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誤字報告いつもありがとうございます。
「心当たりはあるのか?」
この国が周辺国とどのような付き合い方をしているかを知らないから、そういった話題にはてんでついていく事が出来ないので、ギルドマスターに情報を吐かせてみようと聞いてみた。
「うーん、それがなぁ… 南側に隣接しているプラム王国とは良好な国交をしているし、南東に面している神聖教国ともこじれてるわけではない。西側にあるガスト帝国も、昔は横暴だったと聞いているが、当代は特に穏健な皇帝で、何かを仕掛けてくるようなタイプではない… 正直言って良く分からんな」
「だけど、実際に魔道具が2つ見つかっている。どこかの誰かが何かをしようとしているというのは間違いないんだろう… 魔力のこもった魔道具があったからには、近いうちに起動する予定だったんだろうし、うかうかしてられないんじゃないか?」
「その通りだ。王城にはすでに連絡を出しているので、何かしらの対策案は協議されているとは思うが… ぶっちゃけこの国の軍は、長い間平和だったせいか、緊張感の足りない連中なんだよな」
なんてこったい、そんな得体の知れない連中とのゴタゴタに巻き込まれたら大変じゃないか。
「そうなると、冒険者は一体どんな扱いになるんだ?」
「もちろんCランク以上の冒険者に対して緊急依頼が発令される事になるな。軍部から派遣されてくる者を司令官として、傭兵扱いとなる」
「Cランク以上か、それなら俺達には依頼は来ないな」
「ちょっと待ってくれよ、お前達の評価値はすでにAランク相当になっているんだ。ビリーカーンダンジョンの70階層まで進められる冒険者を戦力外にする訳ないだろ?」
「でも、俺達は全員Dランクだ。もちろん今後もランクを上げるつもりはないけどな。ギルドの決まりなんだろう? Cランク以上ってのは」
「確かにそうだが… 俺の権限で特例措置を出そうと思っているんだが」
「そう来るか、なら…」
美鈴と霞の方を振り返ってみる。
「私は対魔物なら戦ってもいいけど、対人はちょっとねぇ」
「私もそうね、ちょっとした喧嘩だというならともかく、戦争とか抗争とかには関わりたくないわ」
「俺も同じ意見だな。得手不得手ってのがあるんだよ、俺達は対魔物特化だと思ってくれ」
ギルドマスターは… 何とも言えない顔をしているな。だけどしょうがない、やらないとやられる戦いで、相手が人間だというのなら… 殺人が最大の罪であると教えられて育っている日本人には不向きにも程があるだろう。
「ともかく、俺達は他にもないか調べてくるよ。次に来るのは明後日でいいか?」
「そうだな… 出来れば王都に残ってもらいたかったんだがな、西の森に魔道具を設置しているという事は、そちらに目を引かせて違う方向から急襲する… 普通に考えればそうなるだろ?」
「この辺の地理には詳しくないから何とも言えないが、予想が立てられるなら対処もしやすいのでは?」
「いやいや、そういう問題でもないんだよ。腕利きが動かないと効率が悪くていけねぇ」
「ふむ、まぁそこら辺はギルドのお仕事だと思うから、俺達は魔道具探しを継続するよ。魔道具を回収できれば、そもそも西からの魔物の急襲は無くなるからメリットの方が大きいと思うぞ?」
「そうだな… それじゃあそれで頼む。連絡は明後日の午前中にしてくれるとありがたいな」
「了解した、それじゃあ行ってくるけど… ちゃんと結果出してるんだから報酬は頼むぞ?」
「もちろんだ、ここはケチる所ではないからな」
俺達3人はギルドを出て、町の外へと向かっていった。
「おじさん的にはどう思う? 今回の事」
「んー、ずいぶんとお金をかけて色々と仕込んでいるみたいだから… まぁ外部というか、他の国が仕掛けて来てるんだなーって思ってるけど」
「そうだよね、それしか考えられない。魔道具を置いてある森の方角は多分囮で、本命は南側じゃないかと思ってる」
「その根拠は?」
「北側に国は無いし、東側はアニスト王国でしょ? あの国王が勇者がいるのにお金を使うなんてとても思えない。だとすると、南側にあるプラム王国か、その左右にある帝国、もしくは神聖教国」
「なんか詳しいんだな」
「そりゃギルドで情報収集したからね、帝国の皇帝は穏健派だと言われてるらしく、南東の神聖教国は宗教国家だから、魔物を使っての侵略は無いんじゃないかな… だとすると」
「残ったプラム王国って国か」
ふむ、なんか美鈴が知的な雰囲気を出していることが一番解せないが、話を聞けばそれが正しいのではないかと思えてくる。
しかし帝国が穏健派ねぇ… 空想上のどんな物語でも、帝国と名の付く国は、覇道を目指してまっしぐらってイメージがあるんだよなぁ。 ま、あくまでイメージだけどな。
風評被害であることは百も承知だが、帝国にも神聖教国とかにも注意が必要だろう。もしもこの騒動が表面化して、これ幸いとばかりにいろんな国が動き出したとしたら、アニスト王国も何かしでかしてくるだろうな… で、そうなったとしたら
「このグリムズ王国って実は四面楚歌なんじゃないか?」
「そうね、どこの国が仕掛け人かは分からないけど、周辺国が便乗してくる可能性は高いと思うわ。少なくともアニスト王国はどっちにつくか… よね」
「騒動に紛れて神聖教国に攻め込むのか、周囲と一緒になってグリムズ王国に攻め込むのか… あの王様はバカっぽいし野心だけは100人前ありそうだったからね」
全く、注文してある武器の完成が3日後だというのに… せめてそれを受け取るまでは何事も起きてほしくないな。
とりあえず車を出し、昼まで探索していた地点を目指して進む事にした。時計を見ると午後3時だから、1時間くらいは探索の続きが出来るな。
次に王都に来る日は明後日の午前中。それまでにグリムズ王国としての立ち回りなんかを知ることが
できれば御の字だな。
SIDE:神聖教国
「帝国領から感じる魔の気配が強くなっております、そろそろ何かの行動を起こしてくるかもしれません」
「調べた所、プラム王国の王家はすでに帝国により処刑されているようで、その他貴族の掌握も完了しているとの事。何か邪悪な魔法を用いて操っている可能性が高いと思われます」
1段高くなっている場所にある、豪奢な椅子に座った男性に向けて報告が行われている。その場にいる者達は全員修道服のような白い服を着て、いかにも宗教国家という雰囲気だ。
「帝国への監視を怠らぬよう勤めよ、恐らく帝国に巣食う魔の者の狙いは我が国… 周辺国を制圧してから囲もうという算段だろう、アニスト王国側にも監視を置き、注意させよ」
「「ははっ」」
修道服の男たちが出ていき、壇の上に座っていた男も立ち上がり、その場を立ち去っていった。




