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5 雪と雪

 ……チカチカする。目がチカチカしてお星さまが見える。それに意識が朦朧として四肢は脱力し、声を出そうにも「ああ」とか「うう」とかいう声とも取れないような音が漏れ出すだけだ。かすかな視覚以外はシャットダウンされ、インプットもアウトプットもほとんどできない。さしずめ今の私はただの考える葦といったところか。

えっと、私は、照…照…そう、照光、照光に当身をもって気絶させられたんだっけ?

確か、記憶を転送するからとか言ってたんだ。それで…


待てよ、ここは何処だ。明らかにさっきまでいた寝室とは異なる。いや、寝室どころではない、外だ。

ひんやりとした土の感触が私の半身を冷やす。

「どうなってるんだ…?」やっと感覚を取り戻した喉が呟く。


地響き。視覚に遅れてやってきた聴覚がかすかな唸りを捉えた刹那、私の五感は半強制的に再起動を掛けられた。



ここは…合戦場?又ぁ?!



不幸にも再び合戦の最中に召喚されてしまったようだ。そして、完全に覚醒した視覚が目の前の状況を脳に伝えるのが早いか、躰が宙に浮いた。衝突事故リターンズだ。

宙に弧を描き、肩から地面に不時着。痛……くない?

痛くない?ということは、夢、これは夢か!


なるほどね、私は照光に当身くらったから夢見てるのか。はいはい完全に理解した。もうとりあえずあいつが信頼に値するかとかあれこれ考えている場合じゃなさそうなので、争いが飛び火しないとこまで下がろうか。

そう思うや否や、またしても私は異様な光景を目にした。


「者ども聞け!敵は武田の忠犬、兵ぞろいの我が柴原家に相手とはなるまい!天下統一の足かせとなろう敵は散らねばならぬ。我らの力を持って蹴散らせ!」

とりあえず逃げられそうなところもなかったから近くの藪に身を隠したわけだが、だいたい100メートル位先によく通る声で友軍に奮起を促す武将が見えた。

馬上の武将は鮮血よりも赤い鎧に身を包んでいたのだが、そのフォルムからしておそらく女だった。そしてさっき「我が柴原家」と言っていた。ここからはじき出される答えは…


彼女は柴原家の女当主、柴原雪。


もしそうだとしたら、今見ているこの夢は、もしかしたら元柴原雪の記憶なのか?

そう思ってたら、その女武将が兜を外して振り向いた。



瓜二つ。私と同じ顔。



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