仕事を終わらせよう
変な魔物が出てきたようです。
・・・この世界って変な魔物しかいない気がする。
ウルトラタイガーを討伐しにオキシ地区へ来た私たちの前に現れたのは、でかいブタだった。・・・メガブタというらしい。
「な、なんでこんなところにメガブタが・・・?」
意味不明な状況なんですけど。森にメガブタ。
「どんな魔物なの?」
「怒ると、とにかく突進してくるのよ」
ぶー!!という雄叫び(?)と共にメガブタは突進してきた。
・・・動きは単調だな。
「大丈夫、これなら倒せる」
「本当?」
「うん」
メガブタから身を交わしながら、作戦を説明する。
「分かった」
「よし、やるよ」
「うん!」
まずミーニャちゃんが得意の格闘でメガブタの鼻にアタックする。
「うにゃーーーー!」
「ぶーーーー!」
メガブタが一瞬怯んだところを見逃さず、ミーニャちゃんは頭に渾身の一撃を食らわせた。
すると、メガブタはすぐに気絶した。・・・はや!
本当はここで殺すつもりだったが、顔がかわいいのでそのまま去ることにした。
「いつもは温厚な性格なんだけどね」
ミーニャちゃんはそう呟いた。
・・・じゃあなんでこんなに凶暴だったのかな。
その後しばらく歩くと、ミーニャちゃんが反応した。
「魔物の気配がする」
「どこから?」
「あっち」
ミーニャちゃんから言われた方向を見ながら、身構えていると、
そこには・・・
「またメガブタ!?」
「ぶー!」
またか。でもさっきと雰囲気が違う。
「今は怒ってないみたい。さっきはごめんなさいって。殺さないでくれてありがとうって言ってる」
・・・なんで言葉通じてるんだろう。
「なんで怒ってたの?」
「・・・なんか、大きなトラが、追いかけてきたんだって。怒ったら周りが見えなくなるみたい」
それ絶対ウルトラタイガーだ。
「私を仲間に入れて欲しいって言ってる」
「・・・本当?」
「うん」
「ぶー」
「じゃあ、そのトラにあった場所に連れてってくれない?」
「いいよ、私の背中に乗ってだって」
「ありがとう」
「ぶー!」
思わぬ仲間が増え、私たちはまた、ウルトラタイガーを探すことになった。
メガブタの背中は、意外と座りごこちがよかった。しかも移動が速い。・・・てか速すぎ。・・・ぎゃー!
やがて、メガブタの走る速さが遅くなった。
「ここらへんなの?」
「そうみたい」
「気配は?」
「待って・・・」
しばらくミーニャは固まっていた。
「あ、あっちのほうにいるかも」
「よし、行こう」
「うん」
そちらに行ってみると、ウルトラタイガーが見つかった。
・・・やっと仕事ができるな。
「じゃあ突撃する?」
「待って。作戦は・・・」
「分かった」
私たちは、静かに忍び寄った。しかし・・・
ゴルルルル
やっぱり耳がいいようで、気づかれてしまった。
「ミーニャちゃん、準備はいい?」
「うん。メガブタちゃんもいいって」
「じゃあいくよ」
まず私がウルトラタイガーに向かって走る。そして素早くしっぽをつかんだ。
ウルトラタイガーは嫌がって暴れだした。よし。作戦通り。
そこにミーニャちゃんがお腹に一発食らわせた。
動かなくなったウルトラタイガーに、私が剣でとどめを刺した。
・・・討伐完了!
ギルドに戻ろうと思ったら、何故かメガブタが付いてきた。
「ぶーちゃんが、仲間だから付いていくって言ってる」
「・・・本当?ていうかぶーちゃん?」
「ぶー!」
そう言った瞬間、メガブタ・・・ぶーちゃんは小さくなった。手のひらサイズになった。
「ねえ、連れてってもいいよね?」
「分かったよ」
「やったね!」
「ぶー!」
ギルドに戻り、私たちの仕事は完了した。ぶーちゃんはミーニャちゃんのポケットの中に入っている。
「ねえテルちゃん?」
「・・・なに?」
「これからわたし、テルちゃんについていってもいい?」
「・・・え?」
「わたし、テルちゃんと一緒に旅したい!」
「冒険者は?」
「もういいの!わたし、テルちゃんと一緒がいいの!どうせパーティーなんて見つからないだろうし。・・・ダメ?」
そんな目で見られたら・・・しかも仲間がいた方がいいしね。
「いいよ。でも多分、旅は大変だよ?」
「大丈夫!もうわたし、ひとりだちした大人だから!」
そうだったんだ。てっきり子どもかと・・・
「じゃあ、明日ここで待ち合わせして、また出かけよう」
「うん!また明日ね」
その後私は、宿に戻り、明日に向けての準備をした。
・・・仲間ができたことだし、明日はどこに行こうかな?
新しい仲間ができましたね。ぶーちゃん。
この三人(?)で頑張っていきまーす!