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事件が起きた! 詳細は活動報告の方で…
「とりあえず奥から埋めていきましょうか。騎士と王女だけは分けておきましょう」
「そうだね、扉を閉めたら時間が停止するとはいえ、騎士が近くにいたら私達も緊張しちゃうし」
「突然目を覚まされても面倒だしな。じゃあ別々に放り込んでおこうか、王女にだけ手錠をかけてくれ」
「了解。立場を分からせるには枷を付けておかないとね」
2部屋を使い、パパっと整理整頓を終わらせる。当然まだまだ終わっていないからな、時間だって足りないくらいだ、ここであまり時間は使いたくは無い。
「さて、次の王女の場所も分かっているんだろ?」
「当然よ。3人分しっかりと見取り図を書いてあるわ」
「よし、じゃあまた先導は任せるよ。夜明けまでまだあるが、出来るだけ急ごう」
「「了解!」」
それからはあっという間だった。
やはり深夜に寝込みを襲っているからなんだろうが、どこもかしこもろくに緊張感も無く、護衛なんて精鋭と聞いていたが、あくびをしながらボヤっと立っているだけだった。
まぁ王城の奥深くだから、普段から危険な事なんて無かったんだろう。まったくもってちょろいもんだった…
当然王女達も普通に爆睡しているので、何の抵抗も無く霞が一撃で仕留めていた。
3人の王女の拉致が完了したので、牢屋内を整理するついでにクリスティンにも会っておいた。当然降ろし先はどこが良いのかって話だけど…
「それでしたら、貴族街と平民街とを分けている門の手前でお願いします。当家の王都邸がその近くにありますので」
「そんな場所で良いのかしら? まぁ領地までと言われても困ることは確かだけど」
「大丈夫です。貴方達の行動が成功したとしても、陛下と王女殿下は日頃からだらしのない生活をしておりますので、恐らくすぐには騒ぎにならないと思いますので」
「親子ともどもどうしようもない連中だったんだな… まぁ分かってた事だけど」
「じゃあその場所についたらまた来るね、あなたにとっては別れた直後になるだろうけど心配は無用だからね」
「? はぁ分かりました」
まぁ当然そうだろうな。俺達が外に出て扉を閉めたらこの中の時間は止まってしまう、中にいる人には移動中の時間経過が無いから直後に現れた! ってなるんだろう。
まぁいい、それよりも急いで王都を脱出しないといけないよな!
これからは城内をコソコソと動き回るという訳では無いから、移動速度は格段に速くなるだろう。外壁と王城までの距離を考えれば夜明けまでには脱出できるのは間違いないし、クリスティンの言う事が正しいのであれば、夜が明けてから堂々と門から出て行っても良い訳だしな。
「よし、じゃあ行くか」
「「了解!」」
俺達は牢屋から出ると、闇の中を走り抜けていった。
SIDE:レイコ
「んー? 全然おじさん達の足取りが追えないね、どの町にも寄っていないのかな」
「まぁあの人の能力ならそれも可能なんだろうけどね、私達は補給しないと食べる物が無くなっちゃうからね」
「さっきの人の話だと、この町から王都まで馬車で5日くらいだって言ってたね。という事は、これまでのペースで走り続けたら3日半から4日ってところかな?」
「でもさー、ただひたすら走るって言うのも飽きるよね。ちょっとくらいサボっても大丈夫なんじゃない?」
「そんな訳無いでしょ! 車で移動しているんだからもうすでに王都に辿り着いて、色々と行動をしているはず! これで万が一すれ違ったりして王都行きそのものが無駄足になったら… そっちの方が嫌じゃない?」
「まぁそうだけどぉ~」
全くもう… カオリは走る事にすら飽きてきている。まぁ私は陸上部だったから走ること自体嫌いじゃないし、そこは問題無いんだけど。
だけど… ぶっちゃけ時間が足りていない。ビリーカーンの町を出てもう4日経つ… おじさん達とは7~8日間ズレているはずだから完全に王都入りはしているはず。
さすがにどんな方法でやるのかは分からないけど、あの王をどうにかするにはまだ猶予はあるはずだと思うんだよね。
「だけど、そろそろ何かしら動きがあって良い頃かもしれない」
「分かったよ。寄り道しないで急ぎ足で突撃だね」
「さすがに車の移動速度には敵わないだろうけど、結構な速度で移動していると思うからイケると思うんだよ。もしも間に合わなかったとしても、話くらいは聞きたいしね」
「分かった。じゃあ今日も暗くなるまで走るとしますか」
王都まで後3~4日… もしも間に合わなかったとしてもあっちは車で移動しているはず、そうなるとどうしても馬車なんかと違って砂煙とかで目立つはず。
そろそろ走りながらでもそう言った所にも目を向けていないと気付かないですれ違いそうだね… 注意していかないと。
こうして補給に立ち寄った名も知らない町を出て、王都に向けて走り出す2人だった。
SIDE:勇者君
「ここのダンジョン… あんまりドロップが旨くないな。どうする?」
「どうするって言ってもなぁ… つい最近までカオリとレイコはギルドに出入りしていたって話だったから、ここ数日姿が見えないのはダンジョンに居るからだろう? ただ待つって訳にも行かないし、せめて宿代くらいは稼いでおかないとな」
「カオリとレイコがまたセットで活動していたってのには驚いたし、しかも日本人と思われる2つのパーティがこのダンジョンの70階層をクリアしてるって… 俺達負けてんじゃね?」
「確かにな… 俺達は王城に囲われていた期間、ろくに実戦訓練なんてしてなかったから… その分差がついたと考えるしか無いだろう。
だけど、カオリとレイコの職を考えると… あの2人でも70階層に行けたんなら勇者であるお前と賢者である俺が一緒ならすぐに追いつくと思うがな」
「まぁそうだよな! 勇者である俺が戦闘で他の職に負けるはずないしな!」
そうかそうか。さすがに70階層クリアと聞いて、実力に差がつきすぎてるんじゃないかと心配になったが… まぁ賢者の奴が言うようにすぐに俺達も追いつく事だろう。
足りないのは実戦の経験だけなんだ、他の連中に出来て俺達が出来ない訳が無いだろ? そうとも!
「まぁカオリとレイコが一度ダンジョンに入ったら、1週間は軽く出てこないってギルドの受付も言ってた事だし、俺達はそれに合わせてギルドに行って待ち受けていれば良いんだよ。そうすれば… 聖女を含めた他のパーティにも会えるだろ」
そう言う事なら仕方がないな、なんせ金が無ければ飯も宿も無理なんだ… 空腹の中の宿なんて無理ゲーだぜ。
さぁ、他の日本人… 全然覚えていないけどどんな奴らなのかね? どうせなら見た目は良い方が俺的には一番なんだがな…
誤字報告いつもありがとうございます。




