ワドル族との出会い
やったー、GWですね!みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
怪しげな集落が出てきました。大丈夫かな?
歌の聞こえる方には、小さな教会のような建物があった。
扉が少し開いていたので、覗いてみると、白い服を着た小さな女の子を中心に、大人たちが正座で円になって座っていた。
歌を歌っていたのは、中心にいる女の子だった。
ワイルドな民族というと、もっと裸に近い格好をしていると思ったけど、きれいな服を着て、どちらかというとおしとやかな感じだった。
しばらく扉の陰に潜んで見ていると、儀式は終わったようで、解散し始めた。
女の子は私たちの方を見る。・・・バレちゃった。
「あなたたちは誰ですか?」
不思議そうな顔で訊かれた。・・・見てたらダメだったのかな。
「えっと、わたしたちは旅人でして、ここを通っていたらあなたの歌う声が聞こえてきて、見に来てしまいました」
ミーニャちゃんが答えてくれた。
「そうでしたか。ごめんなさい、ここらへんは最近誰も来ないので、驚いてしまいまして・・・」
魔物が多くなっているから、仕方ないよね。
「ここで何をしていたんですか?歌を歌っていましたよね」
「はい。今日は私たちが信じる神、ワード様の生誕祭なんですよ。私はこの集落で一番若いので、歌を歌って神様を呼ぶ役をしています」
若いって・・・まだ十歳にもなっていないように見える。
「もうすぐ子どもが三歳になる家があるので、私がやるのも今年で最後です。もう五年やったから十分ですね」
どうやらこの役割は三歳以上で、かつこの集落で最年少の子どもがするらしい。
「私の役割は、これからが本番なんですけど・・・やっぱり怖いな」
「・・・これから?」
「今日の夜、生誕祭最後の儀式を行うんです。そこで、私の魔力を死ぬ寸前まで神様に捧げ、神様にお帰り頂いて、生誕祭は終わるのです」
「そうなんですか」
この世界では、人は皆多かれ少なかれ魔力を持っており、余程の生命力がない限り一定以上の魔力が失われると生きていけないらしい。私はまあ、あはは。
「こればっかりはいくらやっても慣れません・・・」
女の子は俯いてしまった。
「ねえ、名前何て言うの?」
ミーニャちゃんが尋ねた。
「私は、コノっていいます。・・・あなたたちは?」
「わたしはミーニャ。こっちは旅を一緒にしてるテルだよ。で、この子が仲間のぶーちゃん」
「よろしくね」
「ぶー!」
軽く自己紹介すると、女の子――コノの表情は、少し明るくなった。
「そうだ!今日はお祝いの日なので、豪華な料理がでます。あなたたちも来ませんか?」
「本当?」
「はい。・・・私の両親も紹介しますね」
「ありがとう!」
今思ったけど、この子精神年齢高すぎだね。
コノは、自分の住む家に案内してくれた。
「私の家はここです!」
「おお!」
家の中では、パーティーをやっているようだ。
「お帰りなさい」
中から女の人が出てきた。多分コノのお母さんだ。
「コノ、この人たちは?」
「旅人さんだって。・・・あ、こちらは母のミハです」
「こんにちは。今日はお祝いの日だから、みんな集まっているわ。ゆっくりしていって下さいな」
「ありがとうございます」
ミハさんは、コノに似ていて美人だった。
中に入ると、そこでは、大人はお酒を飲んで話し、子どもは鬼ごっこのようなことをしていた。料理も出ている。
「みんな注目!今日は、嬉しいことに旅人さんが訪ねてきてくれました!」
ミハさんが大声で言うと、歓声が上がった。
「よかったら泊まっていきな。わしの家、広い割に人がいないからねえ」
そう言ってくれたのは、おばあさんだった。
「いいんですか?」
「ああ、娘も自立してわしは独りなんじゃ。まあ、村のみんながいるから寂しくはないんじゃがの」
ということでありがたく泊まらせてもらうことにした。
ぶーちゃんはもうすでに子どもたちからの人気者になっていた。
ミーニャちゃん、嫉妬しないでね。
本文中に出てきませんでしたが、私のなかでコノちゃんは9歳という設定です。
え、ミハさん?・・・怒られるから勘弁!
次話もよろしくお願いします。