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先日の投稿間違いでは大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びします┏oペコッ

 冒険者ギルド王都支部、SIDE:ギルドマスター


「ギルマス! 鑑定結果が出ましたよ。とりあえず別の人員が同じ書類を王城に持って行っています」

「おう、さすがに仕事が早いな。その書類を見せてくれ」


 朝一で魔術師ギルドから、昨日の魔道具の鑑定結果が提出された。これだけ早くに調べ上げるんだから侮れない組織なんだよな… 魔術師ギルドってやつは。

 どれどれ、書類を見てやるか。


「ん? これは間違いないのか?」

「はい、かなり特徴的な印が魔法陣に組み込まれているので間違いないと思います」


 特徴的な印… このグリムズ王国の南側に隣接している小国、プラム王国で開発された印だと断定している。

 このプラム王国というのは、北側にこの国であるグリムズ王国、西に帝国、東から南部にかけて神聖教国という、それぞれ大国に囲まれていながらも、独自の魔法技術により何とか渡り合えている国だ。

 この独自の魔法技術… 噂によると、以前異世界から召喚されたという勇者達がもたらしたと言われている。そしてその形態を今もなお残しており、少ない魔力量で大きな効果をもたらすと言われていて、魔道具界ではトップクラスを誇る技術大国と言われている。


「もしそれが本当なら、こんな小さな箱状の魔道具でも、驚くような効果が出ると?」

「そうですね、今回の魔道具は、効果が魔物寄せになっているので試験をすることはできませんが、恐らく我が国で開発されている魔道具と比べれば… 数倍はあるのではないかと」

「ふむ… しかし、プラム王国産であるならば、相当値段が高いんじゃないのか? 一介の組織が手の出せる物じゃないと思うんだが」

「そうですね… もしかしたら我が国との国境で怪しい動きを見せている帝国と、何か手を結んだ… かもしれません」

「まぁ予想を立てるとしたら当然そうなるよな。王城にも報告は出したんだろ? もしかしたらこれはギルド案件じゃなくなるかもしれないな。国軍が出張ってくる可能性が高いぞこれは」

「そうでしょうね… ここ数年ずっと平和っぽい空気があったから、国軍が活躍する場は無かったですから、これ幸いと軍を出してくるんじゃないですか?」


 別に軍が動くというならそれで構わないが、平和ボケした国軍が、侵攻の準備を整えてきた帝国軍に勝てるとはとても思えねぇ…

 いや、まだ帝国が主導しているというのは予想でしかない。もしかしたらプラム王国が独断で行動しているのかもしれないし、クーデターをしたい組織が頑張って大金を払って魔道具を買ったのかもしれない。


「とりあえず調査だけは継続だな、国から何か言ってくるまでは魔術師ギルドと連携して対処するって体制を整えておこう」

「そうですね、任せっきりにして国軍が破られたら、目も当てられないですし」

「全くだ、だがしかし、ビリーカーンダンジョンの最高到達パーティがこの町にいるときに発覚したのは良いタイミングだったかもしれないな。あの魔道具を発見したのも奴らだし」

「ええ、戦力は多いほど良いですしね。我ら魔術師ギルドも警戒態勢を敷き、もしもの時に備える準備を始めています」

「よし、今後はより一層連絡を密にして警戒態勢を築こう。とりあえず明日には『雪月花』の連中が報告に来るはずだから、それまでにさらに詳しく魔道具を調べておいてくれ」

「承知しました」

「そっちのギルマスにもよろしく言っといてくれ」


 報告を終えると魔術師ギルドに戻っていった。


「しかし急に魔道具を仕込んでくるなんて、何が起ころうとしてやがんだ? クーデターならまだしも、戦争なんて始まった日にゃ、おちおち酒も飲んでいられなくなるじゃないか」


 座っているソファーの背もたれに身を沈め、しかめた顔をしながら目を瞑るのだった。





 SIDE:来栖大樹


 かなり木々が密集している中、新品の登山靴で土を踏みしめながら捜索を開始する。

 しかしまぁ、偶然1個だけ落としてしまってたという事もあり得なくも無い。素晴らしく低い確率だと思うがな…


「魔物の気配がするわ、一応注意してちょうだい」

「おう、了解だ」


 霞が何かの気配を感じたようだ、俺には分からんが… 霞が言うんだから間違いは無いんだろう。

 一応マイホームを出る前にやった打ち合わせでは、この辺には強い魔物はいないらしいので、訓練とか無視して銃で戦おうという事になっている。そんな訳で、俺はデザートイーグルを構えている。


「大丈夫よおじさん、余程の大群にでも遭遇しなければ、おじさんの出番は無いわ」

「そ、そうか? 少しくらい残してくれてもいいんだぞ?」

「いやいや、万が一霞が取りこぼしたら、次に控えているのは私だから! どうあってもおじさんの出番は無いね!」


 まぁ一番後ろにいるし、出番が無いのは理解できる。霞が前線に立っているのに抜かれるなんて思えないしな… というか、出がけの打ち合わせはどうなった? 霞なんて銃を持っていないし、蹴り飛ばす気しかないだろ!


「ほら、いつも言ってるじゃない? 出来る人が出来る事をやる。この陣形で進む限り、後ろから迫られない限りおじさんに魔物が回ってくることは無いと思うよ」

「だよな… 王都に来てから俺だけ戦闘をしてないせいか、なんか体がナマっているような気がしてるんだよ」

「そこはホラ… 気にしたら負けという事で。夜にトレーニングルームで発散させれば良いと思うよ!」


 なんて言っていると、魔物の気配に俺でも気づく事が出来た。 パキパキと枝を折る音が聞こえて現れたのは…


「ブラッドウルフかよ! ホントどこにでもいるなコイツラ」

「本当にそうね… でもブラッドウルフの素材は人気あるそうよ? 肉は露店で焼かれているし、毛皮は庶民の衣類に使われているんだって」

「そうなのか、それじゃあ持って帰るとするか」

「「了解」」


 現れたブラッドウルフは4匹の群れだった…が、霞が珍しく蹴りではなくミスリルソードであっという間に首を斬り落としてしまった。


「霞ぃ、私の分は?」

「残念だったわね、でも血抜きをする作業は残っているわよ? さっさとやりましょう」


 道具箱からロープを取り出し、木の枝に吊り下げて血抜きをする。ギルドの資料室にあった手引書では、川などの冷たい水にさらしながら血抜きをすると、その後の状態が良くなるらしい。

 しかし、川なんて見渡す限りどこにもないし、牢屋に放り込む予定だから特に問題は出ないから気にしない。

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