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誤字報告いつもありがとうございます。

 マイホームから出ると、まずは周囲の確認。この場所に陣取ってから付近にトレントが現れたことは無かったが、これは習慣にしておくべきだと毎回するようにしている。

 全員が出たことを確認してからマイホームへの扉を回収し、ボス部屋へと歩いて行く。いつものように最前列から霞、俺、美鈴という順番だ。


 無言のまま一番前にいる霞がボス部屋の扉に手をかけて、押し出すような仕草を見せると…


「あら、開いたわ」

「わっ、本当だ。という事はダンジョンボスのリポップは15日周期って事なのかな?」

「それは何とも言えない所だな。ダンジョンごとに違うのかもしれないし、まぁ一応目安として覚えておこうか」

「それじゃあ中に入るわよ、なんかやる気が出てきたわ」

「私も! これでやっと外に出られるね!」

「全くだが、油断はするなよ? 前回だって何もさせずに倒したから、ボスがどういった攻撃をしてくるかなんて分からないんだからな?」

「大丈夫よ、油断なんかしてないわ」


 おおう、なんだか霞のやる気オーラがすごいな。この様子なら大丈夫だろう、美鈴も同じ感じだし俺も集中するか。

 KSVKにマガジンの装着を確認、初弾装填も確認、後は撃つだけの状態だ。美鈴と霞も同様にチェックをして戦闘準備が完了した。


 静かに音を立てないようボス部屋に侵入して、部屋の奥でワサワサと蠢いている魔物の姿を確認する。うん、前回も思ったがコイツは本当に気持ちが悪い姿だな。


「それじゃあ攻撃を開始するわね」

「ああ、よろしく頼む」


 霞がKSVKを構えて照準を合わせ…


 ドパーン!


 初弾命中! 魔物の大きな口のあたりが弾けていく。その後も休む間もなく撃ち込んでマガジンを空にした。


「撃ち終わったわ、マガジンの交換をするわね」

「了解だ、次は俺だな」


 すぐさま俺も続き、大きな口を目がけて5発発射する。

 この時点ですでに瀕死のようだが、フラフラしているけどなかなか倒れて行かない。当初の予定であればこのボスを相手に周回するつもりだったので、弾数を削減しようと話し合っていたけどもうその必要は無い。今日でこのダンジョンは消え去るのだ、なので美鈴も躊躇なく撃ち込んでいく。


「はい撃ち終わり。ボスの様子はどう?」

「動きがもう止まりそうね、このまま放置してみる?」

「いや、弾は多めに作ってあるからとどめを刺しても良いぞ」

「そう? それじゃあ遠慮なくいかせてもらうわ」


 2巡目の霞が2発撃ち込んだ所でダンジョンボスは後ろにひっくり返るように倒れ込んだ、それを確認して霞は撃つのを止める。


「どうやら倒せたようね。このKSVKは強いわね」

「一応戦車の装甲を抜けたりできるようだからな、貫通力は高いんだろうよ。あまり詳しくは無いが」

「あ、ボスがダンジョンに吸収され始めたよ。それじゃドロップの確認をしてコアの所に行こう!」


 自分の含めてKSVKを回収して道具箱に戻し、すっかり消えてしまったボスの所まで歩いて近寄ってみる。

 しかしなんだ? 今回のドロップはゴールドアプルではないな、もっと大きめのナニカが落ちているようだ。警戒する必要は無さそうだが、一応気にして見ていると…


「あれって箱だよね」

「箱だな。何と言うか、瓶のビールが入っているケースのような感じだ」

「そうね、私もそうとしか見えないわ。という事は、あの箱の中にドロップ品が入っているという事かしらね」

「多分そうなんだろうな。まぁ見てみれば分かるさ」



 近づいて確認してみると、やはりビールケースのような物で、その中には小瓶が5本入っていた。

 小瓶の一つを手にとって見てみると、青っぽい液体がゆらゆらと揺れている。これは一体何だ? 


「よし、鑑定してみよう!」

「おっ、それじゃあ頼むよ」


 美鈴が小瓶を見つめて鑑定を行う。


「これって… ヤバい物かも」

「マジか!? どれどれ」


 美鈴が言うにはヤバい物なんだそうなので、自分でも鑑定をしてみる事にした。


 【神癒薬】人体に於ける全ての異常を治癒する最上級治癒薬。欠損部分も回復する。


「ええー、これって所謂エリクサー的なやつ?」

「そうかも。部位欠損も癒せるみたいだし、これもゴールドアプル並みに戦争の引き金になりそうだね」

「しかもそれが5本もあるのね… でもこれって私達にも都合が良いんじゃないかしら? 聖女である美鈴が何かしらの事故で大怪我した時とか、私やおじさんが美鈴を治療できるって事よね」

「そうだな、美鈴が怪我をして自分に魔法を使えない状況とかになれば、その価値は跳ね上がるな。5本もある事だし全員で1本ずつ持って、残りは倉庫に入れておくか」

「そうしよっか。まぁ私はそんな大怪我するようなヘマはしないと思うけど、保険はあるに越したことは無いからね」


 まぁそうかもしれないが、俺や霞が怪我をしても美鈴がいれば安心だが、肝心の美鈴が怪我をして意識が無いとなれば、俺や霞では助けてやる事は出来ない。ある意味俺達パーティの弱点を補う素晴らしい拾い物かもしれないな。

 でもこの手の高級回復薬って、大事にし過ぎて最後まで手を付けないって事も多々あるよな… ゲームでの話だけど。


 しかしこれは良い物が手に入ったな、まさしく今の俺達に足りていなかった重要なアイテムだ。万が一は起きないように心がけているが、それでも起きてしまった時に俺達にとって救いとなるだろう。


「よし、他に宝箱とかは無いね。じゃあサクっとダンジョンコアをゲットして地上に戻ろう!」

「お、おー!」


 美鈴と霞が腕を振り上げて勝鬨? そんな風に見える行動を取りつつ次へのステップを踏もうとしている。そうか、地上に戻るんだ。ああ、なんだか随分久しぶりな気がするな。


「んじゃ戻るか」

「「了解!」」



 ボス部屋のチェックも終わっているので、早々に奥の扉からダンジョンコアのある部屋へと向かう。ここは前回も通っているから特に問題は無いが、一応油断だけはしないように気を付ける。ボスを討伐し、安堵しているところに何かされたら普通ならパニックになってしまうだろうからな。


 しかし、何事も無くダンジョンコアへと辿り着く。緊張感を返せと言いたいが、これは習慣にしないといけない行動だから黙っておくか。


「それじゃあおじさん、倉庫の扉をこっちに向けて出してもらえるかしら」

「了解だ。美鈴は退路の確保… というか、転移陣の扉を開けておいてくれ」

「こっちも了解だよ」


 倉庫へと続く扉を出現させ、それを大きく開いてダンジョンコアの方へ向ける。


「それじゃあ蹴るわよ!」

「おっし、どんと来い!」


 ゴツン!


 霞の手加減した蹴りがダンジョンコアを台座から押し出した。

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― 新着の感想 ―
もったいない! と思ったけどよく考えたらここ帝国のダンジョンか。 趣旨的には略奪して帝国の資源を破壊するんだからそりゃやるか。
[気になる点] モンスター鑑定したらドロップするのわかるのどうなったんだろ?
[一言]  そんな凄い治療薬が出るなら、もうちょっと周回して 欲しい気がしないでも。  まあ欲を出したらキリがないけど。  欲張るとろくなことにならないのもセオリーだし。
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