キメラさん、喧嘩をあっさり止めちゃうみたいですよ。
温泉街といっても宿泊客は冒険者が主なので、専門店が集まる通りがある。
通称”ならず者通り”。武器屋や防具屋がある。
喧嘩はあそこか。
「お前が先に手をだしてきたんだろ!」
「さてな?お前が小さすぎて当たっちまったかも。なぁ」
「そうだぜ、団長。」「切り味の悪い斧しかないクズ鉄屋がよ。」
宿泊中の魔族側の冒険者3人と、やっぱティアか。
小さいながらもその声の大きさは負けてない鬼っ娘がいる。
「いい加減にしろ!店を馬鹿にしたり、首掴んで投げたりしやがって。」
「実際、使えないからいってんだろ?こんなのヒューマンすら切り殺せねぇよ。」
あのリザードマン怖すぎ。陽キャかよ。
「ガララララ!魔王軍でも有名な十戒のこの俺様、ジェガン様をしらッ!?」
「うるせよ!謝れ!名前なんて知るかバカ!」
飛び膝蹴りって。
「い、いてぇ......。」
あ、血が出てます。怖いですわ。女の子ですもの。
「父さんが遺したこの剣を踏んだことも謝れ!!」
「嫌だね。その光る角は剛鬼族か?一角だから鬼人族か。けっ、混ざり血が。」
「あたしを馬鹿にするのはいい。母さんに謝れ。」
「もういいの、ティア。ごめんなさい。壊したお店のお代は結構ですから。」
「お代だぁ??殴ってきやがって。この店丸ごとぶっ壊してやる。」
2メートルを超える大きな戦斧で近くの椅子を吹き飛ばす。
次に母娘を2人まとめて切り飛ばそうと斧を振り下ろす。
リマインド ミノタウロス
「危ないですよ。」
ミノタウロスの怪力を呼び起こす。
指の間で止めてみた。ミス。ちょっと刃が食い込んでる。
キメラの俺は取り込んだ生物の力を自由に使える。
「だ、誰だてめぇ。」
「用心棒。」
「離しやがれ!魔王軍幹部である十戒のこの俺を.....。いや待て、お前。どこかで顔見たことあるな。」
ん?
まさか俺の【模造】を見破ったか?だとしたら殺すしかない。
「お前、まさか勇者か!?」
そっちかい。
「逃げましょう兄貴。」「やばいっす!」
「バカ野郎!俺らはあの七つの大罪の”暴食”様の部下の”7星剣”の部下の”九賢将”様の部下の”十二天将”の六合様の懐刀の十戒だぞ!」
誰だよ。インフレしすぎだろ。
過度な細分化は組織の質を下げるって嫁さん言ってた。
「むしろ討ち取るのが当然くらいよ。」
「さすが兄貴!」「間違いないね。」
うーん。
「おい、ヒューマン!てめぇのレベルは?ちなみに俺様はレベル140。」
低すぎる。でも一応俺、ヒューマンに化けてるからなぁ
『貴方の正体がもし一人にでもバレた場合、お金払って立ち去ってもらいます。』
ミルフィーには脅されてるから本当のレベルはいえない。
5分の1にすると
「Lv.200。あんたの負け。早く帰りなさい。」
「嘘ついてんじゃねぇぞ!」
「おいおい、いきなり女の子に切りかかるな。」
リマインド ペガサス(翼無し)
俺は神足で駆け抜ける。雷を運ぶ速度の化け物を呼び起こす。
雑魚だな。すれ違いざまに子分の腹を小突く。
子分の一人は視界から吹っ飛んでいった。
「よくもッ!」
「あくびが出ちゃう。」
ボールは友達。友達はボール。
リマインド キマイラ
なんちゃって。普通の蹴り。
かっこいい(笑)爪のついたグローブを顎ごと蹴りぬく。
「まず友達じゃなかった。ごめん。」
飛んだから聞こえてないだろうけど。今度会ったら友達な。
ズッ友だょ><
「なんなんだよてめぇ!」
あれ、ほんとにLv.140?その割には斧の軌道が甘い。
「レベル、盛ってるでしょ。」
「は、は?は?そ。そんなことないし!20も盛ってってないし!」
紫モヒカンツンデレヒロインはいらん
力の差をわからせてあげよ
リマインド ファブニール
赤い魔法陣が奴の周りに出現し始める。
「【ファイアボール】かよ。そんなD級魔法の1つや2つににやられなんか……。」
本当にそうかな?
「5つ。10つ。いや、20個。いやいや5、50個!?どんどん増えていきやがる!」
お馬鹿さん。
とうに500は超えてるわ。
「戦争も経験してない若造が。調子にのんなよ♡」
こういうのを老害って言うんだと思います。
だから解雇されたのか。
「特A級魔法【ファイアボール・ダンス】」
奴を覆い尽くす魔法陣全てから火球が飛び出して
ドッッカーン!!!!!!!!
◆
「【クリアエアー】」
黒煙を吹き飛ばす。
「シェフの気まぐれ風黒蜥蜴ちゃん完成。バターつけるべきだったかな?」
周囲からゲホゲホと咳き込む声が聞こえる。観客気にしてなかった。
誰にも当たらなかったしいいか。
ん?これは。
「あ、兄貴。」
ようやく意識を取り戻した部下のひとり。
拾い上げた斧を取り出す。
「お兄さん達の言う切れ味の悪い斧だから、上手くできないだろうけど。念入りに刻んであげる。」
「お、お前ホントにヒューマンかよ!?いかれてる...。」
「違うでしょ?謝んなきゃ。ガキでもわかるよ。」
確かにこの斧は、切れ味は悪い。
だけど、この斧の硬度は非常に高く刃毀れは絶対にしない。
「この斧は叩いて使う。頭蓋骨をかち割るとかね。」
雑魚すぎて力の5%も使えなかった。
「謝んないと、あんたらの生首でゴルフしちゃうぞ。」
「わかった!許してくれこの通りだ!すまなかった!!」
「じゃ、謝らなかった兄貴の首はもらいますねー」
ほぼ死体だからって謝らないのはよくない。
「もう、やめて。クリムお姉ちゃん。」
おっと可愛い可愛い鬼っ娘のティアちゃんの熱い抱擁。
慎ましい胸が押し当てられてる。
もうなんでも許しちゃう。
「冗談よ、ティア。君たち、これ以上問題起こさないように。起こしたら...。」
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
そそくさとリザードマン達はその場を去って行く。
俺も逃げなきゃ。遠くからあの説教巨乳エルフが来るのがわかる。
「ティア、ココアさん。少し離れてて。」
「うん。」「またすみません。」
「いえいえ、仕事ですから。【リヴイバル】」
オリジナル魔法。多分SSS級くらいの魔法。
物質における時間を巻き戻す復元魔法。魔王のおもちゃ直すために作った。
「じゃ、私はこれで。お姉さんが返って来たときは言ってください。」
「ありがとうクリムお姉ちゃん!」
可愛いなぁ。さて今日もこの街は平和だねぇ。
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