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封印の再召喚者(リターナー)〜封印解いて目指せ安寧!〜  作者: 金月ネコ
いざ、異世界へ!(予想外)
5/23

説明と初食事

槍を向けられていたと思ったら、今度は入れ替わりに歓声が聞こえた。早くてよくわからない展開に俺を含め、クラスメイト達は呆然としているようだ。

すると、扉の奥から男女が一人ずつ現れる。男性の方は豪華な外套を羽織り、口元に髭を蓄えている。50歳くらいだろうか、その貫禄から一目で権力者であるとわかった。

女性の方は露出の少ない紅のドレスを見にまとい、柔和な笑みを浮かべている。見た目の年齢は俺達と同じくらいだろう。

完全に王様とその娘のお姫様って感じだ。


「異界からお越しの勇者様方。この度は召喚に応じていただき、まことにありがとうございます。そして何の断りもなくお呼びしたこと、心からお詫び申し上げます」


男性がそう言って頭を下げる。それにしたがって、周りの人たちも一斉に頭を下げた。

すごい光景だな、これ。


「申し遅れました。私はアラキア王国の現国王、シャルル・ド・バラキス・アラキアといいます。そしてここにいるのが…」

「娘のアシュリール・デ・シャルル・アラキアと申します」


「やっぱり王様だったよ!」

「テンプレだぁ、テンプレだぁ!」

一部の奴等(同士)は少し黙ってろ。というか王族の自己紹介中に騒ぐなよ。めっちゃ困った顔してるじゃん、王様とお姫様。


「少しお静かに願えますかな? …ありがとうございます。ところで、皆様の中に中心となる人物はいらっしゃいますか?」


全員が静かになり、榎本の方へ視線を向ける。皆の視線を受け、本人も名乗り出てくれるようだ。


「私です。榎本翔、いえ、カケル エノモトといいます。礼儀作法などご無礼があればお許しください」

「いえいえ、とても御立派です。ご説明したい事が多々あるのですが、こんな所で立ち話も何です。席をご用意していますので、落ち着いた場所で座りながらではいかがでしょうか」

「ありがとうございます。皆もそれでいいかい? 質問とかも、落ち着いた場でならできると思うから」


皆も「まあ、榎本が行くなら…」という感じでうなずいた。


先導してくれる王様にぞろぞろとついて行く。

俺達が召喚された部屋を出ると、そのまま絨毯が敷かれた大きな部屋に出た。そこでは多くの人達が花道を作っており、一斉に頭を下げてくる。部屋を抜け、廊下のレッドカーペットの上を歩いて行くと、3本の非常に縦に長いテーブルと大量の椅子のある食堂のような場所へと出た。「これはまさか!」と思い光源を見ると、シャンデリアに似た照明器具が浮遊している。


リアルハリー・○ッター、だと!!


照明は魔道具なのかもしれない。時折抜ける丁度良い温度の風も照明から吹いてきているような気がする。

脳内で鑑定がしたいけど、出来るかな…。あ、感覚で出来る気がする。じゃあ鑑定!


=====================

フローティングライツ ★×5

火魔法、風魔法、雷魔法が付与されている魔道具。基本の機能としては照明器具だが、常に室温を一定に保つように風を出し、空気を循環させる事も出来る。室温は23~25度程度になるように調整されている。

=====================


おお、やっぱり風を出してるのこれだったか。星5の道具って凄い物なんかな? また後にでも調べてみるか。


「どうしたの? 順に席へ着けと言われたわよ?」

沙那の一言で意識をもどす。いきなり立ち止まったら邪魔だわな、そりゃ。


全員が席に着いたことを確認すると、王様が話しはじめた。とてもよく聞こえたから、きっとスピーカーのような役割を果たす魔法か魔道具の効果だろう。

曰く、

 ・この世界には四大国と呼ばれる大国とその他の小さな国々がある

 ・それに加え、絶賛戦争中の魔族領もある

 ・戦争は四大国の連合軍で行っている

 ・停戦中の魔族領に怪しい動きがみられた

 ・戦争で力を貸してもらいたい

というのが主な内容。話していたのは20分くらいだな。

魔族領があるなら魔王とかもいるとは思う。でも、今の話の中で俺達が元の世界に帰る方法を聞いてないよな?質問してみるか。

俺が手をあげようとすると、先に声を上げると同時に立ち上がった奴がいた。隣に座る沙那だ。


「質問してもよろしいですか?」

「ぜひどうぞ。何をお聞きになりたいですか」

「今のお話の中で、私達がもとの世界へと帰る方法について仰られていませんでした。方法は存在しているんですか?」


おお! 俺と全く同じ質問!


「約一千年前に召喚された勇者様は代々の魔王が受け継ぐ、万能の古代魔法陣を使って元の世界に帰られたと言われています。伝承程度であり、現状断言をすることは出来ませんが存在していると思われます」

「それは、私達自身で見つけろと?」

「いえ、勇者様がたの召喚の用意を始めた時から調査隊を編成し、古代遺跡などの調査を行っております。魔族領以外の場所は半年もすれば調査が終わる予定です」

「少なくとも半年、ですか…」


沙那が席につくと、


「半年もこんな所に居なきゃいけないのか!?」

「ちょっと、どうにかならないの!?」 


という言葉がやはり出る。どうすんだこれ、収集つかなくなるぞ。


しかしここは我らがリーダー榎本。


「王様。この城にいる限り、生活と安全は保証されますか?」

「もちろんです。最も良い待遇をお約束します」

「それでは、戦争への参加は希望制ということではいけませんか? それでも半分近くは参加者が出ると思いますので」

「充分です、こちらがお礼を申し上げたい…」

「それともう一つ。参加者にもその他にも、こちらも希望制で戦う術を教えては頂けないでしょうか?」

「…! わかりました。騎士たちによる稽古を行いましょう」

「ありがとうございます」


周りを軽く見渡すと、皆が皆難しい顔をしている。秋人や他の事前知識のあった連中もだ。危険性はちゃんと理解出来ているみたいだ。

しかし、俺は何でこんなに冷静というか、こんな感想が出て来る? やっぱりこれも再召喚の影響なのか?


「おや、もうすぐ12時です。皆様、お腹を空かせてはおりませんか? 食事を用意させましょう」


俺が腕時計を確認すると、時計は10時を指していた。まだ詳しい事はわからないけど、時間の進むスピードは同じなんだろうか。しばらくは針を動かさずに様子を見てみよう。

ほどなくして、料理人だと一目でわかる白エプロンを身に付けた人達が、料理の乗った皿を片手に持ち、列を成して部屋に入ってきた。

すごい数だな。30人近くはいるぞ。数人メイドも運ぶのを手伝ってるし。クラスメイトの数と王様たちの分を考えれば当然だが、普段もこの人数が料理を作るのだろうか。


「どうぞ、遠慮無くお召し上がり下さい」


俺のところにも料理人が来て、目の前に皿を置いていった。ひと皿だけ置いてあるってことは、フルコースみたいな感じだろうか。

っと、その前に念のためまず鑑定をしておこう。まだ完全には信じることは出来ないからな。


=====================

特級料理人による前菜 ★×3

国中から選りすぐられた料理人たちが奏でるフルコース、その前菜。一般民衆は褒章を得るときにのみ口にすることが出来る、素晴らしい料理。

=====================


疑ってすみませんでしたぁ! 是非いただきます! レア度も三ツ星だし!

面倒臭く思っていた学校行事のテーブルマナー教室なんてものがここで役に立つとは。学校行事、恐るべし…!


フローティングライツのレア度を4→5に修正しました(2018.9.9)

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