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誤字報告いつもありがとうございます。
異世界生活49日目
昨晩は晩酌したにもかかわらず、目が覚めたのは4時だった。もう完璧だな…
ベッドから抜け出して製作のモニターを眺める。すね当てのような防具を探すためだ…
全身に魔力を纏って強化していても、靴やズボンまでは守ってもらえないらしく、3人共靴がボロボロになってしまっていたのだ。余波だろうけどズボンにも影響が出ていて、丈夫な作業服じゃなかったらひどい見た目になっていただろう。
「おお、すね当てはあるな… これと鉄板入りの安全靴を3人分っと。町歩き用の靴は自分達で選ばせればいいな」
すね当ては銀色で、なんだかお洒落な仕様になっているので女性陣も文句は言うまい。
恐らく今日の午前中にはボスに辿り着くと思うから、準備はしっかりとやらないとな。霞は腕当てをしているし、俺と美鈴の分もあった方が良いだろうな。
「よしっと、一段落がついた事だし、コーヒーでも淹れるか」
しかし、俺達にレベルという概念があるのなら、一体どのくらいのレベルなのかねぇ。この町で一流と言われているパーティが、過去40階層に到着したのが最高だと言われているから、まぁ軽く見積もってもそれらを越えているのは確かだよな。
俺の知っているゲームのFFとかDQあたりだと、レベル4~50くらいはあるのかな。おおよそ中盤って辺りなんだろうけど、縛りプレイのように無理をすればクリアできる程度はあるかもしれないな。
まぁ、最近のゲームは簡単にレベル100以上あるみたいだがな…
「勇者連中の訓練は捗っているのかねぇ、もしかしたらカオリとレイコも敵対する可能性もあるし… やっぱりもう少し鍛えておかないと安心できないな」
「ええ、その通りだと思うわ」
「おわっ! 音も無く背後に立つのやめてくれないか?」
「え? だって仕方ないじゃない。このマイホームの床が音がしないんだもの」
突然声をかけられて、一瞬で汗をかいてしまった。 声の主が霞だった事もあり、考え事に夢中でいつの間にか相当時間が経っていたのかとスマホを見る。
「あれ、まだ6時前だ。霞にしては随分早起きじゃないか?」
「私だってたまには早く起きれるわ、ただ得意じゃないってだけ」
「まぁそうかもしれないな…」
きっと昨日は早く寝たんだろう、美鈴はマイペースだからぼちぼち起きてくると思う
「そうだ、後ででいいから普通の靴を選んでおいてくれ。戦闘用には安全靴を今作っているから」
「それはありがたいわね、まぁ普通に考えれば靴にダメージが行くのは分かるはずだったんだけど、どうして気付かなかったのかしらね」
「手足にダメージが来てないくらいなんだ、靴にも多少の影響があったって事じゃないか?」
「それしかないわよね、それじゃあ選ばせてもらおうかしら」
モニター前の席を霞に譲り、靴のページを見始める。見ている見ている、なぜそんなに悩む必要があるんだろうか… 靴くらい簡単に決められそうなもんだと思うが。
とりあえずそっとしておくとするか、どうせ美鈴が起きてきたら同じように時間をかけると思うしな。
SIDE:ハワード伯爵
「ビリーカーンの町に到着しました、まずは代官の屋敷へとご案内します」
御者が外から声をかけてきた、ようやくビリーカーンに着いたようだ。代官の屋敷とはいえ身内の家だ、少しは気が休まる事だろう。
「例のタイキという者はいつ呼び出すのです?」
「まずはギルドへ情報収集を行い、ダンジョンにいつ入ったかなどを聞いてからになります。ダンジョン内にいる場合は連絡が取れませんので、出てくるころを見計らって…という事になります」
「そう… いつまでも待っていられないので早急にお願いしますね」
「連絡が取れれば…ですが」
相も変わらず自分中心で話をされる… しかしまぁ、通常であれば4~5日、長くても10日も潜ってはいないだろう。王女殿下に会わせる前になんとかタイキと話をしたいものだ。
馬車は無事に代官邸に到着し、まずは旅の疲れを癒してもらうとしよう。王女殿下付きの侍女数名を連れて湯あみの準備をさせる、どこに何があるかを先に教えておかないと後々面倒な事になる。そしてキャサリンには説教をしてやらないとな。
なんせ異世界の者を物扱いしていたからな… 聞かれなかったのが救いだが、うっかりミスズの前でそのようなことを言われたら対処のしようがないし、それを聞いてタイキがどう反応するかもわからんのだ。
全く疲れるものだ…
「お待ちしておりました、ビリーカーンの町の代官を務めておりますホンフゥと申します。狭い屋敷ですがどうかお寛ぎを」
代官のホンフゥが挨拶するも、特に返事もしない王女殿下。王家の教育は本当にどうなっているのやら…
「ホンフゥ、しばらく世話になる。よろしく頼むぞ」
「はっ、領主様もごゆるりと」
屋敷にいた従者達に先導され、王女殿下とその侍女達は部屋に案内されていった。
「キャサリン、お前には話がある。こっちへ来い」
「な、なんでしょうお父様? えっと…顔が怖いのですが」
キャサリンを連れて執務室へと入る、この部屋は視察に来た時に使う俺専用の部屋で、防音などの管理も大丈夫だ。
「お前な、異世界人を何だと思っている? 敵に回せば国が大変な事になると分かっているのか?」
「もちろん分かっています。それを考えて異世界人であるカスミお姉様を我が家に迎えようと思っているんです」
「ミスズの事を物扱いしただろう、もしあれが聞かれていたらどうするつもりなのだ?タイキもカスミも怒るに決まっているだろう。もう少し言葉には気を付けるんだ、いいな?」
「はい… わかりました」
「それと、王女殿下と仲良くするのは良いが、礼儀を弁えるように頼むぞ?」
「はい! 殿下のご機嫌を損なわないよう努めます!」
本当に大丈夫だろうか… 決して甘やかして育てたつもりはないが、どうも浮ついてるように見える。王女殿下に何かあれば伯爵家の存亡にかかわるのだから、是非とも気を付けて欲しいものだ。
キャサリンを退室させて一息をつく、俺も長旅で疲れているようだ、少し休むとするか… その前にホンフゥに仕事を頼んでおかないとな
「ホンフゥ、冒険者ギルドに使いを出してくれ。冒険者タイキ、カスミ、ミスズの3名のダンジョン入りした情報と、戻ってきた時に代官邸に来るよう言付けてくれ。もちろん俺の名前でな」
「承知いたしました」
よし、さすがに今日中に情報が来る事は無いだろう。少し横になるとするか…




