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誤字報告いつもありがとうございます。

「ふん!」


 ガシャーン!


 霞の回し蹴りがスケルトンに決まり、壁に激突して砕けていった。

 そう、3階層はまたしてもスケルトンだった。なんとなく見た目の違いで言えば、骨が少しだけ太くなっているように感じる。

 そんな見た目の通り、1階層にいるスケルトンよりも力が強かったりするんだろう。まぁ美鈴と霞には関係ないようだが…


「これは交互に来るパターンなのかね」

「うーん… ギルドにある本にもこういう所を書いて欲しいよね」

「まぁそうだな、結局書いてる事って場所と名前、後は系統くらいしか書いてなかったもんな」

「後難易度も書いてたね」

「まぁとりあえず骨が出てくるんだったら、防臭装備をしなくて済むんだから良しとしよう」

「そうね、2階層のストレスはしっかりと発散していかないといけないわ。あのマスクの効果でかなり軽減されてると思うけど、それでもほんのり匂うから精神的にくるのよね」

「まぁアレだ、1階層の時と同じで交代制でな?」


 そんな感じの3階層、危機感は全然感じないフロアなので交代制にし、何体群れていても、当番の人が1人で戦うという… スケルトンの人数が多ければご褒美ってくらい元気良く狩りを進めていった。






 SIDE:アベマス辺境伯


「前方に帝国軍! 天幕が見えるので昨晩はあの場所で野営したかと思われます!」

「ほほぅ? 予想よりも進んでいなかったようだな。しかしこんな時間なのに天幕を張っているだと?」

「はい、しかも帝国兵が減っているような気がします」

「ふむ… もしかしたら昨日の内に王都に攻め入り、追い返されたのかもしれんな。もしそうなら夜明けとともに追撃部隊が出ているはずだ、我らも急襲をかけた方が良いかもしれんな。

 部隊の疲弊はどうだ?」

「はっ、進軍が緩やかだったのが幸いし、それほど疲れてはいないようです」

「よし、全部隊戦闘準備を整えさせろ! 支度ができ次第帝国兵に急襲を開始する、減っているように見えてもまだまだ我が軍を上回っているが、恐らくすぐにでも王都から出撃した部隊が来るはずだ。軍務卿とはそういう奴だからな」

「承知しました、伝達いたします」


 部下が指令を出しに走っていった。

 そして帝国兵が見える所まで進んでいき、敵軍の陣容を確認する。


「ふむ、間違いなく戦闘の後のようだな。天幕も焦げている物があるし… 魔法使いにでも焼かれたのか? だとすると冒険者ギルドが出しゃばったのかもしれんな」

「国同士の戦争にギルドが出てくるなど… この戦が終わったら抗議しなければいけませんな」

「いや、結果論だけで考えて、我らグリムズ王国の軍部がとどめを刺せればそれで良い。籠城戦で追い返すだけなら大した勲章にならんよ、ある意味これは好機だと言える」

「見た所随分と疲弊してるように見えますし、王都から軍務卿が出てきて挟撃すれば、すぐにでも蹴散らせますね!」

「ああ、だが慢心はするなよ、手負いの獣はなんとやらだ」

「もちろん承知しております」


 この場から王都までの距離を考え、軍務卿が夜明けとともに出陣したと仮定すると… この地で合流できるのは昼頃になるか。

 真っ当にぶつかり合えば、人数の差はそのまま戦力の差。しかし今の帝国兵を見る限りその差は考えなくても良さそうだ、なにせどいつもこいつも疲れ切っているように見え、満足に休む事も出来ていなかったようだ。


「ふん、これであれば半日粘るくらい容易い事だな。どうせ帝国兵は我らが現れた事により、背後からの急襲にも目を向けなければいけなくなる… どうやらこの戦、もらったな」


 戦闘準備を進めつつ、突撃のタイミングを見計らうのだった。






 SIDE:レイコ


「ふわあぁぁぁぁ。もう朝か… 面倒だけど朝食を食べたらギルドに行かないとね、さっさとランクを上げてもらわないといけないしね!」


 宿の食堂で軽食を食べ、その足でギルドへと向かう。

 その道中、なにやら町の方は騒がしく見えている… 何かあったのかな? それとなく聞いてみようかな。


 串焼きを売っている露店を見つけ、朝食後だけど串焼きを1本購入。


「なんか騒がしく見えるけど、何かあったの?」

「おう、昨晩追い払った帝国軍を追撃するために、ついさっき騎士団が出陣したんだよ」

「騎士団が… 帝国兵は結構多いって聞いてたけど大丈夫なの?」

「昨日の夜にあったという魔法攻撃で、帝国兵は甚大な被害を受けて撤退していったみたいなんだ。そんな状況で逃げていったんだ、真っ暗闇の中に進軍するだけでも疲弊するのに、追っ手を気にして眠れないだろうから追撃するなら早い方が良いのさ」

「おじさん情報通だね…」

「まぁな! それくらいできないと商売なんて出来ねえよ!」

「お、おう」


 露店商人にしてはすごい情報力だけど、確かにその通りなら逃げる方はたまったもんじゃないよね。私のオリジナル魔法なんだから、当然見た事の無い魔法だろうし、夜間でも関係なく攻撃されたら周囲の警戒で夜も眠れないというのも納得できる話だ。


 まぁいっか! 私は依頼通りの仕事をしただけだし、後の事は軍隊がどうにかするんでしょう? どうせ面子だの手柄だのって貴族にとっては重要だろうしね、勝手にやればいいと思うよ。さぁ、ギルドに行ってギルマスと話をしてこないとね!

 報酬はどのくらい出るのかな… 普通そういうことを先に聞いてから依頼を受けるものだろうけど、今回はなんかごり押しされて決められちゃったからね、安かったら文句でも言ってやろう。



 歩きながら串焼きを食べ終え、串だけ魔法で燃やして証拠隠滅。やはり日本人としてポイ捨てはいけないよね、まぁそういったゴミだらけの町で私だけがポイ捨てしなかったからって綺麗になる訳じゃないんだけど、そこは気分で。


 ギルドへと辿り着き、そのままギルマスの部屋まで通された。

 なんかお茶菓子が出てきてびっくりしたけど、食べていいんだよね? 


「では、失礼しました」


 お茶菓子を出してくれた受付の人が出ていって、ギルマスの部屋には私を含めて3人だけとなった。ギルマス以外の人は知らないけど、この場にいるって事はそれなりの立場の人だよね… 普段の言葉使いだとまずいのかな?


「まずはアレだ、ご苦労さん。想定していたものの数十倍の成果が出ていたようだ、報酬は約束通り本日をもってBランクとし、それ以外には金貨100枚を出す事にした」

「金貨100枚? それはまた太っ腹だねぇ」

「いやいや、戦果を考えればこれでは少なすぎるくらいなんだが… すまんな、これだけしか用意できなかったんだ」

「いや、別にそれで良いよ。私としては言われた通りの行動しかしてないわけだし、それで想定以上の戦果が出たって言うんなら儲けものじゃない? 暗くてどれだけ荷馬車を壊せたか見てないしね」


 ギルド証の提出を求められ、素直に提出して金貨が100枚入っている革袋を受け取った。

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― 新着の感想 ―
あー、これ焼死体見てないパターンか。 実態を知って大丈夫なんだろうか。
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