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誤字報告いつもありがとうございます。
「はぁ~♪ 日本では普通に食べられていたカレー… 本当に美味しい」
「ホントよね、こっちの料理も悪くは無いんだけど、パンとかガッチガチに硬くて歯が欠けそうだったしね」
「ダンジョン入ると何日も保存食になっちゃうからすぐに飽きちゃうしね」
カオリとレイコがカレーを食べながら半泣き状態だ… まぁ俺達も気まぐれで現地の食べ物を食べる事はあっても主食にはなっていないからな。それにしてもパンはそんなに硬いのか…
しかし女性陣2人が作ったカレー、さすがに俺が作るものよりも美味しく感じるな。何か隠し味的な物があるんだろうか… 作っているところを見ておけば良かったな。
食後、お互いの情報交換をする事になったんだが… どうにもカオリの様子がおかしいな。
俺の記憶では、割かし強引で、レイコを無理矢理引っ張っていってたように思うんだが、どうも今の状況はレイコに主導権があるように見える。
ともあれ、カオリがどうしてこんなに変わってしまったのかそんな話は聞けなかったが、マインズから一時期王都に拠点を移して活動し、王都で貴族に絡まれた事によりビリーカーンへと移動したと。
この辺の話は王都のギルドマスターが言ってた事と合致するな。そしてビリーカーンダンジョンにて、70階層までクリアして俺達が残した最高到達地点と並んだという話を聞いた。
俺達の話も同様に伝えており、王都での戦争の後は帝国に行き、向こうのダンジョンを一つ潰してきた話まではした。
「へぇ~、ダンジョン最下層のコアを壊すとダンジョンそのものが無くなっちゃうんだね。というか、帝国は大丈夫だったの?」
「何がだ? 別に特に変わった感じはしなかったけど。まぁダンジョン内で会った冒険者はボンクラだったけどな」
「いやね、ビリーカーンで聞いた話なんだけど、帝国はグリムズ王国を攻めるより先にプラム王国を水面下で落としていたんだって聞いたよ。今の話だと帝国と言ってもかなりプラム王国寄りだよね? 帝国兵とかいなかった?」
「いや、特に見かけなかったな… まぁ移動のほとんどが森の中だったからかもしれないが」
情報交換を終えたが、まぁはっきり言って俺達にとって有用な情報という物は無かったな。まぁダンジョンを潜る事しかしてなかったという事だし、これは仕方のない事なんだろう。
「ところで、皆はこれからどうするの? 私もあの王を殴りたいから参加希望なんだけど」
落ち着いたところでレイコがそう言ってくる。
まぁこれまでの苦労を考えれば当然の事だろうけど… レイコもなんだ? 魔法使いなのに殴る系に進化してるのか? そういうのは美鈴だけでお腹いっぱいなんだけど…
「他にも王女とかいるんでしょ? 私もこの金棒で一撃くらい入れたいんだけど」
「いや、それやったら情報収集の前に殺してしまうだろ。しかしまぁどうするかね」
「それくらいなら構わないと思うわ、逆の立場だったら私も頭を下げてでもお願いすると思うもの」
カオリの言葉に霞が反応する。まぁ確かに逆の立場であれば、俺もそうするだろうな。まぁそこら辺に関しては同意だが… 人数が増えてしまうのであればマインズダンジョンまで行ってられないかもしれないな。
とりあえず話し合いをしてから結論を出すと思うが、現状この場で王以外… 王女を相手に情報収集しながら報復する方が良いかもしれないな… この先カオリとレイコがどう動くのかは分からないが、そうしておけば明日にでも解散という事もあり得るだろう。
つまりは王のトドメは譲らないって事なんだけどな。アニスト王はダンジョン内まで連れて行って処理したいというのが正直なところだ。いくら時間が停止するからと言っても、牢屋に王の死体を入れておきたくないからな。
「それじゃまずは会議といくか、話がまとまらないと納得もできないだろうからな」
「そうだね、最重要事項として勇者と賢者の居場所の確認。王家に仕えていて敵対する可能性があるのかどうかだね」
「そうね、まぁ隻腕だという話だし、正直負ける気はしないのだけど油断は禁物よね」
「まぁね、勇者は霞に任せておけば平気だと思うし、賢者なら私が相手になるよ。なんといっても聖女の魔法は対魔法使いに特化している感じだしね」
「そ、そうなの?」
美鈴の言葉にレイコが反応… やはり魔法使いであり、ビリーカーンダンジョンを2人で70階層まで行けるくらいには成長しているって事だから自分に自信があったのかもしれないな。
「そうだよ。私は魔法障壁とか、その他個人情報につき教えられないけど魔法使いキラーだね。レイコも私と敵対する事になるんだったら気を付ける事だね」
「いやいや、そんな事無いから! それにさっき大きなハンマーを持っていたけど、まさかアレを武器にしてるの?」
「そうだよ。接近戦が出来なければただの足手まといでしょ? そんなのは嫌だからアレを使って戦ってるよ」
「こわっ! ちょっと聖女について勉強した方がいいよ? 聖女って言ったらもっとこう… 神聖な雰囲気を持った感じじゃない?」
「いいのよそんなテンプレは。私は私がやりたいようにやるの、それを私達のパーティでは許してもらっているんだもの」
「ふーん…」
「いや… これからどうするって話をだな」
結局のところ、今日はこのままマイルームの中で過ごす事になった。
まずは美鈴が回復要員として立ち会った上、絶対に殺してしまわないよう手加減をしつつ全員で王を殴る事になった。
もちろん王がボコられる姿を3人の王女にも見てもらい、彼女らの反抗心をついでに削ってしまおうという魂胆もある。
王女に関しては、女性陣のみで暴力を交えて色々と質問し、一番反省してそうな王女の1人のみを王都に戻すという事で決着した。
これに関しては俺にも異論は無い。いくらアニスト王国の王族だとはいえ、拘束している女性を殴るのは気が引けるからね… 俺は王だけでいいやって事にしたんだ。
まぁアレだ、ある意味選ばれた王女を王都まで送り返す手間が一番疲れそうだな… そんな小さい事を考えてしまった俺は、小さい男だなとむしろへこんでしまったのだった。
「よし、それじゃあいっちょやりますか!」
「「「「おおー!」」」」
何故か一列になって通路を歩いて行き、牢屋へと向かう。いよいよこの世界に召喚されてから強く望み、願っていた事が叶うのだ。
おっと、手加減は忘れずにだな!




