198
誤字報告いつもありがとうございます。
異世界生活134日目
想定通り40階層から50階層のボス部屋まで頑張れば10日でつけるという事が証明された。今はすでにボス部屋の前まで来ているが、急ぎ足での進軍だったために休憩を取っているところだ。
この10日間で、お目当てだったドロップアイテムは3個拾う事が出来ている。ブラックチェリーが1個にバナナスカーレットが2個、計11年分だな。やはりイエロートレントが出現する階層が多いせいか、バナナが多く集まるようだな。あ、通常ドロップであるバナナは普通に食べていてマジで美味しい。チェリーは好みの問題で女性陣に全部任せているが、アプルとバナナは分け前をもらっている。
「さて、そろそろ突撃しようかね」
「まぁ突撃って言ったって、入り口付近からの遠距離狙撃なんだけどね。至近距離で拝みたくないから」
「そうね。今回は美鈴も攻撃に加わるとして、何発で仕留められるかも検証するんでしょう? 攻撃方法はどうするのかしら」
「そうだな… どうするか。何か案はあったりする?」
「んー、やっぱり鉄砲三段撃ち? 順番に1発ずつ撃ち込んで倒れるまで続けるとか」
「三段撃ち… 織田信長のアレね?」
「そうそう。実は三段撃ちなんて事実は無く、後世の人による創作だったとか言われているアレ」
「前回は私が5発撃っておじさんが7発撃ったと言ってたわね、それを加味してまずは3発ずつ撃ってみるというのは?」
「スルーされた?」
「まぁ織田信長はともかく、10発は撃った方が良いと思うな。それに当たり所によってダメージも違うだろうし、数だけで判断するにはまだ早いだろう」
「とりあえず狙う場所は前回と同じ口周りという事なのね?」
「実際それで倒してるんだから一番良いと思う。ぶっちゃけどこが急所かなんて全然わからないしな」
「でも現実問題、これの弾を製作するのにかかった魔力量は分からなかったんだよね? 良い意味で誤差の範囲と。それなら節約する必要は無いんじゃない?」
「まぁ確かにな」
そうなのだ。実際にどれくらいのコストになるのかを調べるため、KSVKの弾を改めて製作してみたんだが… 1発製作じゃ全然減ったような感覚が無かったので、5発、10発と増やしていったが体感できるほど魔力が減った感じはしなかった。
さすがに100発や200発も作れば感じるのかもしれないが、10発や20発じゃ何も問題は無かったので、まぁ2~30発を乱れ撃ちしたとしてもコスパは良いと判断できたのだ。これもドロップ次第だけど、それ以外にもあんな魔物をローコストで倒せるんなら良いんじゃないかってね。
「とりあえず3発ずつ撃ち込んでから交代して三段撃ちしてみよう。2巡目は1発ずつ撃って倒せなかったら3巡目を撃ってすぐリロードだな」
「分かったわ。無駄な動きのような気もするけど、距離があるからそれでも近づかれる前にどうにかできそうだから」
「まぁ仕方がないよ。今後あの手の魔物が複数出てくる可能性もある訳だし、致死ダメージの把握はしておいた方がパニックにならなくて良いんじゃない?」
「それもそうね、この対物ライフルのマガジンが5発しか入ってないという問題もあるし、肝心なところで弾切れをやらかすと切ないものね」
「うんうん。というか無理して全員に回さなくても良いと思うよ。最初に5発撃って下がってリロード、次の人も5発撃って下がってリロード、最後の人が調整しながら撃って行けば良いんじゃないかな。そして万が一のためにリロードを終えた人が構えて待機するって事で」
「まぁそれが一番良いと思うな。んじゃ普段の立ち位置が攻撃順で良いか? 霞、俺、美鈴って事で」
「「了解!」」
ふむふむ、撃ち足りないって言いだすんじゃないかと思って3発ずつのローテーションを提案したが、そんな事よりも効率重視を選んでくれたか… まぁあんな恐ろしい見た目の魔物に隙を見せたくないって言うのが本音だろうが悪い事じゃない。
さて、攻め方のミーティングは終わったが、実はもう一つだけ問題点がある。
それは… たった10日であれほど大型の魔物が再度陣取っているのかどうかという事だ。ゲーム的な感性で考えたとしても、階層ボスを倒した後ってすぐにリポップしないである程度のクールタイムって言うのがあるだろう。低階層の低級魔物であれば再生も速いのかもしれないが、この部屋にいるボスは最下層のダンジョンボスだからな、フロアボスとは比較にならないんじゃないかと個人的には思っている。
「果たして10日やそこらでリポップしてくれるか… だな」
「そうだね。私達でさえ大急ぎで10日かかったルートを、ダンジョン側がその日数で想定されているか」
「分からないなら行ってみれば良いのよ。逆に行かなければ何も分からないわ」
「そうだな、居ればラッキー、居なければ残念だが日数を数えながら待つしか無いな。それじゃ行ってみるか」
「「了解!」」
霞を先頭に3人が進んで行く。KSVKはすでにそれぞれの手にあり、いつでも構えられるように備えている。
「あら、ボス部屋の扉… 開かないわ」
「マジか… やはり10日じゃ少しばかり早かったという事か」
「それじゃあ49階層に戻って狩りでもする? 果物各種はいっぱいあっても歓迎するよ?」
「そうね、このまま待機していても体が鈍るだけだし、扉が開くにしても今日では無いと思うわ」
「そうだな。マイホームに引き籠ったって暇になるしな、それじゃ戻るとするか」
「「了解!」」
残念、さすがにそこまで都合良くいかなかったようだ。
しかしまぁ、いつ開くか不明なのは問題だけど、黙って待っている訳じゃないのが救いだな。戻ったとしても、ドロップ目当てで狩りが出来るからモチベーションも保てるだろうし良いんじゃないだろうか。
「それじゃあガッツリと狩っちゃおうかね、訓練も兼ねたいからハンマーで行こうかな」
「美鈴、分かっていると思うけれど戦闘は順番よ?」
「分かってるって。霞こそ間違えたふりしていっぱい倒さないでよ?」
「……、間違いは時々あるものなのよ」
「嘘だ! 絶対ついでに倒してるじゃん! ちゃんと分けようよ!」
「分かったわ、気を付けるからそこまで突っ込まないでよ」
美鈴と霞のじゃれ合いを見ながらふと思う。こいつら絶対俺の事頭数に入れてないだろうと… こうなったらアレか? 集合時間を決めて別れて狩った方が良いのか? 見ている限りこのダンジョンでは負けるなんて事は無いだろうから提案だけでもしてみるか。




