№7 王女VS王子
どМVSドS。
エリザはケント王子の前まで進み睨みつける。
「アタクシへの愛が本物かどうか試してみせますわ」
王子は、そっと王女の右手をとり手の甲に口づけをした。
「仰せのままに我が妻よ」
「汚らわしいっ!」
エリザはケントの唇を払いのけ、思いっきりビンタをかました。
「あひいっ!・・・だが・・・それがいい!」
「この変態っ!」
「最高の褒め言葉だ」
王子は恍惚の表情で王女を見つめる。
彼女の悪態を全く意に介していない。
「・・・・・・」
そんな凍りつくエリザの隙をつき、ケントは背後に忍び寄り、彼女のうなじの匂いを嗅いだ。
「オウ、ナイス・スメル」
耳元で囁く。
「むきぃ~!」
エリザは地団駄を踏んで腹を立てる。
「愛い愛い、ういぃぃぃっ~!」
ケントは目を輝かせ、彼女の醜態を喜ぶ。
エリザは柏手を叩いた。
「マリーっ!」
「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーんだすっ!」
マリーは扉を蹴り破って入って来た。
「姫さ、無事だか!」
「・・・吟遊詩人マリーか、私たちの邪魔をするのは許さんぞ」
ケントは冷徹な目をマリーにむける。
「姫さは、おでのものだど」
「ノンノン、エリザは我が妻、貴様のような下賤な・・・」
パーンっ。
左頬にエリザの一発が入り、首が右にぐらついたところを、マリーの平手が王子の右頬を打った。
「あはっ、いい。左を叩かれたら右を、それそれどうぞっ!」
パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーンッ、パーンッ、パーンッ、パーンッ。
激しいビンタの応酬が、容赦なく王子の頬を打つ。
「いいっ!いいっ!昇天してまう!」
「そこまで!」
エスメラルダが割って入って制する。
「何故、止める!」
激昂するケント。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
呆れるエリザとマリー。
「もう終わりにしましょう。よいですかエリザ様」
エスメラルダは彼女を見た。
こくり頷く。
「アイアン・イシュタルを持てっ!」
エスメラルダの声が部屋中に響き渡った。
変態王子輝く。




