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4 将軍の記憶

 情報量の多さがギネスに認定されそうな勢いのすったもんだがあったお蔭で、昨夜は泥のように眠った。多分後にも先にもあんな深い眠りはないだろう。


というわけで、今日から私の武将ライフが始まるわけだ。できれば夢であって欲しかったが、慣れない高枕で寝違えて既に痛覚を味わったので朝イチで現実だと認識してしまった。


「雪様、昨夜はよく眠れましたか?お着替え、ここに置いておきますね。」


見れば、背筋をしゃんと伸ばした、芍薬、牡丹のようにきれいな女性が枕元にちょこんと正座している。


「私、我妻 はると申します。今日から、いえ、以前からではありますが、雪様の身の回りのお世話をさせていただきます。私の事は気軽に、はる、とでもお呼びください。慣れないことも多いでしょうから、何なりとお申し付けください。」

「はる、ね。わかった。今日から、改めてよろしくね。」

「はい、よろしくお願いします。」

にっこり笑った顔がぴったりだなあ、可愛い。


「それで、はる、あなたはどこまで知っているの?」


「どこまで?」


あれ、反応が、しまった。これは黙っているべきだったか。


「ああ、雪様が未来から来たという話ですか?それなら照光様から伺いました。大丈夫です、黙っていますから。」

唇にぴんと伸ばした人差し指を重ねるゼスチャー。なんだ、知っていたのか、よかった。


「一連の詳細は私とはるの他には少数の者しか知りません。このことが漏出すれば、内部のみでなく対外的にも危険ですから。」

うわ、照光いつの間に。部屋に入ってきた照光は、人がいないことを確認し、丁寧に戸を閉め、はるに人が来ないよう見張るよう指示した。彼の表情は、少々固かった。


「雪殿、くれぐれもこのことはご内密に。絶対に他の者に知られてはなりません。」

「もし、知られたら…?」


「滅亡です。」


え?今なんと?


「先日も話しました通り、柴原家は豊臣家の最前線に位置します。その勢力が主力を失ったと知れれば、他勢力からの襲撃を受けるでしょう。現在、駿河の争いは一対一の攻防によって均衡を保っていますから、我が軍が一斉に攻め込まれたならば、壊滅は避けられません。まあ、それ以前に柴原家の統率力が保てないので内部から自然に崩れるでしょうが。どちらにしても当家は確実に滅びます。」


滅びるのか…今にも逃げ出したい気分だ。


勘弁してよ、私まだ何も知らないのに、これを隠し通せっていうの?朝から怖いのよ!もう。


「とにかく、最悪の事態を避けるために、雪殿には戦況をはじめとするあらゆることを知ってもらわねばなりません。」

「いやいやいやいや無理でしょ!私、そんなに記憶力ないし、運動神経とかあんまないし、あ、走るだけならできるけど。」

「心配には及びません。今までの雪殿の記憶を転送しますから。」

転送って、何言ってんの?ここは戦国時代でしょ?私がいた世界でもなかった技術があるってのかい?


「この世界には五術なるものがあります。これも基本的なことは一緒に転送します。まあ体得にはしばらくの時間を要しますが、なに、雪殿のセンスをもってすれば一週間もすれば基本的な術は使えるようになりますよ。」

どこにそんな根拠が。


「それで、その転送ってのはいつやるの?」

懐疑心丸出しで聞く。

「ええ、できれば早いうちがいいのですが、今、具合が悪いとか、どこか痛んだりはしませんか?」

ええと、そうだな、首が痛い。寝違えてるから結構痛い。

「そうですか。ならば丁度いい、実際に五術のうちの一つをお見せしましょう。デモンストレーションです。」


そう言うと、彼はおもむろに私の首に手を当て、力を込めた。なんだか熱い。首元にカイロでも張っているような感覚だ。


「はい、終わりました。どうですか、まだ痛みはありますか?」

おや、痛みがない。それどころか肩が軽いぞ。これが術か。でもなんか整体師みたいだなぁ?


「これは五術のうちの一つ、虚術です。主に敵への精神攻撃などに用いられますが、応用すれば神経への治癒効果があります。」

これはいい、道理で昨日の戦場では皆んなありえない動きをしていたわけか。

「そうですね。五術とは読んで字の如く、大分して五種の性質を持った魔法のようなものです。忍術もこれに当たりますね。さて、痛みもなくなったことですので、転送を行いましょうか。」

え、もう?ちょちょちょちょっと待ってまだ心の準備が

「失礼」


当身、せっかく首の痛み直したのに首にすることないじゃないか、ああ、意識が遠のく。




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