路地裏での出会い(上)
あれは10日ほど前のことだった。
俺は夜の9時くらいにして、今日初めて家を出た。
特に用事があったわけでも無いが、やはり本能的に多少は身体を動かしたかったのだろうか。昼間は活気付いている道なりも明かりが灯っているのは宿屋くらいだろう。路地裏は一層暗い。
「まあ、こんなもんだろ。」
独り言をつぶやき帰ろうとした時、
「ドカン、ガシャ」
路地裏から鈍い音がした。
俺は少し迷ったが、見に行く事にした。こう言うことはよく路地裏ではある事なので、大抵の場合は無視している。だが、今日に限っては見に行ってしまった。
今思えば、そこから間違ってしまったのだろうか。
軽く覗いで見ると、ローブの男5人が女の子からお金を奪おうとしている所だった。
「魔法使いか…」
俺は呟いてしまった。
男達はこちらに視線を向けてきた。
「誰だ、お前。見られたからには口封じくらいはさせてもらうぞ」
「哀れだな。お前みたいなゴミで口封じなんてできるわけがないだろ。」
俺はまた本心を言葉に出した。
「威勢のいいガキだな、おい」
男達は躊躇なく火の玉を放ってきた。
「第8級魔法のフレアか。雑魚のくせしてよく見せびらかす様に魔法が打てるなぁ〜」
俺はその魔法を正面から受けた。だが、傷は無い。
この世界は力量差がある場合は無効化されることがよくある。
「大体の力量差はわかったよな。金は置いて帰るなら今は許してやるよ」
男達は逃げて行った。
と思い込んでいたら逃げ際にナイフを投げてきた。
俺もとっさのことで、焦ってしまい第4級魔法マグマで溶かしてしまった。
(あの女の子に見られてないといいな)
内心で無理な期待をしていると、その女の子から話しかけてきた。
そこで堂々とした態度で何を言ったかというと、
「助けてくれてありがとう。そしていい人材を見つけたわ!。」
(はあ〜〜つ‼︎??)
俺は今でのその時の衝撃が記憶の中に強く残っている。