怪しいタンク森
ようやくクリタン地区編に突入!
しません。
「この森は、タンク森って呼ばれてるの」
私たちは、ミーニャちゃんの故郷であるクリタン地区へ向かうため、途中にある森の前まで来ていた。一応ここはまだテクナ地区の中らしいけど、工場の近くとは違って閑散としていた。危険だからあまり近づく人がいないのかも。
「タンク森って変わった名前だね」
「うん。この世界の植物が全部揃ってるといわれる未知なる森なんだよ!植物をためるタンクみたいだからタンク森なの」
意外と単純だった。
「確かに前入った森よりも不思議な感じがする」
「でしょ!変な植物探そう!」
「ぶー!」
いつの間にかぶーちゃんは大きくなっていた。でもその方が安心かも。
「じゃあいっせーので入るよ」
「わかった」
「・・・いっせーの!」
私たちは森の中に足を踏み入れた。
「すごーい!見て見て!」
「ぶー!」
色とりどりの植物が、見渡す限り広がっている。・・・なんというか、毒々しい。
ミーニャちゃんたちは植物たちとたわむれながら(?)進んでいた。
「毒キノコは食べない方がいいよ!」
「ぶー」
「あ、このお花美味しそう!」
「ぶー!?」
楽しそうでよかったな。
「このピンクの花、かわいい」
「テルちゃん、かわいいの好きなの?」
「うん、嫌いじゃないよ、かわいいの」
「へえ!またテルちゃんの一面知っちゃった!・・・ちなみにこのお花はピンク草っていって、甘くて美味しいけど毒があるから食べない方がいいよ!」
・・・毒あるのに食べたの?
「・・・あれ、なんだろう」
ミーニャちゃんが何かに気がついた。指さす方向を見てみると、何か、禍々しい雰囲気の大木が佇んでいた。
「行ってみよう」
「・・・え?」
ミーニャちゃんは駆け出して行ってしまった。私とぶーちゃんも慌てて追いかける。
その大木は、真っ黒な葉っぱに、真っ黒な幹・・・全てが真っ黒だった。
「なんか悪魔みたい!」
ミーニャちゃんは、はしゃぎながら木に近づいていった。
「この穴、なんだろう?」
「分からない。・・・中は何も見えないね」
私がそう言うと、ミーニャちゃんはおもむろにその穴に手を突っ込んだ。その瞬間。
「きゃー!!」
悲鳴をあげながら、ミーニャちゃんはそのまま木の中へ吸い込まれていった。
「ぶー!!」
ぶーちゃんも慌てふためきながら手(前足)を突っ込んだ。するとぶーちゃんも吸い込まれていく。
ここにいても何もできなさそうだから、私も木に吸い込まれることにした。みんなで合流できればいいな。
手を穴に突っ込むと、手が掃除機に吸い込まれたような感覚になって、身体もそのまま吸い込まれた。・・・すごい吸引力だね。
しばらく真っ暗な中、ただただ吸い込まれていく感覚だった。狭い空間でははないと思うけど、何も見えないから分からない。・・・ミーニャちゃんとぶーちゃん、大丈夫かな。
この大木の名前はこのままだと「掃除木」になりそうです。どうしよう。