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進路 自立への道

 真澄は今日はアルバイトのない日だったが、近くのスーパーに来ていた。


 母に食べさせるために栄養のあるものとその日の特売品の兼ね合いで買う物を決めていた。買い物かごに入れて行った。


「こんにゃく、ねぎ、おから、パセリ、切り干し大根、エリンギ・・なるべくカロリーの低いものを。明日は豆腐が安い。あとはパックのおかゆ」


 帰り道真澄は勝利と小宮の事を考えた。

(明日、話してくれるかな)


 真澄は冷える中マンションのカギを開け、上着を脱ぎ、戸締りすると寝ている母の為加湿器を付けた。


「ごほっ、ごほっ」

とむせる母に


「今煮物とパックのおかゆ作るから。毛布かけとく」

と気遣いを見せた。


 母は苦しいが喜んでいた。

「すまないねえ。今日会社から電話があってね。よくなったらすぐ復帰するって伝えておいたわ」


 真澄は心配そうに言った。

「あまり無理しないで。」


 しかし母は気丈に振る舞った。

「真澄に苦労かけるなら、お父さんと別れる前の方が良かったかも」


 真澄は父を思い出した。

「でもお父さんがいた時は安定はしても今よりなんかやだった」


 真澄は飾ってある父の写真を見た。写真を手で拭った。

「実はね、今日お父さんから電話あったの。今度会わないかって」

「えっ! 今度友達が来るんだけどなあ」


 勝利は翌日学校で友人たちと進路の事を話した。神山と大木、更に浅井、西山と言う少年がいた。


 勝利は計画を話した。

「大学入ってからの自立の準備をしてるんだ。今アルバイトのお金をためてる。自分の使いたいことには使わない様にしてる。ジュース位買うけど」


「一人暮らしするのか?」

と神山が聞くと


「ああ、親と距離をとりたい。A大学は家から通える距離だけどあえて一人暮らしすると思う。もしあれなら口実のため別の大学にしてもいい。あと受験費用を稼ぎたい」

「きつくないか?今は受験に絞った方が」


 神山が聞いた。勝利は

「でも自立出来てないのに親に文句言ってても資格はないから一刻も早く自立したい。高卒で就職する事も考えた。それ以上にはだか一貫で何かやろうかとか。」


勝利の弁には切実さと熱意が両方あった。あの親から離れられれば新しい何かが見えてくると」

神山は言った。

「大学も予備校もどうしたって親の金が必要だろ。でも日向の親の話色々聞いたけど、理由があっておかしな事を言うのか歪んでるのか、精神の病気なのか微妙だな」


髪がぼさっとしたよくいる少年浅井は

「本当は関わり合いにならないのがいいけど、向こうから関わってくる奴ってたち悪いよな。さけるのも難しいし」


 ややしたたかそうな西山は

「決められたルールで生きてきた人ってレールから外れるの難しくなる。俺的にフリーターやだから大学行きたいけどね」


大木は

「俺はD大行って相撲やりたい。」

勝利は

「今日も予備校だ」


 神山は勝利をねぎらった。

「親とは大丈夫なのか?またドカンと切れたりとかすると……」


 勝利は悩みながら出した答えを話した。

「今は力をためて距離をとっていくのがいいと思う」

「なるほど。一気に反抗するんじゃなく徐々にか。それが地道だよな」

 

 西山は

「でも日向って慎重だけどいきなり本気になるよなボクシング部との対決とか」


 勝利はその時を思い出した。

「あ、そういえばあの時は戸田を助けようと」

一瞬場が静まり返った。

「戸田どうしてるんだ」


 その様子を進藤が見ていた。

(確かに日向は普段はあまりあつくならない。何故なんだ。)


 その後勝利は真澄と話した。

「椿と会って色々影響受けて、やっぱり俺もっと自立心持たなきゃいけないと思ってたんだよね」


 真澄は笑顔で答えた。

「それはうれしい。少し元気になったよ日向君」

「段々目標がはっきりしたからね」


 勝利は明らかに前より元気を戻していた。しかしそこへ大泉がやってきた。

「椿君、学費はちゃんと払ってるの?」

これに勝利は怒った。

「は? 何言ってんだ君は?」


 大泉は少し驚くと共に怒った。

「意外と気が短いのね、日向君。うちの学校、男の方が女よりはるかに学費が安いから、不正がないか調べてるのよ」


「不正って……何でそんなひどい事いうんだよ。いいがかりじゃないか。」


 勝利は怒った。大泉は

「別に意地悪で言ってるわけじゃないわ」

またその様子を進藤が見ていた。

(今度は大泉さんが言うように意外に熱くなっている)


 真澄と2人だけの所で大泉はついに核心を突いた。いつもの意地悪な口調ではなく、真相をはっきりさせたい気持ちだった。


「あなたは本当は女なんじゃない?」

「な、何を……」

真澄は怒ると同時に後ずさった。


「まだみんなには黙ってるわ。でももし学費を安くするためだったら、許される事じゃないと私は思う」

「白黒はっきりさせたがるんだね」


 大泉は少しだけ悲しい顔をした。

「私の兄は仕事で上司に命令されて不正をやらされたの。警察の人や役所の人は「命令なのはわかりますが、不正は不正ですから。」って言った。兄は捕まってないけどひどく傷ついたの。それで私は「そんなに不正、不正って言うなら、って思うようになったのよ」


 学級会で担任は言った。

「えー来週戸田君が帰ってくる。皆暖かく迎えてくれ」






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