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誤字報告いつもありがとうございます。

「全然灯りがつかないねぇ。これって今日はもうダメなんじゃない?」

「んー、もう21時か。この時間になっても来ていないというんなら他の場所で落ち着いたのかもしれないな。よし、そんじゃカメラの付け替えをしてしまうか。そして夜型になった生活を戻しておくのも良いかもしれないな」

「まぁそれはいつでも大丈夫だとは思うけど、とりあえずやる事をやってしまおうよ。そうじゃなきゃなんか落ち着かないし」

「そうだな。それじゃあ2人には出入り口の外の気配に注意しててくれ、付け替えの作業は俺1人でも大丈夫だから」

「「了解!」」


 どうやら今晩はハズレだったみたいだな。多少がっかりはしたが、何となくそうじゃないかって気もしてたんだよね。

 まぁおかげで後顧の憂いを取り除く作業が出来るってもんだ、それほど悪い事ではない。


 黒装束に暗視ゴーグルを装備し、マイホームから静かに外に出る。暗視ゴーグル越しに侵入している部屋の中をじっくりとチェックしてみるが、どうやら俺達の見ていない間の人の出入りは無かったようだ。見た所部屋の中には人が何か作業をしたような形跡は見当たらなかった。


 まぁ入ったのが夕方だったからな、部屋の清掃なりそういった作業はすでに終わっていたんだろう。


「よし、部屋の外の気配はどうだ?」

「うん、誰もいないみたいだね」


 部屋の出入り口の扉を少しだけ開いて確認しつつ、美鈴が答えてくる。確かにドアの向こうは真っ暗で何も見えない状態だ、さすがにその状態で誰かが待機しているなんて事も無いだろう。


「じゃあ作業を開始するから、警戒の方を頼むな。マイホームの扉は開けたままにしておくから、何かあったらうまい事やってくれ」

「「了解」」


 後方を2人に任せて取り付けてあったカメラを赤外線カメラへと付け替える。土台にした物はそのまま使い、載せている物だけを交換する。配線関係も全部やり直しなので、作業量は取り付け時よりも少しばかり多い。

 残念な事に、交換する事を前提にして取り付けていないためになかなか面倒な作業だった。回収だけを考えればどうしてもそうなるよな… だっていつ人が来るか分からない場所での作業だし、付けた物が落ちなければ良し! ってな感じで接着剤を多めに使用しているから。


 だけどまぁ、多分10分かそこらで交換は完了した。外の様子を伺っている霞にも動きは無いから何とかうまく行ったみたいだな。


「こっちは終わった。外の通路にも取り付けられそうな感じか?」

「多分大丈夫だと思うわ、人の気配は全く感じないし誰か来たとしても、来たのを確認してから隠れても間に合うと思うわ」

「うんうん、これだけ暗ければ至近距離まで近寄らないと見えないと思うよ」

「よし、じゃあ通路にもつけるとするか。部屋の扉は開けっぱなしにしておくから、通路の先の方を警戒よろしくな」

「「了解」」


 2人はそう言うと、美鈴が来るときに来た方、霞がまだ向かってない未知の方の警戒を始めた。それを確認してから通路の真ん中に脚立を立て、前後両方を映せるよう2台の赤外線カメラを通路の天井に取り付ける。これは場所が場所だけに回収までは配慮できない。最後はそのまま放置していく事を前提に土台になるセットを接着剤でガチガチに固める。そしてカメラの配線は天井に沿わせてこれも接着剤で塗り込み、部屋の中へと引き込んでいく。扉の開け閉めに干渉しないよう扉の方を配線が通る分だけ削っておく… 扉が木材で良かったよ。


 予定していた作業が終了したので美鈴と霞を戻し、マイホームに入ってカメラの具合を確かめる。


「おー、白黒だけどちゃんと見えてるね。部屋のも通路のもこれなら大丈夫じゃない?」

「ええ、モニターもちゃんと2つに分けてあるから分担して確認ができるわね」

「ま、夜の内は動きなんて無いだろうから、明日の朝起きてから交代でチェックだな」

「じゃあ今日はこれでお仕事終了にする? それともせっかくだから通路の先を確認しに行く?」

「むむ、確かにそれも手だな。でもここで俺達の存在がバレたら、この部屋は使われなくなると思うぞ?」

「大丈夫じゃないかしら。この周囲には全然人の気配は感じられなかったから、知らない内に離れとかに来てしまっている可能性があるわ。退路の確認を兼ねてチェックする事を勧めるわ」

「なるほど、確かにそうかもな。離れというと、もしかしたら王城からいつの間にか出てしまっているって可能性があるって事だもんな。じゃあ一応ここを拠点にするって事で、戻ってこれる範囲で探索を進めるとするか。もうすでに夜間用の装備もしている事だしな」

「了解! じゃあ早速行ってみよう! ぶっちゃけ今から寝ろと言われても、ちょっと眠気が来ないかなって思ってたんだ」

「私もそうね… いくら寝る事が好きだからと言っても、さすがに今からは寝れないわ」

「なるほど… 俺は寝れるんだけどな?」

「じゃあいつも以上に警戒を厳にして進んで行こう!」


 ふむ、スルーですかそうですか。

 でも確かに確認は重要な事だからな、後回しにしていい問題じゃない。それに昼型に切り替えてしまっては次に確認するのはいつになるって問題もある… だったら面倒な事は先に済ませておいた方が得策だよな。



 一応万が一があると困るから、マイホームの扉は消しておく事にする。マイホーム内に引き込んだはずのカメラの配線は、なぜか部屋の石壁の中にめり込んでいる状態で残っている事が分かった。

 念のためもう一度マイホームの扉を同じ場所に出してみると… うん、配線はちゃんと中まで通っているね、結構結構。まぁなんでこうなるって言うのは考えないようにしよう… 考えたって分からない問題だからなこれは、そもそも使い手である俺自身が正確にマイホームの事を把握しきれていないんだからしょうがない。

 色々と突っ込みたいことろではあるが、とりあえず現在位置の確認を最優先で探索をして行こう。もしも… 日本で言うところの大奥のような場所であるなら、この奥には逃げ道は無いんだろうな。アレはある意味隔離しているような場所だからな、入って来た経路しか出る事は出来ないかもしれないが、出来ないなら出来ないと確認しておかなくちゃダメだ。咄嗟の時にそっちに行ってしまったら大変だしな。


「よし、いっちょやりますか」

「「了解!」」

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