第二の戦い
先に言っておきますが、作者もテルも厨二病ではありません。
悪魔はかわいい男の子です。
「あれれ、おかしいな。どうして睨んでくるの?僕はこんなに楽しいのにあはははは」
・・・狂ってる。あ、悪魔だからか。
私たちは、ゴブリンと戦うはずが、どういうわけかデーモンと戦う羽目になっていたのである。
「僕はデーモンのでんすけ。まだ子どもだから、優しくしてね。
・・・ゴブリンを使役して遊んでたら、子どもが来るもんだから、ゴブリンにおもちゃとしてあげたんだよね。今度は君たちにおもちゃになってもらうぞあはははは」
そう言ってデーモンは、ランさんを介抱しているサラさんに向かって斧を振り下ろした。
「させるか!」
レオさんがすかさず斧に飛びかかって止めた。
・・・でも、もうそろそろきつそうだ。斧はやっぱり重いらしい。
私は、サラさんとランさんをとりあえず後ろの方に避難させた。
・・・私も戦わなきゃ。
そう思った瞬間、なんだか不思議な力が湧いてきた。負ける気がしなくなった。
「デーモンは魔法も使えるから気をつけて。あと、デーモンに利くのは善良系魔法ね・・・私も後から参戦するわ」
サラさんが言った。
「おーい、僕ともっと遊ぼうよ。ほら」
・・・うるさいな。
私は仮面を取って放り投げた。
「いいよ。死んでもいいならね」
剣を抜いて、走って一気に間合いを詰める。
すると、デーモンは慌てて魔法を放った。
「そんなの利かない」
「ちえ、魔法適正ないのか」
「・・・どうかな?」
私はまた、仮面を拾い上げて付ける。
すると、持っていた剣が光り始めた。
・・・反撃タイムだ。
レオさんと顔を見合わせ、走る。
デーモンは一瞬顔をしかめた後、また笑顔になった。
「二人で遊んでくれるんだね。うれしいよ」
そう言うと、魔法を・・・レオさんに放った。
・・・え?
「・・・う・・・あ」
「レオさん!」
「この魔法、いつもドラゴンに放って、一瞬で倒しちゃうんだよねえ。だから人に放ったらどうなるかなあって試してみたんだ」
「・・・てめ・・・え」
「へえ、まだ生きてるんだ。すごい。さすが中級者」
・・・そこまで見抜かれてた?
そこへサラさんが来た。
「私、今参戦するわ。レオはあっちにいて」
「だ・・・が」
「大丈夫。こっちには私とテルちゃんがいるから」
「・・・たの・・・んだ」
「あの、レオさんは・・・?」
「あんな魔法で死んだりしないから大丈夫。あの人何回も魔物の魔法受けてきたのよ」
「へ、へえ」
すごいと言うべきか、変な人と言うべきか・・・
「じゃあ、君たちがおもちゃになってくれるんだね」
「なるわけないじゃない」
「えー、絶対なってもらうからね」
デーモンは斧を振り回す。
あっぶな。
サラさんは、魔法の杖を振り、呪文を唱える。
「これでもくらいなさい。・・・サンシャイン!」
まばゆい光に包まれた。
「・・・こんなんじゃ利かないね。次は僕の番だ。」
そう言った瞬間、サラさんが悲鳴を上げた。
見ると、杖が奪われていた・・・右手ごと。
「これで終わりだね。君は魔法を使えないし、他も再起不能。
思ったほど強くなかったな」
「・・・なにすんだよ」
「・・・は?」
「私の仲間に・・・なにすんだよ・・・」
体中から憎悪が湧き上がってきた。もう、止められない。
その憎たらしい顔も身体も、全部消してやる。
そう思った瞬間、大きな力が私の身体を支配した。
・・・全く。自分で自分が怖くなるよ。
そして、私の頭の中は、真っ黒く染まった。
気づいたら、何もなくなっていた。・・・あれ、私魔法を・・・?
サラさんも呆然としている。
・・・そうだ、みんなを助けないと。
サラさんの右腕に手をかざすと、光が出て・・・右手が生えてきた。
ランさんの肩に手をかざすと、傷がなくなった。
レオさんのお腹に手をかざすと、魔法は解けた。
「あなた・・・何者なの?」
・・・私は・・・
「なにを言っているんですか?私は、ただの旅人です」
全力でとぼけることにした。
まあ、どうせ・・・
「嘘に決まってるわよ。ちゃんと話して!」
「そうだぞ。・・・どうやったらあんなに強くなれるんだ?」
私は三人に全てを話した。・・・まあ、女神のことは話さなかったけど。
三人は驚きながらも理解してくれた。やっぱり、信頼できるひとたちだ。
その後子どもたちは、無事に家族のところに帰り、一件落着した。
子どもたちは、洞窟を探検していたところでゴブリンに捕まり、鏡に引きずり込まれたそうだ。
洞窟は危ないよ、と大人たちから言われていたようだが、好奇心が勝ってしまったのだろう。
「今日はありがとう、ふしぎさん」
「今はテルですよお」
サラさんがいじってくるけど、打ち明けてよかったのかも知れない。
どうして魔法が使えるかは良く分からなかったけど、これからの旅も頑張ろう。
悪魔との戦い、どうでしたか?
やっとR15要素が出てきましたね(?)。
・・・でんすけって・・・
これからもかっこいいテルをよろしくお願いします。