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誤字報告いつもありがとうございます。

「安全靴って硬いから歩き難いねぇ」

「確かにそうだけど、靴底も厚くて硬いし良いと思うわよ?何より頑丈そうだし」

「そうだけど… お洒落じゃないよね」


 何を言ってるんだ美鈴は… 安全にお洒落など関係は無い! 必要なのは実用性のみだ! しかし声には出さないでおこう、好みは人それぞれだからな、放っておけば自分で何か改造でもするだろう。


 そんなこんなで60階層の最奥に到着した、スマホを見ると11時40分だった。


「どうする?早いけど昼休憩にして午後から行くか、今から攻めてみるか」

「おじさん何言ってるの? 通常戦闘ならともかく、ボス戦の前にご飯食べてお腹膨らませるってないよー」

「いや、分かってたけど聞いてみたんだ。まぁそう言うな」

「それじゃあ行くって事でいいわね?」

「そうするか、まぁどんな奴が出てくるかわからんから油断無いようにな」

「「はいっ!」」


 霞が先頭でそろりそろりと部屋に入っていく、中は広く天井も高い、やはり大型のゴーレムがボスで間違いなさそうだな。


「それじゃあ行くわよ!」

「おう! 援護する」


 俺が対物ライフルを構えると、霞が中央に向かって歩き出す。すると… 部屋の奥にあった壁がボロボロと崩れ出し、その向こうには青っぽいシルバーの巨体が現れた。


「でかいなおい」

「色は綺麗ね」

「ブルーメタリックって感じかな?魔力も結構感じるよ」


 そのブルーメタリックのボディを持つゴーレムは立ち上がり、前にいる霞に向かって歩き出した。


「1発撃つぞ!」


 声をかけてからブルーメタリックゴーレム… 長いな、ブルーゴーレムでいいか。その太い腕に向かって射撃を開始した。


 ドパーン!


 閉塞空間だからか、発砲音だけで耳が壊れそうな感じだった。狙い通り肩口の、腕の付け根に当たったようで、ブルーゴーレムは体勢を崩し、太い腕がそのまま地に落ちた。


「おおーう、効いてるね!足止めする?」

「お願い!大きいから届かないわ、足元崩したら丁度よくなりそう」


 ドパーン!


 美鈴が2発目を放ち、ブルーゴーレムの右足が吹き飛んだ。そのまま大きな体が体勢を保てなくなり倒れ込む。


「後は任せて!」


 霞が一気に間合いを詰め、倒れてちょうどいい高さになった頭部に回し蹴りを叩きこむ。ゴキンというあり得ない音を立てながらブルーゴーレムは滑り飛んで行く、手足を1本ずつ失っているために踏ん張れないのだろう。


「崩拳!」


 滑っていったブルーゴーレムを追いかけて間合いを詰め、いつぞやに見せたスキルを使って顔面に拳を叩きこむ


 ゴワーン!


 なんだか大きな鐘を叩いたかのような音が響き、ブルーゴーレムの頭部が炸裂したかのように破壊された。

 その勢いでコロコロと魔石が飛び出して地面を転がる。


「仕留めたわ! おじさん! 落ちてる腕か足を倉庫に入れられる?」

「おう!やってみる!」


 ダンジョン内の魔物は命を失うと、1分も経たずに消えてしまうのだが、この綺麗な色のゴーレム素材を保存しようと動いた。

 美鈴と2人で手前に落ちてた足を拾い上げ、倉庫の扉を開いて放り込み、パタンと閉じた。その直後、ブルーゴーレムの本体は消えていった。


「さて、後で確認するけどどうなってるかだな」

「見た所金属のように見えるから、持ち帰る事が出来ればこれで装備が作れるかもしれないわね」

「うんうん、綺麗な色だったもんねー」


 このゴーレムの魔石もなかなか大きく、良い金額で売れそうだ。


「さて、他にもドロップはないかな? オーガのボスは王冠落としたけど、こいつは何をくれるのかな」


 美鈴が周囲を探り始めた、ブルーゴーレムが巨体だったのと、霞に蹴り飛ばされた時の埃が舞っていて視界が悪いのだ。


「あら? 剣が落ちてたわ。似たような色なんだけど… これは綺麗ね」

「ぅわ! 本当だね、宝剣みたい」

「しかし、剣の使い手はいなかった…」

「いや、霞でいいんじゃないかな? ほら、武闘家って剣とか槍とかも使ったりするでしょう? 映画で見た知識だけど」

「ああ、そういやそうかもしれないな。じゃあそれは霞に預けるとするか、素手でやりたくない敵も出てくるかもしれないからな」

「いいの? この剣は綺麗だし、ちょっとうれしいわ」


 なんだかんだ、戦闘開始から僅か数分で決着がついてしまった。 まぁ長期戦になれば体力的にやばくなるだろうから、短期決戦で問題は無いのだが。


「よし、それじゃあこの部屋を出てからお昼にするか。そしてマイホームの内側からさっきの足を確認してみよう」


 60階層を終わらせて部屋を出る、そしてその奥にあった小部屋には転移陣が薄っすらと光を放っていた。


「はーお腹空いたね、麺類でいい?それならすぐに作れるけど」

「俺はお任せで」

「私もそれでいいわ」


 マイホームに入り、美鈴はすぐに厨房に向かう。霞はたった今手に入れた剣を、どうやって装備しようか考えているんだろう。腰にあてがったりと忙しそうだな…


「なんかベルトでもあればいいのか?」

「そうね、使わない時は両手が空いてる方が都合が良いし、何かいい物があるかしら」

「それは見てみないとな、探してみたらどうだ?」

「そうさせてもらうわ」


 宝剣と見間違うくらい趣向を凝らした柄に鞘、刀身は先ほど戦ったブルーゴーレムと同じ色のブルーメタリック。両刃で1メートル弱の片手剣って所か、正直言ってロマンを感じる剣だ、誰も欲しがらなかったら俺がもらいたかったくらいだ。


 今のうちに倉庫を見に行ってみよう、もしも消えずに残っているのなら、俺専用に何か作る方向で考えてみるか。まぁあの金属をどうにかできる鍛冶師がいるならだけどな…


 スタスタと歩いていき、ちょっと期待をしながら倉庫の扉を開けて中に入る。


「おおう、消えてないよ。膝から下の部分だけど、剣ならかなりの量作れるんじゃないかな」


 マイホームにも素材を使って何かを作る場所があれば良かったのにな、さすがにそこまで求めるのは欲張りか。


 ロビーに戻る、霞はまだモニター前から動いていない、ベルト一つで…と、ついつい思ってしまうが俺には無いこだわりがあるのだろう。


「さっき押し込んだ足の部分、残ってたぞ」

「本当? あれで何か装飾品が作れたらいいわね」

「俺は自分用の剣が欲しいな」

「私は聖女っぽく杖でも作ろうかな」

「問題は、加工できる奴がいるかどうかだけどな…」


 美鈴が作ったラーメンを食べ始めるのだった

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