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誤字報告いつもありがとうございます。
異世界生活123日目
昨日は午後からの猛攻により、50階層へ向かう階段を見つける事が出来たのだ。これで早ければ明日にでもボス部屋に到達する事が出来るだろう。
それにしても、若返りの代償として今日までの記憶や経験が消えると考えて、その時のために自分宛てに残すメッセージか… それはそれは非常に恥ずかしいんだがどうしよう。と言うか何て残せば良いんだ? 『これを見ている若返ったはずの俺へ』とか? ないわー。
かと言って、19歳の時の俺だったら… 女子高生が目の前にいて、『ここは異世界で、私達とパーティを組んでいた』なんて言われても絶対に信用しない自信がある。まぁ現状を見れば異世界だという事だけは納得するかもしれないが、女性2人と3人パーティなんてまず無いと思うだろうな。疑り深い自分の事だ、騙しに来ているとか良いように使おうとしているなんてネガティブな結論に達するだろう。
「なんだよ、昔の俺って… 結構ダメな奴じゃん」
ま、まぁアレだ。あくまでもこれは考えられる最悪の現象という事だし、これだけ色々とご都合主義の世界なんだ、身体的な事だけが若返ると思っていいだろう。いいだろう? 多分。
でもまぁご都合主義に見える部分も多々あるが、なんだかんだと戦いがあったりして死人は出てるんだよな。あまり甘く考えてちゃ痛い目に遭うな、気を付けよう。
ともかくだ、若返りのフルーツを食べるにしてもこのダンジョンを攻略した後だ、まだまだ時間は有るはずだし、とりあえず目の前の事を片付ける事に集中しよう。うわの空で危険地帯を歩くなんて馬鹿のやる事だからな。
朝の支度を終わらせてコーヒーを飲みながら2人が起きてくるのを待つ。
さすがに今日の霞は早起きではないらしいな… 若いからそこはしょうがない、俺も高校生の時は朝起きるのが辛かったもんなぁ。
明日にはボス部屋に… なんて思っていたんだけど、なんと50階層は大した迷路でもないし罠も無い。ほとんどが1本道のような物で、アベマス領にあったコベルコダンジョンの最下層と同じような空気を出していた。
「うーん… まさかとは思うけど、実はここが最奥か?」
「あり得るね。多分豪快なダンジョンボスがいるんだよ」
「別にそれならそれで良いんじゃないかしら? コアさえ残っていればダンジョンは消えないんだから」
「まぁそうなんだけどな」
フロアボスじゃなくてダンジョンボスというのなら警戒度は上げて行かないとダメだろうな、なんせコベルコダンジョンのボスは腐っていたけどドラゴンだった訳だし…
「じゃあここのボスはどんな魔物なんだろうね?」
「そうね、コベルコダンジョンでは何の脈絡も無くドラゴンだった訳だし、共通点はゾンビだってだけだったわ」
「どうなんだろうな。このダンジョンは結構いろんな種類の魔物が出てきてたから、どこか共通していてとんでもない奴が出てくるって事なのか」
「まぁ一応簡易的にでも対応策を考えようよ。とりあえず手が届く魔物であれば、いつも通り霞が先頭で私が防御と補助、おじさんは遊撃ってことで良い?
そして前回のドラゴンのように手が届かないタイプだったり、触りたくないタイプだったら私の障壁で叩くかおじさんの狙撃。他に何か意見はある?」
「それで良いと思うわ。もしも魔物の数が多かったり、今までにないタイプの魔物だった場合に備えて守りだけはしっかりとしたいわね」
「そうだね、なんだかんだまともに攻撃を受けた事って少ないからアレだけど、対処できない攻撃をされたら困っちゃうしね。毒とか?」
「あー、毒とかは嫌だなぁ確かに。それじゃあ基本姿勢は防衛優先って事で、先手は霞で俺と美鈴で援護するっていつものパターンでいいな?」
「ええ、いつものパターンが一番安心安全であり、一番強いと思うわ」
「よし、んじゃ先に進むとするか」
「「了解!」」
こうして長い通路を進みだした。
コベルコダンジョンと同じく、しばらく進むと右に直角に折れて、そのすぐ先に大きな扉が現れた。
「この辺の造りって言うのはどこのダンジョンも共通なのかね」
「そうかもしれないわね、コベルコと同じ感じに見えるし」
「問題はあの扉の先に何が居るかって事だね、できれば臭いのと汚いのは止めて欲しいんだけど」
「同感ね、さすがにそれだと私は手も足も出なくなるわ」
「全くだね。まぁそうなれば遠距離からの銃撃か、効きそうなら障壁でブッ叩いてやるよ!」
「まぁアレだな、まずは確認だけしておくか。戦闘についてはさっきの作戦で良いと思うから、今更詳しく話をしなくてもいいだろう。とりあえず扉を開けてどんな奴が居るかだけ見てみようぜ」
「いやぁドキドキするね。前回の腐ったドラゴンを見てるだけに」
「さすがにそれは無いと思うわ。このダンジョンでゾンビ系は出ていなかった訳だし」
「そうかもしれないけど、あまり先入観を持たない方が良いかなって思ってね」
「なるほど、確かにそうね。それじゃ扉を開けるわよ?」
霞が前に出て扉に手をかける。
特に力を入れてるように見えないが、大きくて重そうな扉がスムーズに開かれていって中が確認できるようになる。
そろりそろりと中に入って様子を伺っていると、この部屋もコベルコと同じように無駄に広い部屋だった。もうこの中で野球ができるんじゃないかってくらい… そして扉から見て一番奥に… いる、なんかでかい奴が。
「おい、ちょっとアレ」
「アレはダメね、悪いけれど遠距離攻撃をお願いするわ」
「どうする? 遠距離と言ったって、対物ライフルとか効かなそうじゃないか?」
「焼夷弾で燃やすしか無くない? 暴れ回るようだったら私が障壁で安全確保するし」
「じゃあとりあえず… あのボスまでの距離は100メートルくらいあるけど対物ライフルでも撃ち込んで様子を見てみるか」
「そうね、それが良いわ。とてもじゃないけど接近戦はやりたくないわ」
そんな訳で倉庫への扉を出し、人数分のKSVKを取り出して2人にも持たせる。マガジンも2個ずつ渡して準備完了。
そして改めて魔物の方を見る…
「アレってさ、まさかとは思うけど『臭い息』とか吐いてきたりしないよな」
「あー、状態異常のオンパレードの奴ね。知ってる知ってる。でも私の障壁で防げると思うよ?」
「そうか、さすがは聖女だな」
視界の先にいる魔物… それは某RPGの、なんとかファンタジーに出てきたアイツによく似ているのだ。緑色で植物のように見え、巨体の真ん中には大きな口、そこからは涎なのか、何かの液体がダラダラ零れているのが見えてしまった。
年度末の忙しさに忙殺されそうな勢いの中、悪夢を見てしまったので、その内容を脚色して書いてみました。30分クオリティですが良ければどうぞ\(^o^)/
https://ncode.syosetu.com/n1749gv/




