ある日のトレーニングルーム内 6
誤字報告いつもありがとうございます。
SIDE:美鈴
夕食の後片付けが終わり、カオリとレイコの服と下着関係を見てやってようやく今日のやる事は終わった。後はトレーニングルームに行って、先に入っているだろう霞との打ち合わせだね。
カオリとレイコは遊戯室が気に入ったようで、今日も寝るまで入り浸るって言ってたから放っておいても大丈夫でしょう。
それにしても、あのレトロゲームにハマるだなんて… どんだけ娯楽に飢えていたのよってね、まぁ恵まれた環境にいる私には分からない何かがあるんだろうね。知らんけど。
トレーニングルームに入ると予定通り霞がいた。柔軟体操をしているようで、あの長い足をピッタリと胴体につけてほぐしている。そして私が入って来た事に気づいてこっちを見てきた。
「随分とうまい理由を考えたものね… あそこまで簡単に別行動が取れるだなんて思ってもいなかったわ」
「そこはホラ、昨日言ってたでしょ? サムライの事を今でも恨んでいるって。そして都合良く恨み関係で王族と相対したところだったし、その空気を使わせてもらったって訳だね」
「まぁ言われて見れば納得だけれど… 聖女の知力というのは恐ろしい物ね」
「なんて言うの? あの2人がいたら安心できないというか、このマイホームの中が安息の地じゃなくなりそうだったから私も必死だったって事だよ」
「それはともかく、あっさりと物で釣られていくあの2人を見ていると何と言うか… ちょっと哀れに見えてしまうわ」
「2人にとって私達と合流したかった理由がそれだけだったって事でしょ? 仲間意識というよりも利用価値を最優先していたってだけじゃん。それが悪いとは言わないけど、こっちからしてみれば不愉快になるからね… それに喧嘩別れは別な問題が出来るから」
「それもそうね。敵対するなら戦うけれど、殺せと言われればさすがに躊躇しそうだわ…」
「それだと却って危険度が増すと思うよ。特にレイコ、あの子は体育会系でしょ? 負けず嫌いを拗らせて何度も挑んでくると思うし… 生かして帰せばね」
「そういう熱血なパターンは私には向いていないわ、断固お断りしたいわね」
「うん、私もそう思うよ…」
一応気づかない内にカオリかレイコがトレーニングルームに入ってくるかもしれないので、入り口の方に体を向けてストレッチを始める。
こんな事を企んでいたなんて、知られるわけには行かないからね! せっかく話がまとまったのにここで拗らせる訳には行かないよね。
「それにしても… アニスト王国は今後どうなるのかしらね。王が死に、王女も2人死んだわけじゃない? 王国にとって子供をたくさん産むのはスペアのためなんでしょう? 後継ぎの」
「うーん… 王都に帰した第3王女? 名前聞いていないけど、あの子は結構狡そうな感じだったから上手くやるんじゃない? 上の2人があんな感じだったら、今まで相当抑えられてきてたと思うしね」
「それは間違いなくそうね。上の2人はどうしようもないクズタイプだったし… 最後の言葉が呪いに神罰よ? さすがに笑えないわ」
「うんうん、アレには私もびっくりだったよ。アンタ何様だよって心の底から思っちゃったし」
「王女様だって事なんでしょう。私は日本人だからそこら辺は良く分からないわ」
ストレッチをしながら隣にいる霞を観察する… 初めて会った時から線の細い感じだったけど、最近はさらに引き締まったような感じがするんだよね…
二の腕とか太ももとかには筋肉らしきものは見えないけど、力比べをすれば私なんて到底及ばない程の怪力なんだろうし… 本当にどうなっているんだろうね。ちょっとつまんでみてもいいかな?
ぷに
「ちょっと! いきなり何をするのよ?」
「いやぁ、柔らかそうに見えるけど筋肉質になっているのかなって思って」
「自分の腕をつまみなさいよ! それで分かるでしょう?」
「いやいや、腕力と言えば霞じゃない? 私の腕はずっとぷにぷにだし」
「私だってそうよ、変に硬くなってたりはしないわ」
「本当にどうなっているんだろうね…」
「私は考えるのを止めたわ。現状を現状として把握し、使えるものは有効活用する。私だって死ぬのは怖いし、1人だったらとっくに心が折れていると思うわ。大樹さんには助けられてばっかりね」
「へぇ… 私は?」
「ふぅ… もちろん美鈴にもよ」
「ため息つきながら言う事無いじゃん! まぁでも同性の話し相手がいるって言うのは私も助かっているよ」
「それよね。最初から大樹さんと2人きりだったら… 信頼しあえるまで相当時間がかかったと思うし、男性と2人きりという事に耐えられなくなって逃げていたかもしれないわ。正直な話」
「まぁねぇ… 大樹さんも最初は誰も信じないって空気を出していたしね。でも年上がいるってだけでも安心感は全然違うよね、少なくともあのサムライについて行こうなんて気にはなれなかったし」
「美鈴… アレと大樹さんを比べるのはさすがにひどいと思うわよ。アレはただのチンピラという種族の人外だわ」
「それもそっか。それよりも今後だねー、どうしよっか?」
「グリムズ王国もハワード伯爵経由でそこそこ係わってしまった事だし、早急に立ち去っていいと思うわよ」
「そうだね、なんだかんだと王まで会っちゃってるしね… きっと都合良く使おうと接触してくるのは間違いないね。そうなると… 宗教国家は論外として、やっぱり帝国のダンジョン潰しの旅?」
「そうね、ダンジョンを潰して回っているとさすがに目を付けられそうだけれど、今までのようにこっそりとやれば良いんじゃないかと思うわ」
「この世界の冒険者達はあまり攻略が進んでいないみたいだから、美味しい所だけ攫って行くのは良いかもしれないね。他にもゴールドアプルみたいな物がドロップするダンジョンもあるかもしれないし」
「そうね、そういった場所を見つけて乱獲し、潰せばいいわ。何かしら問題があった時とか貴族が相手でも通用するでしょうし、使い勝手は良いと思うわよ」
「ふむふむ。じゃあカオリ達の用意が終わって別行動になったら進言してみるね」
「ああそういえば、今日の事… 別行動に仕向けた事を大樹さんにも報告しないといけないわ。後で詳しく聞かせろって言われたから」
「マジですか… じゃあなんか上手い言い訳でも考えておくよ」
「素直に言えば良いじゃない。あの2人は信用できないし、かと言って敵対するのも問題だから策を弄したって」
「ぐ… 何か考えておくよ」
「そうしてちょうだい。頼んだわよ? あなたは頭脳労働担当なんだから」
「そんな明確に役割分担してたっけ?」
ちぇっ、霞に無視された… まぁでもしょうがないね、何か考えなきゃ!




