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誤字報告いつもありがとうございます。
「うーむ… さすがにカツラなんて都合の良い物は無いか。マイホームベースが軍事拠点という解釈をするんだったらあるんじゃないかって思ったんだけどなぁ」
そう、スパイとか諜報活動だって軍事行動に入るはず。そのための変装道具と考えたらあるのかも? って考えたんだが、いくら探しても見つける事は出来なかった。
まぁ無いなら無いでしょうがない、別の方向で考えるか。
まぁあの国の人間が召喚者を見分けるとしたら間違いなく髪の毛と瞳の色を見てくるだろう。瞳の色はどうにかごまかせるかもしれないが、髪の色はどうしようもないよな。ああでも、ヤンキー君とヤンキーちゃんは金髪に染めていたよな。あれを覚えているならカツラだけじゃ不安になって来るな… そこまで優秀な人材がいればの話だが。
「まぁいいか、そこは移動中にでも考えればいいだろう。現場を見てみないと分からない事だってあるしな… よし、風呂に入って晩酌でもして寝るか!」
うん、風呂上がりのビールは旨かった。
異世界生活139日目
前回ダンジョンボスを倒してから今日でちょうど15日目、キリが良いのでボスでも復活してくれてるんじゃと少しは期待しながら朝のコーヒーを飲んでいる。
前回皆で打ち合わせをしてからの3日間、3人でバラけたり、時には合同で何かをしたりと過ごしてきたが… やはりというか皆揃って飽きてきているようだった。
俺もそうなんだけどな!
でもまぁ仕方がない、このダンジョンで立てた目標はすでに達成しているし、ダンジョン攻略後の動きまで設定して先の事まで考えているんだ、ダンジョンボスの部屋がいつ解放されるか分からない状況での待ち時間は物凄く長く感じてしまう。
まぁ俺はアレだ、女性陣には悪いけどマイホームをいつでも使う事が出来るので、狩りに飽きた時はマイホームに入って資材や物資の製造や、車両の点検なんかをやっていたのだけどね。
資材物資といってもダンジョンの外にいた時と同じで、弾丸と燃料だからいつも通りって言えばそうなんだけど… 一度トレントを相手に接近戦をやりすぎて作業服を破ってしまった事があり、仕方なく新調したところ女性陣は目ざとく気付いて突っ込まれた事もあった。
魔法剣もどきに関しても、トレントが相手では効果が良く分からなさ過ぎてすっかりモチベが下がってしまい、練習は終了してしまっている。一応マチェットの刃の上で肉が焼ける事だけは確認したんだけど、生木が相手だと全然効果が見えないんだよね。まぁ才能というか、適性が無いようなので仕方が無いと思う事にした。
「おはようおじさん、今日も早起きだね!」
「美鈴か、おはようさん。早起きなのはいつもの事だ、健康的でいいじゃないか」
「そうだけど… おじいちゃんみたい」
「失礼なっ! 夜更かししてまでやる事が無いから仕方ないだろう。夜は寝るしかやる事が無いからな」
「まぁそうだよね。私も日本にいた頃は目覚ましガンガン鳴らさないと起きれなかったタイプだったけど、今は自然に今くらいに起きれるようになったからね」
「早く顔を洗ってスッキリして来い」
「はーい」
時計を見ると6時になっていた。確かに美鈴は毎朝このくらいには起きてきてるよな。まぁ自然に目が覚めるって言うなら良いじゃないか、体が眠りを欲していないって事だし疲れはちゃんと癒されてるって事だろうから。
まぁ疲れすぎると却って眠れないとかはあるけど、それほど疲れるような事は… まぁ戦闘しているか。トレントがいくら弱いからと言ったって、相手はこっちを殺す気で攻撃してきてるわけだからな、毎日殺気を浴びてたんじゃストレスになるか。とりあえずボスを倒して早く外に出たいもんだな。
美鈴が洗顔を終えて戻ってくると、そのまま厨房に入って朝食の支度を始める。時々俺も支度をするんだが、美鈴と霞に「いいからいいから」と言われて食事当番を外されてしまっているのだ。
ふむ… 要するに俺の作る飯はいまいちだって事かな? くそぅ、こんな事ならもう少し料理をやっておくんだった。
「ねぇおじさん、今日はボス部屋の確認して開いてなかったらお休みにしない?」
「ん? それはそれで良いと思うぞ。俺も段々ストレスに感じてきているみたいだし、ちょっとぐーたらしたい気分だしな」
「あら、それは良いわね。やっぱり『雪月花』としてはホワイトな労働環境を謳っている訳だし、お休みは必要よね」
「そうそう。特に最近は扉待ちになってるでしょ? なんか士気が下がるというかやる気が落ち込んでくるというか」
「分かるわ。私もトレントを相手にするくらいならトレーニングルームの方が良いんじゃないかって思うようになったもの」
「よし、それじゃあその意見を採用という事で。一応今日は前回ボスを倒してから15日目でキリが良いから、もしかしたら開いてるかもしれないぞ?」
「開いてたら開いてたで良いんじゃない? さっさと倒せば外に出れるわけだし、その方がスッキリするよ」
「確かにそうだな。それじゃあ今日はそのつもりで行こうか、朝一で出る必要も無いしのんびりしよう」
「「賛成!」」
やはりというか、閉鎖空間に長くいるせいで知らない内にストレスが溜まっていたようだな。まぁでも働き過ぎは良くないし良いんじゃないかと思う。どうせその内暇すぎてトレーニングルームに入っちゃうんだろうから、体が鈍ってしまう事も無いだろう。
その後も朝食を取りながらのんびりと会話をし、9時を過ぎたあたりで全員着替えを済ませて集まった。まぁ普段着は全員ジャージだからな、さすがにそんな恰好でマイホームの外に出ようとは思わない… いくら確認だけとはいえな。
武器なんかはそれぞれが個人で管理し、自分の収納魔法に入れてあるから持ち出しを忘れるなんて心配は無い。
「さて、それじゃあ確認だけサクっとやってしまうか。もしも開いてたらそのまま戦闘開始でいいな?」
「うんうん、OKだよ」
「私もそれで良いわ。一応今の内からKSVK持っておく?」
「そうだな、準備は一応しておくべきか。一応前回と同じでマガジン2個、10発分な」
「了解、霞から順に5発ずつ撃ち込んで下がるってパターンだよね?」
「ああ、5発撃ったら下がって万が一の時のためにマガジン交換な。霞、次に俺、最後に美鈴で頼む」
「「了解!」」
ボスがいればそのまま戦闘して地上に帰還。もしも開かなくても今日は休日という謎のテンションのままマイホームを出た。




