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誤字報告いつもありがとうございます。
ササっとシャワーを浴び、夕食のために移動をする。とは言っても、さすがにバナナを4本食べた後だからな… それほどお腹が空いてるわけではない。トレーニングルームで動いた分くらいしか食べられなさそうだな。
「いやぁ大樹さん、若いよ! 見慣れるまで違和感を覚えそうだね」
「そうね… 今まであった柔らかい雰囲気が減ってしまった気がするわね。まぁ嫌ではないけれど」
「そうか? まぁ見た目については鏡でも見ない限り自分では目に出来ないから分からんが、体調の方は驚くほど好調だな」
「それは良かったよ。まぁ今回だけだろうけど、一気に食べるのは止めた方が良さそうだね。まさか倒れて気を失うなんて思わなかったし」
「それはなぁ… 前例が無い事なんだからしょうがない部分はあるが、次があればその時に活用しようか。あったとしても十数年後か数十年後かだけどな」
「それで、実際に若返ってみてどうなのかしら? 体調はともかく心境に何か変化は感じられる?」
「まぁな。心境とも違うがとにかく体力が余っている感じがするな… 早くダンジョンに入って戦闘したいと考えるくらいだから、変化があったとすればそこだな」
「なるほど、戦闘狂に進化したんだね?」
「戦闘狂ではないぞ! そこだけは強く訂正を求める!」
「とにかくアレね、面倒だけど帝国領に渡ってダンジョンに行こうって事よね… 私もそれでいいと思うわ。魔物との戦闘は命の危険がついて回るのは確かだけど、体を動かしている間はなんていうか、充実している気がするのよね」
「それはあるね、私もそうだし。そもそもこの世界に愛着が無いから特定の町に居つきたいとも思わないし、それなら冒険者として普通に活動していければ良いんじゃないかって思ってるしね」
「ま、当面はそれでいいと思うぞ。色んな土地にあるダンジョンを巡れば、また金色のトレントとかに遭遇できるかもしれないからな。途中で飽きるかもしれないけど、今後の方針としてはそんな所かな。
一応言っておくけど、無理に付き合うことは無いからな? 何かやりたいとか、そんな事があればいつでも言ってくれ」
「「了解」」
夕食が終わり、女性陣がトレーニングルームに入っていくのを確認後、俺は製造のモニターを眺めていた。目的は… そう、軍用ヘリだ。
何と言ってもこの世界に足りない物は、圧倒的に移動手段が無い事だ。俺達は街道であれば車を出せるが、この世界の普通は馬車なのだ…
ぶっちゃけて言うと、今いるこの場所から森を抜けて、帝国領に入るというだけでも10日はかかるだろう… もちろん森を突っ切る時は徒歩になるからな。
位置的にここから南下したら神聖教国の領土に入ってしまうから、南西に向かって斜めに移動をすればそれだけ森の中での行動時間が増えてしまう… これは嫌だ。
なので! 2人乗りだという軍用ヘリだけど。何とか3人乗れないかを試そうかと思っているのだ! もちろん操縦なんて一切経験が無いから、まずはそこからになるんだが、それでも徒歩や走りで移動するよりは良いんじゃないだろうか… そんな事を考えている。
「とりあえずヘリを格納できる場所もあるんだから、1機は作っておいて損は無いだろう。本当ならメンテナンスをするための知識が必須のはずだが、不思議な事に俺が製造した車に関しては、不具合は一度も起きていないからな」
まぁ半年弱で不具合が起きるような物では無いのは確かだが、これもスキルの効果なのか、何となく大丈夫だって感じるんだよな… まぁそこは信用してもいいかなと思っている。
よし! 早速製造ボタンをポチってみるか! 運用マニュアルも無いと困るからこれもセットで… んん? さすがに時間がかかるんだな、完成まで22時間か… まぁしょうがないか、お披露目は明後日になるが、まぁ良いだろう。
それじゃあ俺は、本格的にお風呂に入って寝る準備だな。軍用ヘリの製造をポチった瞬間、グバっと魔力を吸い取られる感覚があったから、今日はもう休んだ方がいいだろう… そうしよう。
異世界生活175日目
「さて、今日も予定通り西に向かって移動をして、ビリーカーンに向かおうと思う。もちろんビリーカーンの町に入るかどうかはその時に決めるという事で良いな?」
「別に構わないわ。そもそもビリーカーンと言ったって、今日中に着く訳ではないものね」
「うんうん、意外に距離あるからね。高速道路が欲しいよね。もしくは新幹線か」
「新幹線も高速道路も魔物の事を考えたら難しいだろうな… 全線高架にしないといけなくなりそうだから国家予算何年分ってレベルでの出費になりそうだな」
「その内新幹線とかマイホームで製造できたりしてね…」
「怖いこと言うな! アレは個人で持っていても何の意味もない代物だぞ?」
「まぁねー、それこそ国の重鎮になって運営をしていくか、大樹さんが国を興すとかでもないと運用できないよね」
「どっちもあり得ない話だな。そろそろ出発するぞ」
美鈴と霞との軽口も終わり、マイホームから出る。昨日も感じていたが、今日になると更に体が軽くなったような気がするんだよな… 風呂に入って一晩寝たからなのか、すっかり疲労が抜けているって感じだ。
確かにそうだったな… 19歳と言えば、徹夜で遊びに行っても翌日元気に授業受けていたしな。基本的な体力が違うんだろう… 若さとは恐るべしだな。
昨晩製造を開始したアパッチは今晩完成予定だから、2人には教えていない。まぁ黙っている理由も無いんだが、何となく言っていないんだよな…
しかし軍用か… 当然色々と装備があるんだろうけど、現状を顧みたらこれだけで最強を名乗れるんじゃないか? 人の手も魔法も届かない上空からの空爆… まさに蹂躙としか言いようのない事が出来てしまうな。これをこの世界の軍部に係わる貴族の目に入ったら大層面倒な事になるだろう… 飛んでいる最中は良いけど、乗り降りしている時だけは誰にも見つからないようにしないといけないな。ヘリは騒音がすごいから、これは非常に難しい問題だな。
そして、今日の車両はなぜか装甲車となった。霞がそう希望したんだが… やはり移動中の車内は暇らしく、銃手席に居座って機銃を手にして周囲を警戒してくれるとの事だ。まぁ魔物が現れたら乱射するんだろうな… 美鈴とは時間で交代するらしく、大人しく助手席で外を眺めている。
まぁアレだ、今日も始まったばかりだし、のんびりと進むとするかね。




