先峰戦開始
二人はリングに上がった。大木の相手である柳は髪は長さが中くらいで丸く少し染めていた。
いわゆる短めのさらさらヘアーである。
顔は顎まで細く目は小さく細めだが髪型は丸い。
それが絶妙な顔の形を作っていた。
全身の筋肉がよく締まっていて無理に減量した様子はない。
自信をたぎらせコーナーにもたれかかった。ふっと息をついたがそれは緊張でなく余裕だった。
大木は相撲の時と違い少し緊張したが胸をはり相手を見つめた。
「大木頑張れ!」
同級生たちは声をあげた。
アナウンサーがマイクをとった。
「これより先鋒戦を始めます!」
2人は1転してコーナーに向き両手でロープをつかみ、またリング中央を向いた。
さすがにこういった試合イベントは初めてで館内に緊張が走る。不安と期待で見つめる生徒たち。
そして14時10分、ゴングが鳴った。柳は少しずつ前に出て出過ぎず様子を伺ったが、どこか挑発するかまえだった。
大木は少し戸惑った。
足さばきはやはり柳の方が軽かった。大木は不安を払しょくするため威嚇の意味をこめ牽制ジャブを打ったが難なくブロックされた。
柳は不敵な表情をし打ち返さない。
にやりとして呼吸をおいた。余裕を感じている柳の表情が気になり大木はパンチを打ったがかわされ2、3発それが続いた。
その様子を戸田は黙って見ていた。
あまり大きな仕掛けを柳はしてこない。
大木も戸田も不気味さを感じていた。感じながらその余裕を壊すため大木は不慣れなパンチを打って相手の余裕をそごうとした。
しかし大きく柳をぐらつかせるには至らなかった。
そして1ラウンドが終わった。話はコーナーではかわされなかった。それは戸田も不気味さを感じていたからだった。
そして2ラウンドが始まったが、柳はまた様子をさぐり大木はいらいらして牽制した。
少しだけ柳はジャブを打ったが大木は驚きながらブロックした。大木は4発ほど打ったが防がれ焦りをみせた。柳はにやりとしていた。まだ大きな動きはなかった。
2ラウンドが終わった。戸田はアドバイスした。
「君は練習の時も気になったけど少しずつ前にでるくせがある。相撲の癖だね」
「あいつ何かにやにやしてる」
大木は不安を吐露した。
柳はコーナーで、
「思ったとおりだ。どんどん前に出てくる。この日のために相撲部と練習したんだ」
そして3ラウンドになると少し柳は戦いをかえ回り込むように近づいてきた。それに大木は戸惑った。大木はパンチを打ったがかわされお返しにジャブを1、2発食らった。
戸田はまずいと言う顔をした。しかし大木は初めてパンチを食った焦りで前に出た。しかし柳はさらに手数を増やした。
それが適格に大木をとらえた。そんなに重くなくても大木はダメージできつくなった。
しかも柳はまた距離をとり牽制してきた。大木は大分スタミナをロスしている。戸田は
「大木君、落ち着け!」
と声をあげた。しかし柳は余裕綽々だった。明石は腕を組み笑った。
「さすが試合巧者だな。」
「うおお!」
と言う叫びと共に強いストレートを大木は打ち柳はブロックした。
(ほう、なかなかの威力だな)
柳は距離をとった。さらに突っ込んだがカウンターをくい、大木は膝をついた。
「ダウン!」
「スリップじゃないのか?」
と戸田は言った。大木は
(これがボクシングのパンチ)
柳は笑った。
「どうしたまだやるか!」
「うおお!」
大木はたった。会場が歓声に包まれた。
「大木君…」
真澄は祈った。
そこで3ラウンドが終わった。コーナーに 両者はもどり再度向き合い4ラウンドが始まった。しかし柳はこれまで以上に手数を増やした。しかも重さが徐々に増していく。
大木はスピードについていけなくなった。目に汗が滲んだ。焦りパンチを出し一発は当たったが次は外れた。
大木は目が霞んだ。強さも増していた。
「これでとどめだ!」
柳はフックを見まった。ついに大木はダウンし10カウントゴングが数えられた。柳は
「やるじゃないか。さすが相撲部。あと何発か当たったらまずかった」




