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誤字報告いつもありがとうございます。

「こういうのはどう? 大樹さんに牢屋の扉を出してもらって、私の障壁で一気に牢屋の中に押し込むの。多少は音がするかもしれないけど、打撃音じゃない分騒がれ無いんじゃないかと思うんだよね」

「2人まとめて押し込むのかしら? それなら行けるかもしれないけれど… 後は見張りの交代の時間とかを調べないといけないわね」

「うんうん。だから一度ここから出て、暗い内にこっちが見張りやすい位置に扉を置き換えるべきだと思うの。今なら向こうからは見えないだろうし、こっちは黒装束だしね」


 ふむふむ。確かに鎧を着こんだ兵を無理矢理倒してしまうと、倒れた時に金属音が響き渡る訳か… そして交代時期を知っておかないと、せっかくうまく事を運んだとしても交代要員がすぐに来ちゃったりする心配もあると。


「つまりアレか? あの護衛の兵が良く見える所でマイホームに入り、奴らの動きを観察した方が良いと。もちろん交代の時間とかも」

「そうそう! 製造で監視カメラとかあったよね?」

「うーん、あったような記憶はあるな。しかし言いたいことは良く分かった、一回マイホームを出て通路の角で入り直すとするか。今の暗さなら向こうからは見えないだろうからな」

「そうね、それは大丈夫だと思うわ。向こうは篝火で明かりを灯してるから丸見えなんだけどね」


 そうと決まれば、マイホームを出る前に監視カメラ… まぁ普通のカメラでも良いんだがそれを製造しないとな。確か品目をチェックしてた時に見た記憶があるなら間違いなくあるとは思うんだけどな。


「でもカメラをどこに取り付けるかが問題よね。地面に近いと掃除された時に気づかれそうだし、壁面に取り付けるなら取り付け方次第では音が出る作業になってしまう…」

「まぁそこはアレだ、使い捨てだと割り切って粘性の高い接着剤とかでゴリ押しすればいいんじゃないか? まぁ50メートルほど離れているとはいえ、護衛兵士がいる中での作業はなかなか緊張するけどな」

「割りばしかなんかでカメラを載せる台を作ってさ、その台を壁と接着してカメラを置いてやれば使い捨てにならなくない? 割りばしは犠牲になったのだ」


 なんだかんだと意見交換が続いていくが、あまり時間をかけると夜が明けて明るくなってしまう… 急がないといけないな。


「よし、じゃあ美鈴の案を採用して割りばしで台を作ろうか。まぁあまり目立つような物だと困るから適当でな」

「「了解!」」

「俺はなるべく小さくて目立たないようなカメラを探して製造するよ」


 役割分担? が完了し、俺は製造のモニターへと向かい合う。どうも製造できる物の年代が古いせいか、今時のコンパクト過ぎるカメラは無かったような気がするなぁ… しかも画質も悪そうだし。

 しかしまぁ、今回の使い道は護衛に立っている騎士の動向を探るものなので、別に相手の顔まで映らなくても問題は無いよな。あのメタボ王なら顔が映っていなくてもわかるだろうし、それに夜が明けてあの守られている部屋から王が出てくれば完璧だ。


 それを確認するためにもカメラの設置はやっておきたい所だな。お? わりかし小さめのカメラがあるな、色もグレーで壁の色とマッチしている… これに決めた!


 取付位置も普通に歩いて目に入る高さではなく、天井にほど近い所まで上げようと思っている。異物はどうしても視界に入ってしまうもんだからな、なるべく発見を避けるために高い所という訳だ。

 当然設置するには脚立でも使わないと手が届かない… しかしそこは俺の製造で何とかなるのでイケるだろう。


「大樹さん、もうそろそろ動かないと時間が厳しくなってくるわ」

「大丈夫、準備は終わったよ。さて、いっちょやるかね」

「了解! 私と霞は周囲を見張ってればいいんだよね?」

「ああ、それで頼む」



 早速マイホームから出て、音を立てないよう静かに移動を始める。

 夜明け前で真っ暗なのだが… 向こうが明るくて兵士の姿が見えるため、どうもこっちも見えてるんじゃないかと錯覚してしまう。しかし距離と俺達の真っ黒な服装があれば間違いなく見えていないはず、気を付ける所は護衛の交代要員がここを通りかかってしまう事と音を出してしまう事。


 脚立は木製の物で、足の部分にはゴムで滑り止めがしてある。当然ゴムなので地面との接触音も消してくれているのが救いだな。


 見張りを2人に任せて予定通り高い所に粘性の高い接着剤を塗り付け、割りばしで作った簡易的なカメラ台を無理矢理接着していく。カメラの重さに耐えきれなくなったりしないようしっかりと補強してからカメラを乗せてセット完了。


 バッテリーの容量は3時間となっていたので、外付けで繋げて録画時間を9時間まで伸ばし、配線を接着剤で固定しながら下の方に垂らして終了だ。


 美鈴と霞に合図をし、護衛のいる部屋が見える位置にマイホームの扉を出して中に入る。もちろん映像のバックアップをするために垂らした配線も忘れずにマイホーム内へと引き込んでおく。



「ふぅ、これで上手くいけば良いな」

「そうね、最悪はカメラの土台が落ちてバレてしまう事ね」

「でも大丈夫じゃない? 割りばしとはいえ何本も組み合わせて頑丈にしたんだし。後はこの配線をこっちでモニターにつなげて記録しておけばいいんでしょ? ついでにリアルタイムで見れるんだし落ちたらこっちでも気づけると思うよ」

「そうだな。まぁ今回の所はこれくらいにしてやるか。できればアニスト王が出入りしている姿が映っていれば最高だな」

「そうだね、あのメタボなボディは見間違えないから大丈夫だよ」

「まぁ、あれだけの不摂生な体では放っておいても長生きは出来ないと思うけれど、そういう問題ではないのよね」

「うんうん。まず革手袋をして顔面パンチだね!」

「そうね、素手でなんてありえないものね」


 がはっ! まぁ俺だってあの油ギッシュな顔を素手では殴りたくないとは思っていたけれど、まさかの皮手袋かい。


「というかアレだな、前に霞とも話をしたが、アイツの為だけに新品の皮手袋を作るのはなんか負けたような気分になるから、以前魔物を掴むのに使っていた皮手袋にしようぜ」

「もちろんだよ! あのブラッドウルフを掴んで引っ張った皮手袋を使うに決まっているよね。ちゃんと物置に置いてあるから大丈夫」

「そうか、それじゃあ今回のお仕事はここまでにしよう。願わくばあの部屋にアニスト王がいる事を祈って…」

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― 新着の感想 ―
ダンジョンの汚れは消去されるので、ダンジョン内対ゾンビ用よりダンジョン外ウルフ解体用の方が汚いのか...
マイホーム内に配線を引き込んでいるってのは、入れようとしている状況の途中で放置している状態なので、配線を掴まれたら入場許可が付与されてしまう状況に思えるな。 見つからない事を祈ろう。
[一言] 「素手で殴りたくないから手袋を使うけど新品はもったいないので再利用」的な内容、227/233部分と被りです。 そういえば割と敷地のありそうな城内、王は自力で歩けるのだろうか…?
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