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宿での騒動

1年半振りの投稿です。おそらく数カ月に数度程度の投稿になりますが、読んでいただけると幸いです

もう一度ルーのスキル欄を見直すと、どこかで見た覚えがある物ばかりだ。ん?水属性魔法ってことは、まさか!?

俺はルーの「見学」を鑑定する。


=====================

見学:

稀に持って生まれる人がいる先天性のスキル。他人がスキルを発動する瞬間を目撃することで、そのスキルをLv1の状態で習得する。ただし、対象を視界に留めるのではなく、意識して見る事が必要。このスキルを持つ人には、俊敏の値に補正がかかる。

=====================


発動の瞬間を見ることができれば、スキルを自分のものに出来るスキルか。強いな!ルーにスキルがいくつかあったのも、俺とお嬢様の決闘をしっかりと見ていた為だろう。


「ルーのスキルは凄いな!!」

「…そう、なの?」

「よし!とりあえず、俺のスキルを全部渡そうか。よく見ててくれよ」


俺は、自分の持つスキルを一つづつ発動していき、ルーは無事、俺の持つスキルをほとんど習得した。ただ、「偽装」だけは学び取ることは出来ないようで、何度か試したが上手く行かなかった。


「一通り終わったし、シャワーでも浴びるか。ルーも浴びるよな。先いいぞ」

「…手伝って」

「うん?」

「…まだ、一人で入れない」

「マジかぁ」


国王様ぁぁ!!もうちょい出発延ばしても良かったんじゃない!?ルーが一人で風呂入れないことを知らなかったの!?


遠い目をしながらも、俺の内心は大荒れに荒れていた。


「はぁぁ。とりあえず、ルーが一人で風呂に入れるようにするのが最優先だな」

「…ふぁいとぉ」

「いやいや、お前も頑張ってくれよ?」

「…いってみよぉ」


そのまま浴室に移動。日本のホテルとは違い、トイレは一緒になっていない。簡易の脱衣所、シャワー室が隣接していて、脱衣所には二人分のタオルが丁寧に畳まれて置いてあった。


幸い、シャワーの出し方は知っているものだったので、ルーに説明し、脱衣所の外で待機する。


「…カズマぁ」

「どうした?」

「…ぬげないぃ」


そうだ、ルーは着替えも出来ないんだった。

どうしろってんだよぉぉ!女の子の裸見るわけには行かないじゃん!ちゃんと教えておいてよメイドさん達!


「…はーやーくー」

「あぁ、もう!わかったよ、開けるぞ!」


心を決めてドアを開けた先には、上の服を肩の上辺りまで引っ張り、顔が隠れたまま謎の踊りをしているルーがいた。


ほっそりとして色白いウエストが光を受けてツヤを作る。そして服を脱ごうとするのと同時に、下着もずり上げてしまったらしい。まだ発達途中であろう二つの膨らみが、小さいながらにその存在を主張していた。


慌てて目を背けるが、その光景が目に焼き付いて離れてくれない。


「…カズマぁ?」

「今どうにかするから、ちょっと待てぇ!」



その後、どうにかルーにシャワーを浴びさせることに成功。精神を罪悪感にガリガリと削られながらも仕事を成し遂げ、続いて自分もシャワーを浴びた。

部屋に戻ると、ルーはさっぱりした顔でベッドに座っていた。そんな様子を見ていると苦笑いしか出てこない。


「…カズマは、おもしろい」

「ははっ、そりゃどうも」


大騒ぎしてしまったが、ルーが喜んでくれているなら、まぁ結果オーライだろう。ただ、可及的速やかにルーを自立させないといけない。いろいろともたない。俺だって健全な年頃の男子なわけだし。


「もう遅いし、そろそろ寝るか」

「…うん、おやすみ」

「おう、おやすみ」


ルーはそう言うと、そのままシーツの下に潜り、大した時間も経たずに穏やかな寝息が聞こえ始めた。それだけ疲れていたんだろう。

俺はルーの枕元にゆっくりと腰掛け、その顔をのぞき込んだ。たまにピコピコと動くネコ耳に思わず笑みが浮かぶ。

可愛らしい寝息をもらす様子を眺めながら、もっと力を付けないといけない、と再び心に誓った。

しばらくそのままでいた後、美しい赤髪を軽く手でき、立ち上がって自分のベッドに入る。


明日は、初めての依頼を受けてみよう。

ただ、またあのお嬢様に絡まれなきゃいいけど…。


そんなことを思いながら、二つのベッドの間にある、光の魔導具のスイッチをオフにする。

そして俺も、ゆっくりと眠りについた。

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