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誤字報告いつもありがとうございます。
ギルドから外に出てみると、まだまだ暗くはなっていなかったので急いで町を出る事にした。門が近いからという理由で入って来たのと同じ門だから東門になるのか? 向かいたい先は西側なのでぐるっと外周を回らないといけないが仕方がないだろう。
「もう暗くなるから人もいないわね、マイホームに入れる場所に着くまで少しだけ話しておくわ」
「うん、よろしくお願いするよ」
「ついさっき伝令がギルドに到着してね、なんとグリムズ王国軍が帝都に向かって侵攻しているという事なのよ」
「はぁ? 前回の戦いだって相当数の被害が出てるって話を聞いたが、その上で兵を出したって事か?」
「どうやらそのようね。本隊らしい集団がおよそ1万5千程、別動隊らしき集団が5千程森を抜けてきて帝都に向かって進軍しているそうよ。
その伝令を持ってきた冒険者も、馬車とか走ってここまで来ていると言っていたから… 結構な時差があると考えられるわね。つまり、もう帝都にかなり近づいているかもしれないという事よ」
「マジか… 軍が動いてるって事は国のトップである国王が承認したって事だろ? 防衛戦の直後に進軍だなんてすごい判断をしたものだな」
「そうだね。でもまぁ安全な場所にいて、突撃って命令しか言わない上官なら、兵の士気とか分かってないかもしれないね」
なんてこったい! よりにもよって俺達の行きたい方向… 帝都方面に向けて進軍しているなんて邪魔にしかならないだろ。
「それでね、ガスト帝国の貴族なんかは帝都へ呼び出されたらしく、グリムズ王国軍とかち合わないよう向かっているそうよ。その内ギルドにも傭兵としての依頼が来るかもしれないと話をしていたわ」
「そうか… そんなんじゃ今後はうっかりギルドに立ち寄れなくなったな」
「うんうん。ギルドに行ったが最後、強制依頼とか出されそうだよね… グリムズ王国の王都の時みたいに」
「まぁアレだ、幸運にもダンジョンの情報が都合良く手に入ったから、今晩はゆっくり休むとして明日の夜は空路で移動決定だな。俺達だってうっかりグリムズ王国軍とかち合う訳にもいかないからな」
「まぁね… グリムズ王国にとっては敵国にいる冒険者って扱いになると思うし、最悪捕縛とかもあり得るよね」
「ええ、装備だけ奪われたり、指揮官によっては道中の町で略奪とか、そのついでに冒険者からも奪い取るとかも想定できるわね」
「ついでに凌辱とか? ラノベだったらあるある展開だね」
「やめてよ気持ち悪い… 大樹さんが避けて通ると言うんだから問題は無いわ。というか、ダンジョンの情報… 手に入ったのね」
「ああ、普通に冊子が置いてあったぞ。帝都から見て北に一つ、南に一つって感じだけどな」
「そうなのね、私の方は戦争の話が盛り上がっちゃったから他の話は聞けなかったのよ。情報が得られたんなら良かったわ」
「まぁ詳しくはマイホームに入ってからにしよう。明日も予定通り休みにして疲れを取り、明後日… じゃないな、明日の夜から行動開始という事でいいか?」
「問題無いわ。明日は夜に備えて休養するだけだし、明日以降の打ち合わせは今晩やっておくといいわね」
「そのつもりだ、明日は多めに昼寝をするから午前中しか時間が無いからな、それなら今日の内に方針だけでも話し合った方が後々楽になるだろう」
そんなこんなで、歩いている内にすっかり暗くなり、足元が危うくなって来たので暗視ゴーグルを出して装着する。振り返ってみると先ほどまでいた町はすっかり小さく見えているので、そこそこの距離は取れたと思う。
「どうする? まだ町は見える距離だが、そろそろ街道を外れてマイホームに入るか?」
「うーん、一応もう少し距離を取った方がいいと思うよね。どうせ明日は動かないんでしょ? 明日の夜、暗くなってから移動するとしてもヘリの騒音が届きそうじゃない?」
「それもそうだな、じゃあ見えなくなるまで移動しておくか。ブラッドウルフしか出没しないみたいだが、周囲の警戒だけはしておくようにな」
「「了解!」」
途中一度だけブラッドウルフが5匹の群れで現れたが、霞が素早く蹴り飛ばすと逃げていった。霞の方も蹴り足が血で汚れるのは嫌だったようで、かなり手加減して蹴ったようで、5匹のブラッドウルフは生きたまま去っていった。
そして町が見えなくなったところで街道から外れ、人の来なさそうな場所を見つけてマイホームに入るのだった。
「ふぃ~、なんだか残業した気分だね、夕食どうしよっか」
「麺類にしてしまった方が手早く作れるんじゃないかしら?」
「それもそうだね… じゃあ久々にラーメンといきますか!」
今日の夕食はラーメンのようだ、本当に久しぶりだな。じゃあ楽しみに待つとしますかね。
待っている間、夕方ギルドでコピーした歴史書もどきを読んでみる事にした。内容としては薄いが、今まで知る事の無かったガスト帝国や、その周辺国家の成り立ちなんかが書いてあってなかなかに興味深い物だった。
今いる大陸がどれ程の広さなのかはいまだに知らないが、大昔は大陸全土が帝国領土であり、各地に置いていた領主がそれぞれの土地を治めていた。
そして先ほど読んだ通り、アニスト子爵が儀式召喚を行って悪魔を呼び出した。その悪魔が東の辺境だったアニスト子爵領から西へと侵略していき、各地を治めていた貴族達が壊滅状態になる。帝都からも討伐部隊が編成されて出撃するが、とてもじゃないが太刀打ちできなくて侵略を防ぐ事が出来なかった。
危機的状態にあった大陸だったが、当時から権威のあった宗教団体(現神聖教国)とグリムズ伯爵家、北方を治めるカルディナ男爵家、南方を治めるクレスタ侯爵家の3家と1団体による儀式召喚が行われ、英雄を呼び出す事に成功。
その英雄を支援し、帝都の北にある荒野にて封印が完成された。これにより悪魔による災害級の大事件は解決を見た。
その後、大陸各地を治められるだけの力を失ったガスト帝国から独立する家が続き、ガスト帝国は現在大陸の3割ほどの領土まで削られた… という事らしい。
「アニスト王国もその時についでに独立したとか… 先祖まで図々しかったんだな。ダメだろ」
こうして各地に召喚陣が残ったんだそうだ… なるほどね。つまり、現状アニスト王国、グリムズ王国、カルディナ王国、神聖教国、クレスタ公国が儀式召喚を行う事が出来るって訳だな? 結構あるな。




