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誤字報告いつもありがとうございます。
そんな訳でやってきましたマイホームの外、時刻は6時半を過ぎていてすでに真っ暗になりつつある。近くに野営地があるかどうかは分からないが、早速練習といこうかね。
もう1機の方に美鈴と霞をセットにし、俺は単独で練習しようと思っている。まぁ単独とは言っても無線でやり取りはできるんだけどね…
「一応言っておくが、安全第一だからな? 楽しいからってアクロバティックな事は禁止だ」
「まぁ仕方がないね、まだ素人もいい所だし技術も身に付いていないしね」
「少なくとも数日は堅実に練習しましょう、それ以外の事は上達してからね」
ふむ… 聞き分けが良いというべきか、上達したらやるんだと宣言されているのか判断に困るな。まぁアクロバティックな操縦が無駄だとは言わない、それこそ空を領域とする魔物と出会った時にはそういった操縦が求められる可能性だってあるんだ。ぶっちゃけ興味すらある!
だけどあれはベテランレベルになって初めて可能になるテクニックだと思うし、未熟者が安易に行って良いものだとは思えないよな。そんな訳で練習は大事だと! まずは基本操作ともいえる離陸と着陸、後は安定したホバリングか… やはりヘリといえばホバリングだよな! 良く災害が起きた時、自衛隊のヘリが救助を行っている映像を見た事があるが、大したもんだと常に思っていた。風が強い中定点でホバリングし、取り残された人とかを救助出来るのはすごいよな。
それに引き換え、自衛隊の飛行を邪魔するかのようにうろちょろと飛び回るマスコミの報道ヘリ… もうアレは墜落して良いと思う。
話が逸れたな。まずはお互いに接触しない距離を取りつつ飛び回ってみるとするか。
まずは予定通り二手に分かれて各機に乗り込む。当然のように俺が乗る方が1号機という事になるな… 無線を使っての交信テストを行った後にいざ離陸!
実際には真っ暗なはずだが、ナイトスコープが内蔵されているヘルメットにFLIRと呼ばれる目標指示前方監視赤外線の効果で、白黒の視界の中に熱源がはっきりと分かるようになっている。
こうして見ると、それとなく魔物がいるもんなんだな… まぁヘリの起動音であらかた逃げていったようだけど。
「いやー! なんだかすごく楽しいな!」
『ホント楽しいよね! もう明日から昼間も飛ぼうよ!』
『そうね、高度を上げれば音はするけど何かは分からないと思うわ』
思わず口走った独り言… そうです無線で筒抜けでした。
俺の独り言に反応してきた2号機は、FLIRによって映し出された魔物に向かってチェーンガンを撃っている… 熱によって光って見える弾丸が、魔物を追うように地上に着弾していくが… 逃げ回るブラッドウルフと思われる魔物にはなかなか当たる様子はない。
やはり小さな魔物を個別に撃つというのは難しそうだな…
ホバリングをしながら2号機の動きを観察しているが、今どっちが操縦してるんだ? まるで自衛隊の演習を見てるかのように安定して飛び回っているんだが、そういった才能もあったのか… 飲み込みの早さにはいつも驚かされるな。
「よし、俺も見てるだけじゃなく練習するかね」
異世界生活178日目
途中で給油を挟んで、満タン2回分の燃料を空にするまで飛び回って今回の訓練は終了する事になった。実に9時間にも及ぶ飛行だったが、新しいおもちゃを与えられた子供のように夢中になっていたため、疲労感すら清々しいと感じてしまう… なんだかこういうのは久しぶりに感じたな。
現在午前4時、割と広範囲にわたって轟音を轟かせたと思うので、日が昇る前に移動をしておこうという事になってエス○ードに乗り込んだ。
「はぁ、楽しかったねぇ。途中で攻撃範囲に魔物がすっかりいなくなっちゃったけど、アレに当てるのは難易度高いね」
「そうね… 正直言って命中率には不満があるわ。まぁ動かない標的に向かって撃つわけじゃないから難しいのは理解しているけれど、もう少しまともに当てたいわね」
「でもさ、地面に着弾した時の土の弾け方を見たら、相手が人間だったら間違いなく立ち竦むよね」
「それはそうだと思うけれど、人間相手に撃つような事態はご免被るわね」
「そうなんだけどさ」
美鈴と霞はテンションを上げたまま楽しそうに先ほどまでの感想を言い合っている。まぁ俺も時間を忘れるくらいには楽しんでいたからな、そこは突っ込まないようにしてやるか。
まぁ燃料が切れそうになっている事にはちゃんと気づけたから上出来だろうな… まぁ普通であれば、給油が出来る基地まで戻れる燃料を確保して当然なんだろうが、俺の場合はどこでも給油が出来るから地上に降りるだけで済むのはメリットがでかい。
2時間ほど走り、後方の地平線の彼方がほんのりと明るくなって来た所で車を止めてガレージへとしまう。そのままマイホームに入って汗を流してから朝食という事になった。
「さて、ぶっちゃけ俺はあまり疲れを感じていないが… 2人はどうだ?」
「私もまだまだ動けるよ!」
「私も同様ね、もう一晩くらいなら余裕だと思うわ」
「そうか… じゃあそれを踏まえて今日の行動を考えるとするか」
やはり俺のような与えられた若さとは違い、本当にまだ若い2人は全然平気そうだな。
とはいえ、今後も何も行動指針は決まっているからな… これから世界各地のダンジョンを巡り、攻略できるところは攻略していくという事で話はついている。
まぁ俺が問題にしているのは次に向かうダンジョンの事になるな。
「移動の問題はアパッチのおかげで物凄く改善されると思うから、予定通りまずは帝国領のダンジョンを荒らしに行こうよ。アパッチは… まぁ仕方がないけど1機運用がベストだよね」
「そうね、さすがに燃料の事を考えたら無駄使いが過ぎると思うわね。そしてもう一つの問題は、ヘリの存在をこの世界の人には伏せたいという事よね。そうなると危険なのは離陸と着陸のタイミングよね… やはり移動は夜間という事になるのかしら」
「まぁ暖機とクールダウンは格納庫内で出来るから良いとしても、機体がそこそこ大きいからどうしても日中だと目につくよな」
見知った場所であれば隠れられそうなポイントにって出来るが、新しい土地に行くんだったらそれは出来ないからな… やはり移動は夕方から深夜にかけてがベストになるだろうな。
「よし、じゃあ移動は夜間にって事で今日も昼間は休養にするか。そして今晩から本格始動って事でいいか?」
「賛成! じゃあ夜に備えてトレーニングルームで体をほぐしてくるかな」
「そうね、私も付き合うわ」




