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ヒューマンドラマ・ホラー短編集

嗚呼、仮面舞踏会

作者: 宝月 蓮

 あたしはBLが好きだ。

 でもそれは隠さないといけない。

 何より自分の為に。

亜希(あき)、何笑ってるの?」

 おっと、危ない危ない。

 あたしはすぐにSNSの裏アカでBLイラストを見るのをやめた。

 そしてすぐにネットで何となく調べた女子高生向けファッションブランドサイトの新作ページへ飛ぶ。

 裾野フリルと腰のリボンが可愛いワンピース。水色とピンクの色違いがある。

 可愛いしこういうファッションに興味がない訳じゃない。

 でもさっきみたいにBL作品を見る方が楽しいと思ってしまう。

「ねえ(あい)()、これめっちゃ可愛いよ⁉︎新作だって!」

「本当だ。可愛いね」

 ふわりと微笑むあたしの友達、愛梨はおっとりしてて可愛い、ザ・女の子って感じの子。

「ねえ、新作のワンピ、愛梨はどっちがいい?」

 あたしは愛梨に聞いてみた。

 多分愛梨ならピンクって答えるかな。

「うーん……私はこっちのピンクかな」

 予想通りの答えにあたしは笑う。

「やっぱり!愛梨ならそう答えると思った!だって愛梨可愛いし、ザ・女の子って感じだから!」

 可愛いファッションやお洒落は好き。

 でもあたしはそれ以上にBLが好きだ。

 だけどそれを公表したら、多分愛梨にはドン引かれると思う。

 だからあたしは仮面を被って生活する。




「ねえ、新作のワンピ、愛梨はどっちがいい?」

 私の友人、亜希はそう言って私にスマホを見せる。

 女子高生向けファッションブランドの新作ページだ。

 亜希は明るくてお洒落好きだ。

 裾のフリルと腰のリボンが特徴的なワンピースは確かに可愛いとは思うけど、正直動きにくそう。

 だけどそんな事は決して口に出さない。

 水色とピンクの色違いがあり、亜希はどっちがいいと思うか聞いてくる。

「うーん……私はこっちのピンクかな」

 そう私は微笑んだ。

「やっぱり!愛梨ならそう答えると思った!だって愛梨可愛いし、ザ・女の子って感じだから!」

 亜希は私の答えに満足そうだった。

 正直な話、どっちでもいいけど、亜希はその答えを望んでいないことは明らか。

 だから私は望まれている答えを選ぶ。

 イメージカラーがピンクで、ふわふわとした可愛い女の子。

 ……本当はシンプルでスポーティーなものが好きなんだけど、そう答えたら似合わないと言われたことがある。

 亜希に言われた訳じゃないけれど、多分亜希もそう言うだろうな。

 自分が好きなものを似合わないと言われて全く傷付かない人はいないと思う。

 傷付かない為にも、私は望まれる仮面を着ける。




 さあ、今日も仮面舞踏会だ。

 

こんな風に仮面を被っている人は沢山いると思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 趣味や性癖、なかなか言い出せないですよね。 私も余程親しい人間にしか本当の趣味の話はしないので、良く分かります。 例え家族相手でも外せない仮面もありますから、何枚も仮面を準備しないといけ…
[良い点] 身につまされる話だと思いました。 オッサンの身の上として、勿論、女性の繊細な感覚はわからないんですけど、ある意味、男性社会って他人の視点に思いっきり縛られ、それを前提に成立している代物で…
[良い点] 自分のイメージを守りながら日常生活を送ることを『仮面舞踏会』と表現しているのが面白いなと思いました。何もかも言い合えるのが理想の関係なのかもしれませんが、中々そうはいきませんよね。
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