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誤字報告いつもありがとうございます。

 大型のコボルドが1体に、通常コボルドと思われる個体が8体ボス部屋にいた。


「それじゃいつも通りに行くか。ボスの担当は霞、美鈴は左側の4体で俺が右側の4体」

「了解したわ、色々試すから手伝いは無用よ」

「大丈夫、霞の手に負えない相手だったら私達では太刀打ちできないから。魔法を使えば別だけどね!」

「そこ! 地味に張り合ってないでいくぞ!」

「はーい」


 こうして分散して戦闘する場合、緊急時を除いて銃火器の使用は禁止している。どうしてかというと、ダンジョンの壁や床は異常なほど硬くて、銃弾がめり込んだりしないでそのまま弾かれるからだ。床は結構平だからともかく、壁はデコボコが多すぎてどの方向に跳弾するか読めないんだよね… なので、予想外の一撃が無いようにそういう事になったのだ。


 そんな訳で、マチェットを片手にコボルド4体に向かって走っていく。

 本来であれば4足歩行であろう骨格で、無理矢理立って歩いているような格好なので体の動かし方がちょっと気持ち悪い… しかも人間の動き方と違うので、見慣れないとその動きにかく乱されてしまう気がする。まぁ気がするというだけで、戦闘できないという訳じゃないけどな。ボス階層に来るまで十分な数を戦っているので、コボルドの動きはすでに覚えているし、上位種が相手ならともかく通常版なら困る事も無いだろう。


 流れに沿って迫って来るコボルドを順に切り伏せて、4体全てを倒す。そして周囲を見渡すと…


「あ、おじさん終わった? こっちはすでに終了しているよ」

「宝箱は無いようね、次に行きましょう。その前に休憩かしら」


 もう終わっていた… 俺が一番最後だったらしい。


 とりあえず気を取り直してボス部屋を出て、31階層へと続く階段の手前で小休止をするべくマイホームへと入る。

 普通のパーティであれば、小休止と言えども見張りは必須、そう考えれば俺のマイホームの有用性は計り知れない。


 ま、どんなに精強な精鋭が揃っていても、休息無しとか食事無しだと満足に戦えないからな。ぶっちゃけ長丁場になる戦いだと補給がどれだけできるかで戦果が分かれるところだ… それを知っているから俺自身戦闘スキルではなくマイホームだった事を恥じる事も無い。


「さて、後2時間程度で定時になるけど、行ける所まで行っちゃう?」

「その方が良いと思うわ。これから先はマップが無いんだし、これまでとは進むペースが激減すると思うから」

「そうだな、それにこの辺の階層だとそれなりにうろつく冒険者が居そうだしな」

「ホントね… もううんざりだわ、他所の冒険者と関わるのは」

「どこまでも図々しいもんね、見かけたら逃げるレベルだよ」

「うん、俺もそう思う。だからなるべく急いで40階層を越えちゃいたいよな」

「そうしよう! そしてこのダンジョンを潰して帝国へ地味なダメージを与えるのだ!」

「落ち着け美鈴。ホラ、まずはお茶でも飲んで」


 お茶会議の結果進む事になったので小休止はすぐに終了し、先を急ぐ事にした。

 とりあえずこのダンジョンにはそこそこ危険なレベルのトラップが置いてあるので、これまでのようにギルドが発行しているマップを見ながら進むという楽な行動が出来なくなる。こうなると斥候とかシーフ職の重要性が身に染みるよな…



「あ、あそこの床… なんか違くない?」

「ええ、なんというか違和感がすごいわね」

「一体どんなトラップなんだろうな、気になるけど毒ガスとか出てこられたら困るからスルーしとくか」

「こうしてみるとトラップって結構わかるものなのね」

「実は私達にそういった系のスキルが生えてたりしてね」

「生えるとか言うなよ… 生き物みたいじゃないか」

「あはは! んじゃ今後も注意して進もうね」

「そうね、今まで不思議と危険な目に遭う事が無かったから危機感が薄く感じるけど、こういう時が一番危ないのよね」

「そうだな、特に命の危機って事にはなっていなかったからな」

「それはね、多分おじさんが先頭に立って慎重に進めているからだよ。私だけだと結構突っ走って危ない目に何度も遭っているんじゃないかな」

「そうね、美鈴はそういう所危なっかしいと思っているわ。逆に私だけだと危険になりそうな物は全部排除すると思うから、余計な軋轢は作っていそうね」

「何言ってんだ、俺はただのビビリで臆病なだけだし、だけどそれが悪い事じゃないって知っているだけだ」

「ひゅーひゅー、さすが年の功!」


 美鈴に冷やかされてしまったが、年の功なのは認めないとな。この2人の倍は人生経験を積んでいるんだ、ガキみたいに異世界ヒャッハーしてられない。


 まぁでも、正直言ってミスリル系の武器が出てきた時は年甲斐もなくドキドキしたけどな… 


 その後、予定通り5時まで探索して本日の業務を終了する事になった。まぁ時と場合によるけど、基本的に日本人としての感性で残業は無しと決めている。日本人の感性とは… 所謂『定時』というやつで、大体8時~17時の事だと認識している。




 異世界生活108日目


 31階層から40階層の途中までの探索は、なんと5日間もかかってしまった。

 30階層までのペースが嘘のように減速し、思うように進めなくなった事には焦りを感じたが、まぁしょうがないと腹をくくる事になったのだ。


 実際30階層まではマップがあったからね、サクサク進めて当然だった訳だし… 当然マップが無い31階層以降は必要以上に注意しなければいけないし、トラップだってそこら中に転がっているから油断できない。

 まぁトラップは注意していれば見つけられる物なので、精神的な疲弊が少ないのはせめてもの救いだった。


 そして昨日、40階層の半分以上進んだ所で時間になり、業務を終了していた。


「さて、今日は間違いなく40階層のボス部屋に到着すると思う。一応このダンジョンで先行しているパーティがクリアできていないボスなので注意だけは怠らないようにな」


 31階層からここまで出てきた魔物は… 色とりどりのトカゲだった… それも体長1メートルほどの。色によって属性が分かれていて、赤いトカゲだと火を吐き、青いトカゲだと水を吐く。

 トカゲ自体の足は遅いんだけど、ブレスというか、口から吐き出す魔法が意外と速かったんだよな。とはいえ、回避できない程じゃなかったので各自散開して対処する方針で進んできた。


「まぁ最悪は私が魔法障壁を張るから大丈夫だよ」

「どんなトカゲが出てくるか… 楽しみね」


 うん、この子達… 全く怯んでいないね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] このダンジョン入ってから、突っ込み所満載なんですが? ビリーカーンのダンジョンでのことは無くなった事になってるんですかね? 危険なトラップが~、そういうスキルが~、不思議と危険な目に…
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