ゴブリン退治・・・?
カレラ地区です。おいしい食べ物がたくさんあるところです。・・・多分。
地味に本日三話目です。
一少女は唄う。神への歌を。
少年は叫ぶ。助けてくれ、と。
それでもヤツらは、彼らを苦しめる。醜く嗤いながら。
次は誰が連れて来られるのだろう。
とある洞窟の中で子どもたちは、恐怖で震えていた。
一助けは、いつ来るのだろう。それだけを思って。
カレラ地区に着くと、こちらに走って来る人達がいた。どうしたんだろう。
「冒険者さんですよね!お待ちしていました」
「どうか私たちを助けて下さい」
「もう大丈夫です。俺たちがゴブリンどもを蹴散らしてやりますから」
「ありがとうございます。私の子どもが連れて行かれて、夜も眠れません・・・」
「大丈夫です。きっと無事ですよ」
サラさんたちは、住民たちを落ち着かせて、早速洞窟に向かった。
「じゃ、ここでお別れね」
「参加していいですか?」
「・・・え?」
「私にも参加させて下さい」
気づいたら言っていた。
「危険だぞ」
「そうよ、ここは私たちに任せて」
「でも、見てしまったからには、やらなきゃいけないと思うんです。・・・できる範囲ですが」
迷惑にはなりたくないけど・・・
「分かったわ。でも、本当にできる範囲でやって」
「危険になったら逃げろよ」
みんな真剣だ。
「はい、ありがとうございます」
こうして、私たち四人が例の洞窟へ足を踏み入れた。
ゴブリンは夜行性なので、昼のうちに行くのが鉄板らしい。
洞窟は薄暗く、ホラー映画に出てきそうなところだった。
・・・怖くなんてないよ。
途中で、洞窟の道が二つに別れていた。サラさんはじっと耳を澄ませる。
「・・・右の方から音が聞こえるわ」
「よっしゃ、行くか」
「うん」
私は仮面を付ける。これでもう大丈夫だ。
「その仮面いいわね。似合ってる」
サラさんはそう言ってくれた。
「こっちだ。光が見える」
「用心して」
行ってみると、そこには誰もいなかった。ただ鏡が置いてあるだけだ。
・・・鏡?
「これ・・・」
「何か知ってるのか?」
「ええ。これは転移の鏡ね」
「転移の鏡?」
「そう。でもなんでここにあるのかしら?」
「・・・もしかして、ここにゴブリンが?」
「テルちゃん・・・すごい!きっとそうだわ」
「天才だな」
何か誉められた。
「・・・使い方は、まずここに手をかざして、《いきたい》と唱えるだけ。転移する場所は所有者にしか決められない」
「そうか。その所有者が・・・」
「ゴブリンよ。さっさと退治してこんなもの壊してしまいましょ」
「そうだな」
「じゃあ、行くわよ」
「ちょっと待って」
「・・・何?」
「戻る方法は?」
ランさんが尋ねた。
「転移した側にも同じ鏡があるから、同じように手をかざして、《かえりたい》と唱えるだけ。簡単よ」
「分かった」
「・・・行きましょう・・・《いきたい》」
サラさんがそう唱えた瞬間、辺りが白い光に包まれた。
転移したのは、また洞窟だった。
・・・笑い声が聞こえる。
「あっちだ」
「行こう」
息を潜めてそちらに行くと・・・やはりゴブリンだった。
ランさんが弓でゴブリンの一人を射抜き、戦いは始まった。
ゴブリンたちはこちらに気づいて向かって来る。
レオさんが剣を抜き、向かって来るゴブリンを次々と倒していった。・・・さすがだ。
私も剣を抜き、ゴブリンの首を切る。
・・・血が飛び散って気持ち悪いな。でもしょうがないね。
「助けて・・・」
声が聞こえる。
よく見ると、そこには子どもたちがいた。何故か血で染まっている。
「全部倒してあげるから、少しそこで待ってて」
「はい・・・」
私たち四人はそうして、洞窟の奥まで進んでいった。
「さて、ゴブリンロードは・・・」
レオさんがそう言った瞬間、サラさんの悲鳴が聞こえた。
見ると、ランさんがうずくまっている。
・・・肩の辺りがぱっくりと切られていた。
「ラン!」
「嘘でしょ・・・?」
奥を見ると、そこには・・・
「デーモン!?」
悪魔がいた。
「あはは、こんな弱い人がこんなところに来るなんて、間抜けだね」
「・・・」
サラさんが睨む。
レオさんが剣を構える。
こうして、第二の戦いが始まった。
今回はシリアスな展開で終わりましたね。
悪魔出てきちゃったぜ。
テルちゃん頑張れ!