旦那の首筋を撫でた刃は上がり、 そのまま後ろの里長の側頭部を切り付けるっ!


ビジャアアンッ!! ………ジュルルッ!!


何故日暮はこんな事をしたのか、 それはナタと共に、 伸縮する骨が日暮の腕と繋がって飛んだ、 切りつけたと同時に、 時を巻いて戻す様に二人の傷を直していく………


ビジッ!


何か亀裂が入った様な音がして、 日暮の中に有る小さな力、 『勇者』の力が里長の内側で轟々と闘争心を煽る『闘技』の力を叩き出す…………


フワッ………


見えた…… シャルルの時と同じ、 魔力の塊が吹き出した………


「ッ! 戻れっ!」


グッ、ジャララララッ!!


骨を引くと戻る反動による返す刃ガ、 逃げようとする魔力の塊を、 真正面から吹き飛ばすっ!


バジャアアアアンッ!!


「ギギャアアアアアアアッ!!?」


…………………………………


ドザッ……


商人の旦那と里長が崩れる様に倒れた、 カラン…… ナイフの落ちる音が聞こえる……


「ぅあっ、 わっ、 私はなんて事をしたんだ…… すまぬっ、 本当にすまないっ! ……ゴーレムによる襲撃もっ、 全ては私の責任だっ……… 私は終わりだ………」


邪気が抜けた里長はぐったりとしていて、 自分の犯した罪を理解している様だ、 不憫なほどに顔が青い………


商人の旦那は腰が抜けた様で地面を転がる様に少しだけ距離を取ると、 こちらを見た……


「……なんだったんだ今のは? 死ぬかと思った…… いや、 そんな事よりも…… 昨晩の男がどうたら言っていたが、 なんの事だ?」


日暮は頷くと、 ジェードと共に昨晩の男と話をした、 不可解な男がゴーレムを里に引き込んだと語った事、 シャルルの事は彼女を傷付けない範囲で様子がおかしかった事だけ、 関連して伝えた……


…………


「………そうだ、 その男の事はうっすらと覚えて居る、 いつも軽薄な笑みを浮かべて居た…… 突然やって来て、 何度か話をしたが…… 余り良く覚えていない」


ラーダの里長は頭を抱えたまま項垂れている、 その会話は主にラーダの里長と商人の旦那、 そして事情を知る日暮とジェードで行われた


他の仲間達が協力して、 泣きじゃくる子供達を家へと返したり、 混沌とした里の中を沈めて居た………


「……たしかにあの男に何かをされたのだろう、 だが、 だからと言って私の罪が消える訳ではない…… 取り決めに乗っ取り処罰を受ける…… だが…… 私の事はどうでも良い、 死刑だって構わない…… だからどうか…… 他の者達は許して欲しいっ……」


地面に頭が付くほどに、 その声は聞き迫って居て、 邪険に出来る様なものでは無い……


「頭を上げてください、 確かにあなたの罰は逃れられませんが、 それを決めるのは里長であって私では無い、 一度ネーヌへと来てください、 そこで判決が下るでしょう…… しかし、 私の方で話を通して置く、 これは慈悲では無い、 私はこの事態にもっと大きな力の畝りを感じる」


あの男が仮に、 この世界を統べる神、 理夕りせつの様な、 人智を超えた力を持つ存在だったなら、 ただの悪戯で済む話では無い、 もっと大きな事態に発展しかねない


「……わかった、 その通りにしよう ……はぁ、 何故こんな事に、 何故魔王軍の残党が…… 何故、 水がせき止められ、 何故男がこの里に…… 悔やんでも仕方の無い事だが、 過去を悔やまずには居られない」


もう巻き戻せない残酷な時の審判に、 嘆くことしか出来ないと言うのは珍しくは無い、 だが、 それはいつだって心を焼く程に辛い……


これは大きな問題になるだろう、 誰かの気苦労は、 重しとして未来に引き継がれ、 辛苦を詰めた重箱は、 未来を進む次の世代へとのしかかる……


またこれも、 大きな重荷として、 シャルルの肩にのしかかる…………


(……まだだっ)


まだ……


(……俺は里に、 シャルルに恩を返せてねぇ)


ほんの少しでも、 ほんの小さな問題でも、 その内のひと握りでも、 例えばずっと隣に居られなくても、 自分が生きているのは今、 今出来る事がある筈だろっ


グッ!


日暮は拳を強く握る、 大丈夫、 やるべき事は分かっている……


「……ちょっと待ってくれ、 里長の罰が変わったりする訳じゃ無いけど、 どうしてもやりたい事が有る、 俺にならきっと出来る事だっ」


里長、 商人の旦那、 ジェードが日暮を見る……


「その何とかの湧水って所に案内してくれないか?」


里長は首を傾げた……


「疑って居るのか? 本当に水は止まり大地は枯れている、 いや、 仕方ない事だ、 案内しよう……」


日暮は首を横に振る、 何も里長の話した内容を疑っている訳じゃ無い、 ただ、 どうしても、 日暮だからできる事が有る……


「……確かでかい岩が湧水に蓋をしてるんだよな? つまり…… その岩をどうにかする事が出来たなら、 もう一度水は湧き出して、 水不足は解決するんだな?」



「……そっ、 そうだが、 しかしあれは大きすぎて動かない、 ゴーレムを使ってもダメだったんだ、 あれはどうにかなる代物では……」


それでも、 そうだとしても、 里の人間はもう皆諦めたのだとしても、 日暮にはまだその諦めは訪れていない………


「ぶっ壊せるかもしれない、 俺の能力ならっ、 ゴーレムでも破壊出来なかった、 それでも俺はゴーレムを易易破壊できる…… 俺のブラストで岩をぶっ壊す、 可能性があると思わないか?」


っ………


その場にいる者が日暮を見た、 その目に映るのは驚きと、 困惑……


そして、 微かな希望………


「まずは案内しろよ、 そのデッケェ岩の所によっ」


日暮は笑う、 その拳は既に固く握られていた………

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