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誤字報告いつもありがとうございます。

「よし、それじゃあ王都に向かうとしますか。ギルドに報告した後は各自行動という事で、一応インカムを持ってバラけよう」

「「了解!」」


 今朝はゆっくりと朝食を取り、8時にマイホームから出て王都へと足を向けた。


 1時間かけて王都まで移動、真っ先にギルドまで足を運んだ。

 そして単独で行動しても武力的に大丈夫だと思われる霞を、ハワード伯爵の王都邸へ面会のアポを取るために先行させた。


「なんだと…? まだ魔道具が出てきたのか。これはプラム王国の王家が絡んでいるのは確定だな… 国宝級の魔道具を3個も使えるなんて、開発したプラム王国にしかできん事だ」

「そうなのか、周辺国家の事は良く分からないから何とも言えないが…」


 ギルドマスターの驚愕した顔を見ながら、そんな事を言われても知らんがなと、角が立たないように告げてみる。


「とりあえずこれで依頼は達成でいいよな? ちょいと所用があって出かけたいんだ」

「ああ、十分すぎるほどの成果だ。王家の判断を待ちつつ、ギルドでも対策を練る事にする。何かあればまた依頼させてもらうぜ」

「まぁその時に何も無ければな」


 ギルドを出てからインカムを通じて霞に連絡を取ってみる。


「あーあー、霞は聞こえてるか?」

『聞こえているわ、少し雑音がするけれど問題ないわ』

「こっちの話は終わった、そっちはどうだい?」

『執事に声をかけて話を通してもらっている最中よ、返事待ちと言った所ね』

「そうか、それなら俺達もそっちに向かってみる事にするよ。貴族が相手だから、当日に申し込んで当日に面会というのは無理だと思うが、ハワード伯爵なら空気を読んでくれそうな気もするからな」

『そうね、それじゃあおじさんたちが来る前に返事がもらえたら連絡するわ』

「それで頼むよ」


 美鈴もインカムで会話を聞いているので、特に説明する事も無く、伯爵家の方向に向かって歩き出した。


「まさか、自分の父親と同じくらいの年のおじさんと、こうして異世界の町を2人きりで歩く事になるなんて… 世の中何が起こるかわからないね!」

「そりゃぁすまんな、こんなおじさんで。俺だって同じことを考えているよ、何が悲しくて2人の女子高生と行動を共にしているんだ… とね」

「あらま、何かご不満でも?」

「ぶっちゃけ最初は不満しかなかったよ。これだけ世代が違うと考え方も違うだろうし、何かあったとしても、若い子には体力面で勝てそうにないと思っていたからな」

「いやいや、今のおじさんは体力も腕力もすごいと思うよ?」

「今なら…だろ? 鍛える前の俺だったら… ちょっと走っただけで息を切らして無様に倒れ込んでいたよ」

「霞もね、最初は真面目ちゃんかと思っていたけど、考え方も柔軟だったし強いし、すっかり頼れる前衛になったよね」

「そういう美鈴だって、聖女の癖に前に出て、蹴りやらパンチやらもうアホかと」

「いや! 褒めてないでしょそれ!」

「あっはっは、若いってすごいなって正直に思ったよ」


 伯爵邸まで歩くと大体20分ほどかかったが、到着するまでの間に霞から連絡が来ることは無かった。

 という事は、いまだに返事待ちをしてるって事だよな… もしかして伯爵は家にいないのかもしれないな、それならそうで、後からギルドに… とかでも良いと思うんだが、この世界ではそういった事をしないのかもしれんな。


 屋敷の入り口で門衛に声をかけ、応接室へと通してもらった。


「あらおじさん、意外と早かったわね」

「そうか? というか、まだ返事はもらえてなかったのね」

「ええ、お城に行っているみたいで、返事はギルド宛でもって言ったのだけど… 前回それでスルーしたでしょう? だから待っているようにって言われたわ」

「ああ、あれか…」


 心当たりはあるね… こっちに用事が無いからと言ってガン無視したんだよな。そういった前科について言われれば、こっちも対応は考えざる得ないよな。


「しかし、王城に話をつけに行ったんなら… かなり待たされそうだな。貴族の屋敷だとリラックスも出来ないし、辛い待ち時間になりそうだ」

「ま、あまりにも来ないようなら、その時にどうするか決めよう。鍛冶屋との約束は明日なんだし、そこは譲れないよね」


 そろそろ昼になる、ここで貴族飯を出してもらえるのかな? 出ないというなら、さっさと解放してほしい物だけど… どうなる事やら。



 そんなこんなで、昼食は伯爵家で出してもらう事になり、その後はダラダラと夕方まで、待たされる事となった。


「お待たせいたしました。主人は軍事会議が長引いているために帰宅する事は叶わず、お言葉だけを預かってまいりました」

「そうか、こっちの情報は伝えたんだろう?」

「はい、魔物寄せの魔道具が西の森に設置されていたと。今日持ち帰った分も含めて3個であると確かに伝えました」

「ダンジョンについてはどう言っていたんだい?」

「ダンジョンが潰されてしまうのは望ましくは無い… との事です」

「承知した、それじゃあビリーカーンダンジョンの攻略は70階層で止めておいた方が良いな。うっかり討伐してしまってから最下層だった… そんな失敗はしたくないし」

「それでお願いいたします」


 伯爵家の執事であるグロウとの話もようやく終わり、結局晩まで拘束されてしまった。


「はぁ~、やっと終わったね。こんな時間なら鍛冶屋の方に行って朝まで待った方が良いかもね」

「そうだな… 外に出ても、入るのに行列あるの分かっているんだ… それなら最初から中で待機した方が良い」

「それにしても… 装備の方もようやくね。随分と待たされた気がするわ」

「ミスリルのハンマー… 名前つけてあげなくちゃね!」

「マジすか… 例えば?」

「んー、完成品を見てからじゃないと思い浮かばないなぁ。明日以降のお楽しみだね」

「武器に名前ねぇ… その方が愛着湧いたりするんかね」

「湧くと思うわよ? さすがに手甲に名前を付けたりはしないけど」

「そういうもんかね… んじゃ俺もミスリルの剣に名前でも付けてやるかね」

「お? どんなどんな?」

「アイアンソードとかな!」

「あー、おじさんにそういったセンスは無かったんだっけ… なんかごめんね? 無理言っちゃって」

「いや、そこでマジレスすんなよ」


 薄暗くなった中、鍛冶屋のある商業区域に向かって、3人は歩き出した。

再開です、よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
【良い】 戦力あぁっぷ! 【一言】 ミスリル繊維を縫い込んだ服とかあると防御も安心しますね。 あと【77】話でも書き込みしましたが、霞の注文が腕輪になってました。今話での出来上がりは手甲が出来てます…
[一言] 誰も突っ込んでいないからあえて突っ込みます。 ミスリルの剣の名前が鉄の剣とは!これは如何に!
[一言] 100話到達おめでとうございます。これからも楽しみにしております。
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