№4 吟遊詩人マリーは仕官したい~後編~
昭和の歌姫降臨。
※あらすじ・・・マリー採用試験後編どえっす。
「なんでだどぉ~」
と、カ〇ジ演じる藤原〇也ばりに、絶望感をあらわし、その場に膝をつき、うずくまるマリーだった。
「ワシはキュンとしたど」
ディオラ王はすでに感化されている。
親指と人差し指で「きゅんです」をやっちゃっている。
「父上、訛りが・・・マリー・・・あなた・・・」
エリザは言葉を濁す。
「歌ヘタですね」
エスメラルダは容赦なく言った。
「そんなおらぁの歌は、世界一だと!」
「甘いっ!」
ぴしゃりとエスメラルダは言ってのけた。
「そんなんじゃ、世界は救えない・・・まず、あなたの歌には傲慢さが見えたわ」
「ぞんなあ・・・」
2人はマリーの前に進み出る。
「聞きなさい」
エリザは高飛車にうずくまるマリーを見下す。
「ああ♡」
恍惚の表情を見せるマリー。
「私たちの歌を・・・あっ!・・・せーのっ!」
やや首をしならせ、高圧的な表情を見せるエスメラルダだったが、慌ててエリザにアイコンタクトを送り決め台詞を言おうとした時、ごくり生唾を飲み込むマリーの音が2人に聞える。
「おふう♡」
よ〇れを右手で拭うマリー。
「私たちの歌を聴いて~っ!」
「おひょ♡おひょ♡」
それは懐かしい奏でる珠玉のハーモーニー。
まるで由紀さ〇りと安田〇子のような郷愁といたわり安らぎ誘う歌声。
銀河系ライブがはじまるのか思いきや、まさかの昭和歌謡的なコンサートであった。
「♪夕焼けこやけの~赤コォジィ~♪」
「なんやそれっ!」
親父王がツッコミを入れる。
「感動したど!」
2人が歌い終わった後、滂沱とマリーは涙をこぼす。
「だあにぃ!」
目ん玉ひんむくディオラ王。
そして、マリーは土下座して訴えた。
「おらぁ、2人に神を見たど、金なんていらねぇ、弟子に・・・弟子にしてけろ、おらぁなんでもする!するだあ!だいじょぶだあ!だから・・・だから・・・」
マリーは涙を拭おうともせず、幼子のようにだだをこねた。
懇願につく哀願・・・そして。
「駄目」
「なんでだとぉー!」
絶望・・・。
からの・・・。
「ああその絶望に打ち震える顔」
「素敵」
2人は満足気に微笑み、札をあげる。
「採用よ」
「やったどぉー!」
圧倒的至福っ!
こうして、マリーはエリザ専属のメイドとなったのであった。
・・・・・・。
・・・・・・。
「良かったですね」
エスメラルダは悪戯っぽい笑みをエリザに見せる。
「なにが?」
彼女は素っ気なく答えた。
「ふふふ」
「なにが?」
「楽しそうでしたよ」
「・・・ん、うん」
「ライヤさん」
ぴくりエリザの身体が敏感に動く。
「ふふ、マリーさん彼女に負けないくらいのいいコンビになりそうですね」
「そんなこと・・・ないんだからねっ!」
ぷいっとエリザはそっぽを向いた、だけど、その顔はほおを紅潮させ、まんざらでもなく笑っていた。
マリー採用。




