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無茶な戦い 第2ラウンド

 真澄はぐっと目を見開き闘志をみなぎらせグローブを顔の前にやり反対コーナーの葛西を見つめた。


 先ほどまでとはうって変わってやる気と闘志に満ちた、やや殺気さえ感じさせる目だった。


 勝利の言葉を思い出してのものであるがただ少し恐怖も残っていた。


 2ラウンドが開始された。真澄はコーナーから出て様子見の様に少しだけ立ち止まり回り込むように徐々に相手に近づいた。


 今度は逃げるのではなく攻撃するための回り込みだった。


 ひたすら回り込みけん制のジャブは打たなかった。

(こいつ、何をする気だ)

ここで真澄の鍛えた下半身のばねが効いてきた。


 軽快なフットワークで相手をけん制し惑わせた。

(やはり何か別のスポーツをやっていたように見える。足のばねが優れてるな。こっちのパンチを誘ってるのか、前に出た時カウンター狙いか)


 真澄は前にふみ出し後ろに下がるフェイントを2回やったが真澄は前程怯えることなく相手の近くに踏み込んだ。

(安っぽいパンチは打ちたくない)


少しだけ踏み出しアッパーカットのような小ぶりのパンチを打った。

(アッパー?)

今度は通常のジャブよりストレートに近いパンチを打ったが大振りなのかかわされた。


(1ラウンド目はびびっていたくせに)

「何か変わったな」


 戸田が言うと明石も答えた。

「短期間で形は悪いが身につけている。生まれつきの才能なのかも」


 そして真澄は必死にけん制でないジャブを打って行った。汗が飛び散る。

「はっはっ!」

戸田が激励した。

「踏み込みすぎはまずいぞ!」


 葛西は狙っていた。

(カウンターだ!)

ジャブのカウンターが真澄の顔に当たりそうになったが後方へのスウェーでかわした。葛西は思った。


(こいつ妙にスウェーが上手いな。女みたいな柔軟な体だ)

勝利は言った。

「椿は前からスウェーが上手かったよな」


 戸田は檄を飛ばした。

「もうちょい下がるんだ!」

「下がらせるか!」


 距離を取ろうとした真澄に葛西は少し前に出てジャブを放った。今度は真澄はブロックした。

「なかなかやるな!」

「よし!いい防御だ!」


 戸田はまた檄を飛ばした。

しばらくお互いの隙をうかがうけん制のやり取りが続いた。

「はっ!」


 真澄は少し強めのパンチを出すと空振りして隙が出来た。

「あっ!」

真澄はしまったと思った。


 しかし葛西のパンチをうまくスウェーした。真澄は大振りを少しやめ再度けん制を続け同じような攻防が続いた。


 スウェー中心にブロックを混ぜてかわしたがスウェーの動きが大きいため結構スタミナをロスした。ここで2ラウンドが終わった。


 かなりスタミナをロスし真澄は汗だく息絶え絶えだったが闘志でカバーしていた。そして3ラウンドが始まった。


 今度は2ラウンド目より少し前にでたがいきなり真澄は顔にパンチを受けた。

「あっ!」

戸田たちは心配したがさらにもう1発顔に食ってしまった。


(動きの癖が読まれてるのか?)

真澄の心に迷いが生じた。


 さらに葛西の小気味よいパンチが続き真澄はブロックしたが1発当たった。葛西は思った。

(食った時の反応が大きい。何か女みたいだ)


 葛西が後ろに下がると真澄は追わなかった。さらに葛西のパンチは続いた。

「ダッキングに余裕がなくなってきたな。初心者、本番はこれからだ。」

「2ラウンドより攻めのペースが速くなってる」

真澄は勝手が違うのを感じた。


 距離を話すため真澄はジャブを打った。しかし葛西はあざわらった。

(それじゃ俺は倒せない)

(相手のペースに合せない!)

真澄は自分に言い聞かせたが上手く体が動かなかった。防御を徹底して固めたがジャブをまた食った。


 しかし強めのストレートは防いだ。ここで3ラウンドが終わった。真澄はコーナーに帰った。

(体力が押されてきた。無駄にスタミナ使ったし・・やっぱり男の人相手で初心者じゃ……)

さすがに真澄も弱気になっていた。


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