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誤字報告いつもありがとうございます。
「そんな状態で5歳も若返るんなら… 25歳くらいに見えちゃうって事じゃない? いいじゃんいいじゃん!」
「待て待て、見えると言ったからって40歳である事は間違いないんだ。5歳若返るなんてすごく魅力的な提案だけど… さすがにちょっとなぁ」
魔法のある異世界の事だ、多分本当に若返ってしまうんだろう。でも今までギルドとかで情報収集していたけどゴールドアプルなんて聞いた事が無い、つまり… 前例が無いか秘匿されているかだ。
俺自身の身をもって実験してもいいけれど、ゴールドアプルの希少価値を考えたら俺なんかに使うのはもったいないだろう。
「別に私はおじさんが食べても構わないと思っているよ。今のままだと近い将来に衰えたからってリタイヤしそうだし」
「そうね、私もおじさんのマイホームに依存する生活から離れる事は出来ないと思うから、若返って長生きしてもらいたいわ」
「なんなんだそれ。確かに衰える事はあるんだろうけど、美鈴や霞にだってこれから色々な事があるかもしれないだろ? 現地人で気に入った男が出来るとか、気に入った町があって定住したくなったとか」
「うーん… 少なくとも私にはそんな確率は低いかな。やっぱり持ってる常識が違うっていうのはハードルとしては越えられない壁レベルだと思うんだよね、愛さえあればってよく言うけど、その愛が育まれないと思う」
「私もそれには同意ね。おじさんが若返るならむしろそのゴールドアプルを食べて欲しいくらいだわ」
「おいおい…」
まぁこれに関してはしょうがないか、なんせこの世界の人間と同等の暮らしをしていないからな。マイホームのおかげで地球レベルの、もしくはそれ以上の生活が出来ちゃっているから生活レベルを落とすのは難しいと思う。多分俺もそうだしな。
「まぁともかくだ、話を戻すが鑑定については2人とも問題は無いな?」
「そうだね… と言いたいけれど、マイホーム内にある物とか機材は鑑定できないね」
「私も出来ないわ。だけどこれはおじさんのスキルによるものだからと考えるしか無いと思うわ」
「まぁアレだ、明日外に出てから確認してみれば良い。そいじゃ俺はもう寝るから、お休み」
「「お休みなさい」」
俺はもう寝るつもりだけど、2人はトレーニングルームに向かって行ったな。これが若さか! 俺もゴールドアプルを食べれば有り余る体力を消費しにトレーニングルームを活用するようになるのか?
まぁ体は動かせば動かすほど応えてくれるものだから、確かに鍛えられて良いと思う。あの2人との体力差はこれも理由の一つなんだろうな。
「でも、今の俺はただのおっさんだから寝ても問題は無い」
自室に入りベッドに潜り込むのであった。
異世界生活110日目
美鈴のトレントに対する熱が冷めたという事で、今日からは進軍がメインとなる… はずだ。
まぁ熱が冷めたというよりも、もっと深い階層に行けば上位種がいるかもしれないからな。そっちを探して狩った方が確率は上がるのではないかという判断だろう。ボスも気になるしな…
もしもボスがトレントの亜種だったり上位種であるならば、もうボスを周回した方がより一層確率が上がるのではないかと思う。
まぁ周回すると言ったって、かなり面倒なんだけどな。
ダンジョンのシステムというか特性というか、10階層毎に現れる転移陣は1階層としか繋がっていないという事だ。この先50階層のボスを倒して転移陣を使えば、転移される場所は1階層のみとなる。そして1階層の転移陣を使って40階層に移動してまた進むという作業になってしまうのだ。
「まぁボスにもリポップする時間があるだろうから、それはそれで効果的なのかもしれないが面倒な事には変わらないよな」
しかし、そうなるとダンジョンをクリアしてしまうと消滅してしまうから周回する事は出来なくなるというジレンマが発生する… やるならクリアの前だ。
まぁこの話は美鈴達が起きてきてから話し合うとするか。現状では俺1人だと決められないし、他のダンジョンに金色のトレントがいるとも限らないから判断が難しい所だ。
「まぁそんな事を考えた訳だが… 何か意見はあるか?」
「非常に悩ましい問題ね。個人的にはコアの所まで進んでから戻ってきて周回するのが良いと思うわ」
「うーん… 確かに希少種という事なら相当粘らないといけないって事だもんね。それなら確かにやる事を先にやって、転移陣の開放をしておくのは賛成かな。そうしておけば、用事が済んだら即座にコアに向かえるからね」
ふむ、思ったよりもしっかりと考えているんだな。ああ、こんな言い方は失礼か、口には出せんな。しかし方向性だけはとりあえず決まったな。進めるだけ進み、コアの発見までを目標とする。その後は飽きるまでトレントを狩って希少種狙いでって事でいいな。
「俺もその意見には賛成だな、とりあえずトレントフロアのボスでも拝みに行こうぜ」
「「了解」」
朝食を終えていざ出陣! 昨日までとは違ってトレントを血眼になって探しているわけではないのでサクサクと進んで行く。トラップを回避し、こちらに向かってくるトレントだけを狩るようにして速度重視だ。
「リンゴゲットー! あっと、これも鑑定してみようかな」
美鈴がドロップしたリンゴを手に取り睨みつける… 睨んだって内容は変わらないぞ?
「うん、内容は同じみたいだね」
「日本のリンゴみたいに色々と種類があれば面白かったのにね、残念だわ」
「確かに色んな品種があれば味わいは深くなるだろうな」
「アレだよ、もしかしたら鑑定にも熟練度みたいなものがあるかもしれないでしょ? 新しい物はどんどん鑑定していった方が良いと思うよ」
「それは確かに言えるな。マイホームの中の物は鑑定できないから… そういえば魔物に対しても鑑定って使えるんじゃないか?」
「そうかもしれんかも!」
「次から試してみるか」
「そうね、鑑定の時も思ったけれど、スキルを獲得するには様々な条件があると考えられるわ。しかもその条件を、もしかしたらすでに満たしている案件も多数あると思うのよ」
「それは確かに言えるな。鑑定だってあんなに簡単に覚えられる物でもないだろうけど、実際やってみたら全員1発で覚えたのはおかしいなって思ってたんだ」
「何がキーとなる行動かは分からないけれど、色々試すのは有りだと思うわ」
確かにその通りだな。この世界では間違いなく人間達の営みがあるが、それでいてゲーム的だと感じる要素も結構あったりする。もしかしたらそういった知識があった方が有利に働くのかもしれないな。




