バーグ地区にて
バーグ地区の名前の由来はハンバーグです。
・・・どうでもいいね。
バーグ地区に着くと、色々な人が出迎えてくれた。
・・・よかった、拒絶されたらどうしようかと。
「はじめまして。ギルドから来ました、ミキです」
「こんにちは。今日はどういったご用事で?」
おじいさんが前に出て尋ねた。
「まず、これを」
ミキさんは種や苗が入った箱を取り出して、おじいさんに渡した。
「ありがとうございます。ギルドさんにはいつもお世話になっております」
「いえいえ」
「・・・そちらの方は?」
「ああ、そうでした。あなたに話したいことがあるので、地区長宅に案内して頂けませんかね?」
やっぱり言われると思った。
・・・このおじいさんが地区長なのか。
地区長宅はレンガのようなものでできており、立派だった。多分そこは、市庁のようなところだ。
「話とは何でしょう?」
「・・・実は今日、子どもたちのために彼女に来ていただきました」
ミキさんは私に目を向ける。
「子どもたち?」
「はい。魔物の襲撃で、子どもたちが大変怖がっていると聞きます。そこで、子どもたちに少しでも元気になってほしいと、ギルドマスターがお願いして来ていただいたのです」
「そうでしたか。それはとてもありがたいですね。
私たちにとって子どもは宝なので、早く笑顔を見せて欲しいと願っていたのですよ」
「きっとみんな笑顔になれます」
「・・・ちなみにどんなことをされるんですか?」
・・・聞かれると思った。
私はミキさんに耳打ちする。
「それはお楽しみです。あなたにも面白さを生で感じて欲しいようです。・・・訳あって正体も隠しているようです」
「そうでしたか。では私も期待して待っていることにしましょう。よろしくお願いしますね」
私は大きく頷いた。
「では、明日学校で行いたいと思いますので、地区中に伝えて頂けると嬉しいです」
「分かりました。明日の放課後でよいですかな?」
「はい」
地区長さんは宿を用意してくれた。
「あまり建物に被害はなかったんですね」
「いいえ、建物も焼けました」
「そうなんですか?」
「はい。しかし、とりあえず安い費用で建物を建て、何とか住む場所を確保したようです」
「作りは大丈夫なんですかね」
「・・・微妙なところです。今のところ大丈夫だと思いますけどね」
「・・・そうですか」
「ちなみに、どうしてあなたは正体を隠しているんですか?」
「・・・恥ずかしいからです」
「・・・え?」
「何ていうか、仮面を付けている私といつもの私は違うんですよ」
「・・・そうですか」
前の世界でも、学校などでは道化師であることを隠していた。
それは多分、恥ずかしいからだ。
次の日、私たちは地区の学校に向かった。
注目されないよう、ミキさんが魔法で私を透明人間にしてくれた。ありがたい・・・
学校に着くと、子どもはみんな授業を受けていた。私たちは先に、校長先生に挨拶しに行った。
校長先生は、優しそうな女の人だった。
「今日はよろしくお願いしますね」
「はい」
マキさんが答え、私はこくりと頷く。
しばらくすると、終業時間が来た。そろそろ出番だ。
私は大きな教室の前に行った。
子どもたちの声が聞こえる。そして、大人の声も聞こえてくる。・・・地区のみんなが来てくれたんだ。嬉しいな。
「今日は、この学校に不思議なお客さんが来てくれました。それではどうぞ!」
校長先生の紹介で教室の中に入った。私は道化師モードに入る。みんなに手を振ってパフォーマンスを始めた。
「今日はありがとうございました」
パフォーマンスは大成功だった。みんな盛り上がってくれ、笑顔になってくれた。
・・・来た甲斐があったなあ。
パフォーマンスの後、子どもたちは私のところへ来た。
「わたしはシュリです!わたし、ふしぎさんのファンになります!」
・・・ふしぎさんか。
「ぼくも!・・・ぼくはロイです!」
「わたしも!」「ぼくも!」
私は、子どもたちからの人気者になったようだ。これからふしぎさんって名乗ろうかな。
次の日、私たちは王都へと旅立った。
・・・色々あったけど、楽しかったな。
帰り道は、魔物には出会ったものの、二人で協力して倒すことができた。
一そしてやっと王都へと帰還したのであった。
パフォーマンスのところと帰り道のところはカットしてしまいました。(めんどくさいからじゃないよ!)
これから増やすかも。
テルのあだ名(?)はふしぎさんになりました。よろしくお願いします!