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誤字報告いつもありがとうございます。

「行くよ! エクスプロージョン!」


 どこかで聞いた事のある魔法名をレイコが言うと、中央にいたボスが大爆発を起こした。その余波で周囲にいた取り巻きたちも巻き込んでいくのが見えたが…


「やばい、こっちにも余波が来るぞ! 美鈴!」

「了解! 障壁張るよ!」


 美鈴が展開した魔法障壁のおかげで、こちらへの被害は抑えられた。

 いやーすげぇ威力の魔法だったな、とてもダンジョン内で使っていいタイプの魔法じゃないだろうコレは…


「ごめんね? ちょっと威力が強すぎたみたい」

「なにその「俺何かやっちゃいました?」的な言い方… あざといよ!」

「それにしても美鈴の障壁はすごいねぇ… 魔法で発生した爆風が完全にシャットアウトだもんね」

「とりあえず現状を把握してくれ! 魔物に生き残りはいるか?」

「いないようね…」


 ふぃーびっくりした、やっぱり屋内で爆発系はダメだよな。広域魔法だけしか聞かなかった俺のミスだな… 内容まで聞いておけば防げた事態だぜ。


「それにしてもレイコ… 屋内で爆発はいくらなんでもダメに決まっているでしょう?」

「そうだね… 反省してるよ」



 どうやら落ち着いてきたようだな。しかし爆発系の魔法というのは余波の方が影響が強いみたいだな… まだ少し部屋の中が暑い感じがするし。


「よし、ここが新規クリアなら宝箱があるはずだよね? 探しに行こうよ」

「探すも何もいつものように部屋の真ん中にあるんじゃないかしら? そろそろ障壁を解いてちょうだい」

「了解だよ、それじゃあ外すね」


 美鈴が魔法障壁を解くと、やはり空気は熱くなっていた。随分と魔法障壁で軽減されていたんだな… でもこれなら耐えられない程でもないか。


「よし、それじゃあ宝箱をとっとと回収して進むとするか。宝箱の中身については見てから相談だな」

「「「「了解!」」」」


 ボス部屋入り口付近から中へと入り、ボス達がいた中央付近にやって来る。当然それ程距離がある訳じゃないので、歩いて行く過程で宝箱の存在がはっきりと見て取れる。


「カオリ、一応宝箱に罠がないかチェックしてちょうだい。無いようならそのまま開けてもいいわ」

「はいよー、罠は… 無いね。んじゃ開けまーす」


 カオリが宝箱を開け、中から取り出したのは… 薄緑色の刃を持つ短剣だった。鑑定をしてみるとミスリル合金製となっている… ふむ、銀をベースに少量のミスリルを混ぜ合わせた合金なのか、いらんな。


「短剣なんだけど… これ、私がもらってもいい?」


 カオリが短剣を手にしながら聞いてくる。まぁ確かにカオリの武装は金棒に目が行きがちだが、短剣はメインウェポンだと思うんだよな… なんせ斥候だし。それなのに町で安売りしているような短剣しか持っていないみたいだから良いんじゃないかな?


「俺は良いと思うぞ。そもそも俺は使わないしな」

「私もハンマーがあるし」

「それでいいと思うわ」


 結局満場一致でカオリが持つ事になった。合金とはいえミスリル製なら耐久性は市販のものとは段違いだろうからな、あって困る物じゃ無いだろう。

 というよりも、純ミスリル製の武器を持つ俺達がヨコセと言うのはちょっとね… 気が引けるというか…


「よし、それじゃどうする? もう昼はとっくに過ぎてるけど下に戻るか、それともこの奥でマイホームに入って休養し、戻るのは明日にするか」

「うん、明日にしよう。どうせ戻ったら私達はギルドで話を聞いて西の方へ向かうんだしね」

「そうだね… 私達もギルドで地図を確認して、グリムズ王国以外にって事になるのかな? それならゆっくりお風呂に入って柔らかいベッドで眠って英気を養いたいかな」

「ま、そうだよな。それじゃあ本日の営業はここまでとする」

「「「「了解!」」」」







 SIDE:賢者君


 森の中を進軍中だが… なかなか思うようには進めないもんだな、とにかく騎士の歩みが遅いんだ。まぁ鎧を着こんでいるからしょうがないと言えばそうなんだが、なにせやたらと湿度が高くてジメジメしつつ暑い… 正直これが一番堪えるな。


 出てくる魔物も森のせいか、猿だったり蛇だったりと面倒な魔物ばかり… 猿はほとんど単独行動を取らずに集団で襲ってくるし、蛇は音も気配も無く突然視界に入ってくるから心臓に悪い。

 それに蛇は単独行動をしているから見つけてしまえば大したことは無いが、猿の魔物が非常に厄介だった。連携のタイミングはばっちりなので、囮と本命を間違えると少なからずこちらにも被害が出てしまうのだ。


 しかしまぁ、伯爵領軍は鎧を着こんでいるだけあって防御力だけはぴか一なのは救いだな。


「よし! 森の切れ目が見えたぞ! 森を出たら一度休憩とする!」


 ふぅ、ようやく森から出られるのか… 全くありがたいな。



 森を出て。少し歩いて森から距離を取ると宣言通り休憩となる。騎士達の話に聞き耳を立てると、後はこのまま西進するだけでガスト帝国の帝都に到着するとの事だ。

 ただ… 馬車でも2週間以上かかる距離らしいけどな! マジかよ…


「よし、2時間後に出発する。先行している王国軍に追いつかなければいけないからな… ここからは街道を進む事になるので魔物の心配は激減するが、それでもここはすでに帝国領だ… 油断の無いように行くぞ!」


 伯爵軍は、バラして運んでいた馬車を組み立てているのでこれからの移動は馬車になるんだな… ああでも、馬車というやつは非常に揺れるからケツが痛くなるんだったか… それもまた困った話だな。


「まぁ休めって言うんだから時間までゆっくりしようや。ちょっと魔法で水を出してもらえるか?」

「ああ、それにしても… 本当に追いつくのか? 本隊とやらには」

「さぁどうだろうな。伯爵本人が進むって言うんだから、誰も逆らえないんだろうな。まぁ良いじゃないか、森の進軍中に俺達の実力は結構示せたと思うし、十分だったと思うぜ?」


 俺が出した水を飲みながら勇者の奴が満更でもない表情をしているが… 進軍中魔物の対処は普通に依頼された内容じゃないか、実力を示すんならむしろこれからだと思うがな。

 まぁいいさ。勇者には勇者の思惑があるんだろうし、俺にもある。お互いに利があると思ったから今回の依頼を受けた訳だしな… 道中に立ち寄った町でも聖女についての情報収集をしておかないといけないから、スムーズに仕事が進んでくれなきゃこっちも困るってもんだ。



 そして2時間後、組み立てていた馬車が完成したので出発となる。ハワード伯爵の乗る馬車を囲むような陣形を取り、西へと進みだした。

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