ギルドへ行こう
やっとギルドに来ました。しかし、冒険者になる予定はまだありません。
春休みは暇だ・・・
朝。爆音と共に私は跳ね起きた。
『みなさーん、朝になりました!起きてくださいね!』
・・・こんなサービスがあるんだ。冒険者にとってはありがたいものなのだろう。
私は昨日買ったつなぎに着替えて食堂に向かった。女神からもらったワンピースは寝間着に使うことにした。
食堂に着くと、やはりたくさんの冒険者がいた。サラさんたちもいたので、私はそちらに行った。
「おはようございます」
「おはよう」
・・・なんかみんなピリピリしている気がする。
「早くギルドに行かないと仕事が取れないから、みんな急いでいるのよ」
・・・この人心読めるのかな。
「まあ私たちは中級者だから、あまり急がなくても仕事は取られないのよ」
「冒険者の6割は初級者だからな」
「その割に依頼は中級者向けのが一番多いんだよね」
「1日でいくつもの依頼をこなす人もいるわ」
朝ごはんを食べ終わると、早速ギルドへ行くことにした。
まあ、冒険者になる気はまだないけど、見学くらいはしておいたほうが、この世界のことも分かるし良いよね。
「今冒険者になる気がなくても、ギルドに登録しておいたほうが楽なのよ」
「え、どうしてですか?」
「どうしてって、知らないの?」
「すみません」
「まあ、ギルドに着いたら分かるわ・・・ほら、ここよ」
ギルドの建物は多くの人で賑わっていた。大通りから10分ほど離れたところにあった。
・・・それにしても立派な建物だ。一流のリゾートホテルのようである。
「最近ギルドマスターが建て直したの。前はちょっと触ったら崩れそうなくらいボロボロだったんだから」
「でもこんなに立派になるとは思わなかったな」
「建てている間はどうしていたんですか?」
「ギルドが別の小さな建物を3つ借りて、依頼を承っていたよ」
「混みすぎて大変だったんだよな」
「へえ・・・」
その時に来なくてよかった。
中に入ると、すぐに依頼の紙が目に入った。初級者用の依頼コーナーにはもうほとんど依頼は残っていなかった。
中級者の依頼はまだ結構残っていた。サラさんたちはその中の一つを選び、受付へ持っていった。
・・・本当にホテルみたい。フロントとロビーがあって、寛いでいる人もいる。
「テルちゃん、こっち来て」
サラさんに呼ばれて受付の方に行くと、堅苦しそうな女の人がいた。
「テルさんですね。初めてご利用とのことで」
「はい」
「これからギルドについて説明しますのでこちらへどうぞ」
「私たちはこれから仕事に行くから、一旦ここでお別れね」
「またな」
案内されたのは狭い部屋だった。
「では、ワープするので気をつけて下さい」
・・・へ?わーぷ?
直後、ふわっという感覚とともに一瞬目の前が暗くなった。
「着きました」
・・・同じ部屋にしか見えないけど。
でもよく見ると「五階」と書いてある。エレベーターのようなものか。・・・そういえば魔法を見たのは初めてだな。
その後別の部屋に案内され、説明が始まった。
「最初に、ギルドの初歩的な内容を説明します。
まず、ギルドというのは、魔物討伐や宝探し、人探しなどの依頼を受け、それを冒険者に売るという場所です。
ギルドは信頼できる依頼者を選び、依頼を受けているので、冒険者が依頼者から直接依頼を受けるよりも信頼性が高いです。」
「それはいいですね」
「ありがとうございます。・・・ギルドで依頼を受けるには、冒険者登録を行わなければなりません。登録をすれば、色々なサービスを受けることができます」
「サービス?」
「はい。宿の代金が割引されたり、ご飯代が安くなったりします。冒険者カードは身分証の代わりにもなるので、他の国に行くときや、仕事をするのときなどに何かと楽です。
・・・しかし、半年以上依頼を受けなかったら、登録抹消されてしまうのでご注意ください」
「へえ・・・」
「レベルは三段階あり、初級、中級、上級があります。冒険者はレベルに合った依頼を受けることになります。
レベルを上げるにはまず、ギルドが冒険者やパーティーの魔物討伐数や年数などから総合的に判断します。
そしてそれぞれに通知され、冒険者はその後ギルドに申請しなければなりません。」
「・・・以上で説明を終わります。冒険者登録するときはまた来てください」
「分かりました。ありがとうございます」
「適正検査だけしてみますか?」
「適正検査?」
「あなたがどの役職に適しているかを見る検査です。やってみませんか?」
何か面白そうだな。時間もあるし・・・
「じゃあ、やってみます」
「では、地下一階にご案内します」
・・・地下があるのか。
「ここです」
何やら暗い部屋に連れていかれた。
「この椅子に座って、両脇の石に触っていてください。
・・・始めます」
王様が座るような立派な椅子に座って待っていると、下から魔方陣が出てきて、柔らかな光に包まれた。
「・・・これであなたの適正が分かりました。明るい部屋に移動しましょう」
「はい」
「・・・あなたは、残念ながら魔法の適正が一切ありません」
「はあ・・・」
魔法使えないのか。
「しかし、思考力、身体能力は、他の人と比べものにならないほど高いですね。才能の塊です」
「・・・ありがとうございます」
「あなたには・・・そうですね、{賢者}や先頭で戦う{特攻者}が合うと思います」
「そうですか・・・」
「魔法の適正がないと、魔道具などは使えないので注意してください。魔法が付与された剣などもただの剣になってしまいます。しかし、付与されていないものでも良い武器はたくさんありますので、悲観しなくても大丈夫ですよ」
「分かりました」
「・・・ありがとうございました」
「また来てください」
ギルドの建物を出ると、もうお昼になっていた。お姉さんの説明は分かりやすかったな。来て良かった。
お腹も空いてきたし、お昼ご飯にしようかな。
テルの適正が分かりましたね。
・・・魔法の適正ないんだけど。これからどうしよう。
次の話もよろしくお願いします。