中央工場にて【3】
始めに、この小説の他に連載してたのがあったのですが、ちょっと連載を続けるのが難しくなったので削除しました。また機会があれば、よろしくお願いします。
中央工場の話は最終回です。果たしてみんな無事でしょうか??
「あっちの方から鳴ったね」
「チカさんたちが危ないかも!早く行かなきゃ」
「ミーニャちゃん、焦らないで」
まだ生きているスライムが潜んでいるかもしれない。慎重に行かないと。
「そうだね。・・・それにしても、スライムの死体気持ち悪いー」
ミーニャちゃんはすぐに落ち着きを取り戻した。
「スライムって死んだら蒸発して消えるんだけど、それには1時間くらいかかるんだよね」
「そうなんだ」
ということは、帰る時には消えてるかな?でも意外とすぐに終わるかもしれないよね。
しばらく歩くと、視界が開けた。明るい。
大きな部屋に着いたみたいで、そこには魔法石が散らばっている。天井が壊されていて、その隙間から空が見えた。・・・もう夕方になっていて夕焼けが少しだけ見える。
「きれいだね!」
「ぶー!」
ミーニャちゃんはぶーちゃんと空を見上げて話していた。そしてそれよりも。
「・・・音が鳴ったのはあれ、だよね?」
ミーニャちゃんが指さす方向を見ると、それは部屋のほぼ真ん中に空いた大きな落とし穴のようなものだった。何かが降ってきたようだ。
「てことは、みんな地上にいるんじゃ!」
私たちは上を見上げる。天井は壊されているけれど、外の様子は分からない。
「上るしかないかな」
ミーニャちゃんがそう言ったその時。
穴の中から何か音がした。ずる、ずる、という音。
私たちは身構える。
「危ない!」
この声は・・・。
「サラさん!」
「私たちのこと、助けに来てくれたのね」
「はい」
「ありがとう。でももう大丈夫なはず。見て」
サラさんは大きな穴に近づいていく。私たちもそれについて行く。
穴の中には、無数のスライムたちがいた。
「今私が閉じ込めたから出てはこないわ。これで任務完了ね」
「え!てことは」
「そう。暴走したのはスライムだったの」
しばらくすると、他の人たちが戻ってきた。もちろんチカさんもいた。みんなボロボロだ。レオさんに至っては服を買い替えなければいけなさそう。
男の人たち3人組は、疲れ切った様子で歩いていた。
「お疲れ様でした。本当にありがとうございました」
チカさんは深々と頭を下げた。
「色々ヒヤッとしたけど、楽しかったわ」
「ああ、こちらこそありがとうだな」
・・・一体何があったのかな。サラさんがヒヤッとするなんて。
「それにしても、閉じ込めてあったスライムを暴走させたのは一体誰なの?とんだ迷惑ね」
「まあまあ」
怒りだしたサラさんをランさんがなだめる。
「何はともあれ、仕事は片付いたんだしさ。帰ったら酒奢るよ。みんなで飲み明かそうぜ」
「本当に!?」
「・・・情緒不安定ですね」
「あの3人、とっても仲良しなんだね!」
ミーニャちゃんは微笑ましそうに見ていた。
ちなみに、あの男の人3人組はどんな人たちなんだろう。今は仲が良さそうに話してるけど。確か名前は、ソラさん、シドさん、レミさんだったね。
「それじゃあ、帰りますか」
チカさんが言ったその時。
『スライムを解放したのは僕だ』
どこからか声がした。その場にいた全員が身構える。
『魔物を研究に使うなど、魔物に対する侮辱行為だ。二度とこんなことをするな。このスライムたちは僕が連れて帰って面倒を見る。次にこのようなことがあったら、いつでも反撃の準備は出来ている』
声の主はその後姿を現さなかった。そして大きな穴の中に閉じ込めてあったはずのスライムたちは、忽然と姿を消していた。
あの声の主はなに?スライムたちどこいっちゃったの?え?みんな教えてー!!!(まだ全然考えてない)
てことで(?)次話もよろしくお願いします。