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予約忘れてました… すいません┏oペコッ
SIDE:賢者君
「カオリって子は男パーティに頻繁に出入りしていて、結構ゆるい感じだったみたいだな。男性依存症みたいな感じなのか?」
「さぁな、個人的には尻の軽い女は遠慮したい所だが、この世界では数少ない日本人だからな… ある程度情報が集まったら探しに行くのも手だと思うぞ」
「じゃあ俺はレイコって子でいいな、男嫌いは俺が治してやるぜ。お前はカオリって子の尻軽を治してやればいい」
勇者がなんかふざけた事を言ってきたが、こんなのまともに取り合う必要は無い。俺には聖女がいるからな。そんな誰とでも寝るような女の相手なんざごめんだ。
とはいえ、情報を手に入れたからといってもすぐに動く事は出来ないのが現状だ。勇者が持って来た金はもうほとんど残っていない、旅をするにしてももう少し蓄えをしていかなければな。そして勇者を十全に使いこなすにはやはり剣は必須といえるだろう… そして剣は非常に高いのだ。
安い剣も確かに売ってはいるが、勇者の技量を考えるとそれは悪手でしかない。あっさりと壊れて終了って事になるのが目に見えているからな、それが安全な場所であればいいが、魔物との戦闘中に壊れでもしたら俺の命にも関わって来る。だから勇者に持たせる剣については妥協点を高く設定する必要があり、当然その価格も高くなってしまう。
さすがに緊急時となれば、俺も後先を考えずに魔法を使う事になるが… 余力は残しておかないと凌いだ先で詰む恐れがあるからな。
「という訳で、まずはお前の剣を買うための資金稼ぎをしないとな。すぐ壊れるような安物じゃなく、そこそこの物をと考えているが」
「ああ、それには賛成だな。剣が折れちゃどうにもならなくなるからな」
「とりあえずしばらくはその槍を使ってもらう事になるが、壊さないように頼むぞ?」
「気を付けるよ。まぁダンジョンってくらいだ、魔物の強さはこっちで選べるんだろ? 強い魔物とさえ戦わなければ壊すことは無いさ」
「それじゃあ早速今日からダンジョンに入ってみるか。俺も魔法の訓練をしたいからあまり深くは入りたくは無いが」
「それでいいぞ。ただ最悪の状況を考えて、治療する魔力だけは残しておいてくれよな」
「それはもちろんだ。俺だってそうだし、お前だってこれ以上手足を失いたくはないだろ?」
「思い出すから言うのは止めてくれ… 今だって時々疼くんだから」
まぁそうだろうな。
人間の体ってやつは、血液が全身くまなく循環するように作られている。それなのに勇者は腕を落としているからその部分だけ循環していない事になる… 日本にいれば適切な外科手術ができるんだがここではそうもいかない、多分遠くない未来に残された腕はどんどんと壊死していくんだろう。全く恐ろしい話だ。
「まぁ今更そんな事を言っても始まらない。とりあえず今を生きているんだから、何とか食い繋いでいこうぜ」
「ああ、じゃあダンジョンに行ってみるか」
こうして俺達は2度目のダンジョン攻略を始めたのであった。
SIDE:来栖大樹
「いえーい! とうとう出たよ! 赤いバナナ!」
「美鈴、少し落ち着きなさい。まずは鑑定よ」
「そうだった… どれどれ?」
【名称:バナナスカーレット。非常に栄養価が高くて非常に美味しい。5年ほど若返らせる効果がある】
「おおお! ゴールドアプルと同等だよ! いいねいいね」
「バナナスカーレットという名称に違和感を感じるけれど、内容は良いわね」
なにやら大盛り上がりである。
まぁそれも仕方がないか、真っ赤なトレントが現れて倒してみればレアドロップしたんだからな。というか、赤いのはイエローの上位種とかだったんかねぇ… まぁわからんがモチベは大いに上がってるようで何よりだ。
ちなみにイエロートレントの落とすバナナは非常に甘くて美味しかった… 赤いバナナには少し抵抗はあるが、きっとこれも美味しいんだろうな。
「というか、希少種出過ぎじゃないか?」
「そうかもしれない? でも毎日出てるわけじゃないしこんなもんじゃない?」
「そうね、ゲームみたいに何時間も根を詰めて狩りができる訳じゃないし、このくらいの頻度で出るんだったらやる気は落ちないわよね」
「とりあえずおじさん、このバナナの保管をよろしく!」
「はいよ」
道具箱を出し、他のレアドロップと一緒に梱包してそっとしまう。これで一応全種類出てるのか? まぁトレントに限り… だが。普通に出てくるトレントのドロップの上位と思われる物は出てるからな… まぁ遭遇してない可能性はあるけど。
そうして俺がバナナスカーレットを箱詰めしている間にもトレントを仕留めている霞、順番に倒そうとルールを決めているが、このように何かしらの作業中はその限りではないので嬉々として走って倒しに行くのだ。魔物に対する反応の速さは俺達の中では一番だ。
「そろそろいい時間だけど、今日はおしまいにする?」
「そうね、ちょうどレアドロップが出た事だし、良い気分で終われそうね」
「んじゃそうするか、今日もお疲れさん」
本日の探索も無事に終了。怪我が無い事はいい事だ、あったとしても聖女である美鈴がたちどころに治してしまうんだろうけど、残念ながら治癒魔法という物をいまだに受けた事が無い。
うん、今まで誰も怪我をしていないからな。もちろんそれが悪いという訳じゃないので言う事は無いんだけど、治癒魔法がどんな風に回復させているのか全く知らないというのはちょっと問題かもしれないな。
だからといってわざと怪我をするって言うのは違うと思うが… ちょっと手を切るくらいはしてみるべきかもしれないな、まぁ美鈴の魔力と魔法の凄さを見ているから、きっとすごい作用すると思うんだよな。
「ちょっとアレだな、いい加減治癒魔法の練習もしておかないとダメかもしれないな。どんな感じで治って行くのかとか」
「どうだろ、大丈夫なんじゃない? 別に他の人を治癒して回ってるわけじゃないし、多少やりすぎても身内なら隠す事も無いからね」
「そうね… 多分普通にやりすぎると思うわ」
「確かにな、ちょっと止血するだけのつもりが欠損部分まで復活させちゃったとかやりそうだ」
「でしょ? 最近私、魔力が有り余っている感じなんだよね。きっと手加減できないと思う」
「おじさんが練習したいって理由はそれでしょう? 使いこなして加減を覚えさせたいって事よね? 今まで使う事があんまり無かったからどんな感じなのか確認取れてない訳だし」
「まぁな、聖女が使う魔法なんだから効果に対して疑問に思っている訳じゃないからな、どんなもんか… 確かに好奇心があったのかもしれないな」
とりあえずマイホームに入り、今日の疲れを癒すとしようか。
誤字報告いつもありがとうございます。




