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一つの終わり

初投稿です!

自分で小説を書くのも初めてなので、暖かい目で見ていただければ幸いです。

よろしくお願いします。

地球とは異なる世界。

物理法則は同じでありながら、『魔力』の存在によって人々の持つ文明や自然における生態系など、多くの違いが存在している。


そんな世界に広がる広大な草原で、二人の人間が距離をとって向き合っていた。


一人はワイルドさを醸し出す、白髪の男性。5、60代くらいだろうか。その全身は気力に満ち溢れており、老人と言い捨ててしまうには些か早そうだ。


向き合うもう一人は黒眼黒髪の少年、いや青年と言ったほうが正しいだろう。若さ故の獰猛さを宿す顔に、微かに緊張を滲ませている。


「いくぜ、おっさん」


青年が前後に足を開き、構えを取ると共に口を開く。


「あぁ。かかって来い、クソ餓鬼」


一拍。


重心を下げた青年が、男との距離を一息のもとに詰める。その瞬きほどの時間の内に、両者の手中にはそれぞれ、お互いの魔力によって生成された剣が握られていた。


音を置き去りに、衝撃波を振りまきながら、両者は広大な草原の中心で激突した。





どれほどの時間が経ったのだろうか。一面青々とした芝生の生えていたのどかな草原には、そのあちらこちらにクレーターが出来ていた。周辺に生えていた草もそのほとんどが掘り返され、茶色の土がむき出しになっている。


その中心には体をフラつかせながら立つ白髪の男と、仰向けに倒れている青年。彼は力を使い果たし、気を失っているようだ。

男は青年に近づき、首と足を支えて両手で抱え上げた。


「合格だ、カズマ」


男がそう口にした直後、男と青年の頭上で虚空が光り始め、暖かみのあるその光は、人を形作った。


「見てたのか、あんた」


男が人形ひとがたに向けて語りかける。


『もちろん。なんと言っても面白そうだったからね。あと、何度も言うようだけど、神である僕をあんたなんて呼ぶのは君ぐらいなんだよ?』


「いつもの癖でな。で、その神様はコイツを迎えに来たんだろ?」


『癖でって…。いくら何でもヒドくないかな?これでも世界線の頂点だよ?』


「はいはい、早く本題に入ってくれ」


天上の存在との語らいの最中においても変わらぬ調子の男に、人形は息をつく。


『はぁ、まあいいや。さっき君が言ったことで正解だよ。僕はそこにいる彼を迎えに来たんだ』


「何で今なんだ?もっと前でも良かっただろうに」


『原因の究明とその対応に少し時間がかかっちゃってね。それに、君だって未練を残したまま別れるのは嫌だったろう?』


「ちっ、変な気ぃ使いやがって…。だがまぁ、なんだ、感謝する」


『おぉぅ…君は意外とツンデレなんだね…』


男の素直な様子に多少の驚きを見せつつ、人形は男をからかう。男は、頬を赤く染めそうな勢いで人形に食ってかかった。


「違うわ!? というか、連れてくなら早く行け!」


『わかった、わかったよ』


青年の体が光で包まれ、輪郭が霞み始め、虚空へと消えた。

青年の肉体が消えたことを確認した人形はその調子を改めて、男に問いかける。


『ところで君。決心はついたかい?』


「…例の件か」


『うん! 過去を遡っても、ここまで登ってきた存在は君くらいなものだよ? 結局、彼を魔王と互角のレベルまで引き上げちゃった訳だしね! ホントに君は僕を楽しませてくれる!』


フフッと抑えきれない笑い声を漏らしつつ、興奮した様子の人形はまくし立てる。

ひとしきり笑って落ち着いたのか、人形はその光を霧散させ始めた。


『急がなくてもいいよ。気が向いたら念じて?』


人形は言の葉を紡ぐ。


『この一件で、彼とこの世界の『縁』は繋がった。それがどう転ぶのかはわからないけど…。

それじゃ。また彼と会うこともあるかもしれないね』


そう言った光は強く輝き、次の瞬間には男の目の前から消えていた。


「また、会うことも、か」


立ち尽くす男はゆっくりとそう呟き、上を見上げる。

揺らぐ虚空の奥で、日はすでに沈もうとしていた。





『いやぁ、回収できて本当に良かったよ』


神を名乗るその存在は、どこまでも広がっているであろう真っ白な世界で、一人つぶやいた。


先ほどまでは光に包まれ、輪郭も見えない状態だったが、今は光をまとっていない。


肩口ほどまである輝かしい銀髪。体の線は細く、身長はそれほど無いだろう。男にも女にも見える、中性的な容姿をしている。


『まさか僕の管理外で時空間の歪みが起こるなんてね。まぁ、それは置いておいてと』


その存在は、傍らで寝ている青年に目を向ける。


『あっちの時間は2年もたってないのに、ここまで強くなるなんて。それも彼が居たからなんだろうけど』


自分にタメ口を使う、隻眼白髪の男。ツンデレの場面を思い出しつつ苦笑いをする。


『彼がいてくれなかったら確実に魔物にやられてただろうし、彼には感謝しないと。…さて、始めますかね』


存在が呟くと同時、青年を光が包み込む。



『本当は力と記憶を削除して元の世界へ返さないといけないんだけど、今回は完全にこちらのミスなんだよねぇ。せっかく努力して得た力なんだから、消すのも忍びない。それに彼のことも考えると…封印かな』


そう呟くと、青年をより一層強い光が包む。


『地球でこんな力を持っていたら、走ろうとするだけで大きなクレーターが出来るよ、まったく…。

第一封印の解除はスキルだけにして、スイッチは異世界に足を踏み入れたらにしようかな…よし、終わった』


作業を完了した存在は、青年の顔を覗き込み、笑みを浮かべた。


『かわいい寝顔をするねぇ。

まあ、あの世界に行けるかは君の運次第だからね。

とはいえ、確率はものすごく低いんだけれども』


「うぅ、ん…」


『おっと、そろそろ起きちゃうかな。戻してあげないと』


青年に光が集まり始める。


『また会えるように願ってるよ……。それじゃあね。五十嵐和馬いがらしかずまくん』


青年の体は強い光を放ち、その空間から姿を消した。

どうでしょうか?

今回は三人称視点ですが、本編の方は主人公の一人称視点で書くつもりです。

更新は、書けたら上げるの不定期投稿になると思います。


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