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活動報告を更新しました。

 SIDE:勇者君


 ギルドマスターからの依頼を受け、ハワード伯爵軍に同行して西進。兵士たちの話を盗み聞きしてみると… どうやら軍の上層部がいきり立って招集もせずに帝国に向かって突貫していったとの事。とはいえ、国の存続に関わるかもしれない事案という事もありこれから後を追うという事だ。


「しかし、異世界だとは言え上層部にいる奴って言うのは『突撃』しか言えないような無能ばかりなんだな」

「そうかもな。まぁ日本でもそうだったが、自分が学んで向上しようとするのではなく、他者を陥れて落とすってやり方は国にとってはマイナスしか無いんだけどな」


 ふむふむ、賢者の奴も俺と同じ意見か。

 まぁテレビでやっていた政治家の演説なんかも、ライバル政党のほんの些細な揚げ足を取って貶めるやり方しかやってなかったもんな… どこも一緒だって事か。


「ま、そういった奴が権力を持っているとなると面倒しかないんだけどな」

「まぁな… 自分は突撃しろしか言わないくせに、それで負けたら兵士が軟弱だったとか言い訳するんだろ? オチが見えるよな」


 とはいえ、聞けばこの国… グリムズ王国と南西にあるという帝国との戦争だって話だ、詳しい状況は分かっちゃいないが対人戦闘するにはもってこいの状況だ。

 相手も俺が隻腕だという事で舐めてかかって来るだろうと予想できるし… ここらでいっちょ、勇者ってやつの凄さを世界にアピールしてやらなきゃな! ダンジョン探索だけだと俺の凄さは伝わらないし良い機会だと思う。

 この辺の考えは賢者にも言ってあり、奴からも同意は得られている。賢者の奴もやはり男だし、名声は欲しいようだったな。


「とにかくだ、馬や馬車での移動だから国をまたぐ戦争には時間だけがかかるもんだ、戦場に着くまでが遠いからな。仕事は道中の魔物退治という事だからそれらをこなし、まずは俺達の腕前を伯爵軍にアピールしないとな」

「そうだな、戦場でも使えるという所を見せておくのは悪い事じゃないな。ここで名声を上げておけば、後に出会うであろう聖女にも護衛が出来ると強さを見せつけられる事になる… ここは真面目にやるべきだな」


 ふふん、随分と聖女の事を気にしているみたいだが… 知らないのか? どんな小説やアニメでも、聖女と一緒になるのは勇者だってことをな。

 ま、それまでは良い夢でも見て俺の役に立ってくれや。能力だけであれば信頼できるし信用もしているが、男としてはダメだな。聖女も他の転移者も、女は勇者にはべるものだろ? そこは諦めて現地人の女を探す事だな。



 しかし… 他の転移者、痕跡はあるのに全然会えないよな。一体どこで何をしてるんだろうか…







 SIDE:来栖大樹


「さて、そこの小さいお嬢さん、ちょっとこっちに来てもらうよ」

「私は大人しかった方の兵士を連れてくるわ、その子の事は任せるわね」

「了解だよ~」


 美鈴が一番文句を言わなかった小さい王女を連れ出してきて、霞が別の牢屋に入れてある兵士の1人を連れてくるようだ。

 残った俺達… カオリとレイコを連れて車庫へと移動する。何故車庫かというと、これから説教という名の恫喝をするというのに、この世界の基準では豪勢に見えてしまうロビーに連れていく事を止めたからだ。

 車庫であれば足元はコンクリートのような硬い床だし、ただ座っているだけでも疲れそうな感じだからな。まぁ休ませる気は無いという事だ。


 美鈴と霞がそれぞれの相手を牢屋から連れ出し、通路をこっちに向かって歩いてきている。さすがに引きずったりはしていない… そこは空気を読めるようだな。引きずれば当然擦り傷なんかが出来、通路が血で汚れるかもしれないからな… それは持ち主として避けたい所だ。


 車庫へと到着。この車庫は一番最初に使っていた場所なので、ガソリンを貯蓄するためのドラム缶や、今ではすっかり使わなくなってしまったジ○ニーとエス○ードが置かれている。

 それ以外はそこそこの工具とかだな… 特に奪われても困るような物は置いていない。車両には鍵がつけっぱなしだが、まぁ動かし方なんか知らないだろうから大丈夫だろう。


 そして手錠をしたままの状態で、2人を地面に座らせる。


「ねぇ、グラスはどうしたのよ」

「グラス? ああ、あの口だけ偉そうだった奴かい? アイツはもう死んだよ」

「なっ!? グラスは守備隊長だったのよ? 1対1とか言っておいて全員でやったんじゃないでしょうね?」

「何を言ってるのかしら… どうせ爵位だけで成り上がっただけの者でしょう? 弱すぎて見てられなかったわ」


 小さい王女、どうやらあのグラスとか言う奴の事を気に入っていたのか? 死んだと聞かされて目の色が変わったんだが… 霞の突っ込みに黙り込んでしまった、心当たりでもあったんだろうな。

 しかしアレが隊長だったのか… どう考えても権力だけで手に入れた役職だったようだな。ぶっちゃけあの男だけじゃアニスト王国軍の力という物が全然分からないもんな、まさか本当に実力で守備隊長になったわけじゃあるまいな…


「じゃあ大樹さん、休んでていいよ?」

「え? 休むったって…」

「そうね、1人で良いとこ取ったんだから、ここは私達に任せてもらうのが良いと思うわ」

「霞まで… マジで言ってんの?」

「「マジです!」」

「カオリやレイコは?」

「もちろんここで仕事をしてもらうわ」

「俺だけかよ…」


 しかし何だこれは、俺を追い出して一体何をしでかそうってんだ?


「ぶっちゃけるとね、女の虐め方を見せたくないって言うのが本音だね。でもまぁ任せてよ大樹さん、きっちり教え込んでおくからその間は休憩でもしててよ」


 俺の考えを読み取ったかのように美鈴が言い出すが… まぁアレか、昔から女のいじめは陰湿だとか言われていたから、それをやるという事なんだろうな… まぁ俺だって見たいかと言われれば困ってしまう話だが。ま、そう言う事なら乗ってやるとするかね。


「まぁ分かったよ。ただし、やりすぎて王都に帰れないなんて事にはするなよ?」

「もちろん分かってるよ!」


 そんな訳だ… ハブられているようでなんだか寂しいが、せっかくだしロビーでゆっくり待つとするかね。

誤字報告いつもありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
説教という名の拷問?を見た日には彼女達をさん付けで呼ぶようになるだろうね笑
[一言]  よーし、おぢさん自棄酒だ!
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