キメラさん、第1攻略対象(ヒロイン)を陥落させたみたいですよ。
すこし埃臭い室内。雑多とした物置のよう。
一応、仮眠できるようにベットがあるが、あまり柔らかくない。
ミルフィーの胸の方が柔らかくて弾力もあった。
こちら、汚いが用心棒用の管理室みたいなところ。
ジリジリジリジリジリ!!!オキテ!!オキテ!!クリムゾンさま!!!!
うるせぇ。巡回の時間だろ。
ぶん投げると変な汁を出して止まった。
このメザマシマイマイ使えるが、音量調整ができないしなんかヌルヌルする。
いっそのこと、こいつ【合成】で取り込んで文字通り”腹時計”(笑)にしてやるか。
以前、食おうとしたところをミルフィーに見られて、きつく怒られたのでやめるが。
用心棒としての仕事は主に3つ。
1.外敵からの襲来を防ぐ。
ここは人間と魔族とともに中立地帯らしい為、難しい立場に置かれていて、どちら側からも狙わられることがあるらしい。
2.町の中での巡回。
種族がごちゃごちゃだからどうしても諍いがよく起きるらしい。それを鎮静化する必要がある。
3.町の青年団などの取りまとめ。
明らかに仕事が多い。3つ目とか用心棒の範囲じゃないだろ。
どうにかして仕事を減らさなくては。
◆
巡回中のタグを腕にかけて俺は決まった道を歩く。
「おい、あれって。」
「間違いない。最近、噂になってる消えた女勇者じゃないか?」
「あぁ、なんでもスキルを99個もっていて歴代最強となるはずだったって。」
この体の話か。
ふーん、通りで経験値高いわけだ。
ここで1~2週間過ごしてからわかったんだが、このLv.999ってのはカンストだった。
そして、その影響なのか取り込んだモンスターの経験値が感覚的にわかるようになった。
一種のスキルのようなこの能力。レベル上げの時に欲しかった。
メタル系が最高率だって最初に教えろよ....。
【食感】と名付けたこのスキル(?)でわかったことがある。
Lv.999になってから取り込んだ経験値は俺の腹の中で貯められている。
財布に溜まった小銭みたいな感じ。こいつの利用は今後の課題だな。
「ん?この匂いは。」
そろそろ巡回の自分へのご褒美の”絶品のどら魔焼き”が売ってる角だ。
このバリンガムで2大名物のひとつである”どら魔焼き”は滅茶苦茶うまい。
自然と足が速くなってしまう。角を曲がるとあのけだるげな声が聞こえてくる。
「バリンガム名物。どら魔焼きはいらんかね?とびっきりおいしいんよ~。」
他人から見たらやる気ないようだが、これでも本人は頑張っている。
「や。アンコちゃん。」
彼女は、アルケディア・コルセット。略してアンコちゃん。
アンコちゃんは狐娘で、九尾の末裔の種族らしい。
「あ、クリムちゃん!」
ぴょこんと尻尾と耳が揺れる。狐娘はやはりかわいいな!
「アンコちゃん。今日も、着物が似合っててかわいいよ。」
「えへへ....。ありがとうなんよ。」
アンコちゃんの服装はヒューマンの巫女と呼ばれる職業が着ている服に似ている。
上は彼女の心のように純白で、下の映える赤い袴はすらりと長い足を強調する。
性格の割にきわどいスリットから健康的で綺麗な足が顔を出す。
黒いぬるりとしたの体毛は、ミルフィーと違った良さがある。かわいい。
「じゃ、今日もくださいな。」
「はぁーい。」
気のせいだろうか?アンコちゃん、いつもより少しテンション高い。
「よいしょ、よいしょ。」
仕草のたびに、もふもふと揺れる大きな尻尾は俺の心をくすぐる。
「とりゃっ!」
「はわっ!!?」
今日も、もふもふだな!
「はぁ...はぁ...もふもふ。それでいて弾力があって更にあんこの甘い匂いが...。」
けも娘ッ!触らずにはいられないッ!
「も、もうっ!えっちなんよ!こんな人前で。」
げへへへ。ここか、ここなのかぁ。覚えたぞー!
「や、やめるんよ!!あうっ!?....いや、ん....。」
.....よし、残念だがここでやめるか。
「ごめん、ごめん~。もふもふなだけじゃなく、アンコちゃんの顔もかわいくて。ついね。」
「可愛いだなんて。クリムちゃんはほんと意地悪なんだから。でも、店の奥でふたりきりなら.........ごにょごにょ。」
顔を赤らめるアンコちゃんもかわいいなーーー!!!でも、
「え?なんかいったか?」
ボク、ジュンスイだからワカラナイ。
「な、ななななんでもないんよ!?はいっ。いつもの。ドラ魔焼き!」
「お、ありがと。支払いは銅貨6枚。置いとくよ。」
染まった顔を抱いて座り込んでるけど大丈夫かなー?
「う、うん。毎度ありなんよ。」
「じゃあね。アンコちゃん。また来るよ」
俺はなんともない顔で道を通り過ぎる。
だ、駄目だ。まだ表情を変えるな。こらえるんだ....。
そして、次の角を曲がる。彼女の耳にこの声がワカラナイ距離まで走ってから。
「はぁ...はぁ.....。...........ふふふ。ふはははははははははははははははは!!」
アンコちゃんは既に完全に堕ちている!!!!計画通り。
暇な巡回中に見つけた美女。まさに砂漠の中のオアシス。
「はははははh!!はっはゲホっゲホっ!」
さて、まずはひとりは攻略完了。巡回たのしいなぁ。
「仕事仕事~♪楽して金稼ぐ~♪かわいい子はみんな俺のもの~♪」
この仕事やっぱ最高。
「おい、喧嘩だってよ。また、あの鬼娘がやらかしたってよ。」
はぁ.......気持ちよく鼻歌してたのに面倒事が。それにこの感じ。またアイツか。
「少しばかり、お灸を据えてやらなくちゃな。」
第2攻略対象。というには少し早いが未来の対象候補だ。
Lv.999のキメラはちょいと力の使うようですよ。
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