クリタン地区へ
最近配信アプリをインストールしまして、とても楽しませていただいております。(何の宣伝)
ミーニャちゃんは今日もかわいい。
「─そのあと、情報誌の記事が間違いだったことが分かって、領主さんも変わったけど、元通りにはなってないの。
そもそも、この事件を起こしたのは、クリタン族をよく思ってない人たちだった。
『クリタン族』と『人間』を区別するなら、クリタン族の方が魔法の力が強いから、魔物狩りが得意なの。だから、ギルドの仕事もたくさんやってた。仕事を取られたから、悔しくてやったみたい」
・・・酷い。それしか言えない。クリタン族の人たちは何も悪くないのに。自分勝手な理由で貶めるなんて。
そういえば、私の前生きてた世界でも、同じだったな。戦争とか、いじめとか、色々あった。・・・どの世界でも、人間の本質は同じなのかもしれないね。
「・・・救いたいな」
「え?」
「この世界のみんな、救いたい」
「テルちゃんがそんなこと言うなんて珍しいね。・・・でも、ありがとう」
「うん、まずはクリタン地区に行こう」
「そうだね!テルちゃんなら、みんな歓迎してくれるよ!」
「だといいな」
そうして、長い長い一日は終わった。
翌日。目が覚めると、テントの外が何やら騒がしい。
「ミーニャちゃん、ぶーちゃん、起きて」
「・・・んんー」
ミーニャちゃんは少し伸びをして起き上がった。ぶーちゃんは起きなかった。
「どうしたの?・・・なんか騒がしいね」
「何かあったのかな」
「とりあえずテント開けてみよう」
「せーの・・・あ!」
外にはたくさんの人だかりが出来ていて、その先には大量の、何かでできた山があった。それは遠くからでも分かるくらいで、みんなこれで大騒ぎしているみたいだった。
「なんだろう?・・・あっちに行ってみよう」
ミーニャちゃんは外に飛び出して行った。私も慌てて外に出る。・・・ぶーちゃんはまだ気持ちよさそうに寝ていた。
行ってみると、その山は、大量の食糧でできた山だった。
「テクナ地区のことを心配した人たちが送ってくれたんだって!」
ミーニャちゃんは嬉しそうに山を見上げている。
「ねえ、テルちゃん」
「どうしたの?」
「わたし、酷いことした人のことはぜーったい許さないけど、でも、優しい人たちはこんなにたくさんいる」
「・・・そうだね」
「わたしね、この世界に生きてるみんな、分かりあって仲良く暮らせたらいいなって思うの。そしたら、みんな幸せじゃないかな」
ミーニャちゃんはキラキラした目で言った。
それは難しいことかもしれないけど、できないことではない気がする。・・・仲間がいれば。
「あ、ぶーちゃん、やっと起きたの?」
「ぶー」
「よーし、追いかけっこしよー!」
「ぶー!?」
「・・・すごい山ね」
「サラさん」
「私たち、これからギルド本社に戻るの。またお別れね」
「はい。・・・ミーニャちゃんから、クリタン族のこと聞きました」
「そう。・・・覚悟はできてるみたいね」
「はい。仲間なので」
「サラー!行くぞ!」
「もう時間だわ。元気でね」
「はい、こちらこそ」
サラさんが去ったあと、送られた食糧を使って朝食が振る舞われた。テクナ地区の飲食店を営むロイさんや、主婦の女の人が作ってくれた。
結構人がいたけど、山の大きさはほとんど変わらなかった。
朝食を食べ終わり、私たちは次の旅の支度をしていた。
「クリタン地区はあとどれくらいで着くの?」
「そうだなあ、2日くらいで着くと思うけど・・・ちょっと深めの森を通らなきゃいけないから気をつけなきゃ」
「分かった」
ミーニャちゃんの家族って、どんな人なんだろう。楽しみだな。
よし、ようやくクリタン地区に行ける!(フラグ)
次話もよろしくお願いします。